「パティシエになりたーい!」ブログ。

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最終回の紀田正臣くん(デュラララ!!24話感想・前半)

2010-07-08 22:51:40 | デュラララ!!
※この色は紀田くんのセリフ。


黄巾賊のアジトへ、…紀田くんの元へ、次々突入してきた杏里ちゃんと帝人。
額から真っ赤な血を大量に流して、黄巾賊のメンバーに囲まれている紀田くんの姿を見て、帝人は思わず叫ぶ。
「確かに……これは最悪の光景だよ!!」
ここに到着する前、セルティに言われていた。どんな嫌な光景でも受け入れる覚悟はあるか、と。
前回、その言葉に頷いた帝人。
覚悟はしていただろう。あらゆる悪い予想もしていただろう。
しかし現実はもっと「最悪」だった。

法螺田が命令し、今飛び込んできた三人と紀田くんを囲もうと動く黄巾賊メンバー。
杏里ちゃんは罪歌を構える。セルティも臨戦態勢。
…この二人は強いけれど、それにしたって敵が多すぎる。
武器を持たない帝人を守りながら戦うのは、セルティであっても難しいだろう。
そして紀田くんも…深い傷を負っていて、…もう、立ち上がる事もできず、
どこか諦めたように、視線を地面に落として……、
絶体絶命かと思われたその時、声が響いた。

「今だ、裏切れ!!」

その声に驚いたメンバーは、次の瞬間殴り倒されていた。
4人を囲んでいた大勢の中で、次々と同士討ちが始まる。…いや、よく見ると…ややオレンジに近い布をつけた者達が黄色い布の奴らを攻撃している?
何が起こっているかわからず、混乱する法螺田。
その目の前にやって来て、オレンジの布を顔から外したのは…ドタチン!
元々同じブルースクエアのメンバーである「門田」をよく知っている法螺田は、その名前を絶叫する。
「この程度の変装でごまかせるんなら、なまじ人数を増やすのも、考え物だなあ?」
先ほど法螺田達は、黄色い布をつけただけでメンバーに入れてしまった黄巾賊を笑っていたけど、
ドタチンは同じ方法で、奴らの中に自分の仲間を潜り込ませ、チャンスをうかがっていたんだ…!

法螺田とドタチンの所へ、帝人達もやって来た。
紀田くんも立ち上がって、そこにいる。
一歩前へ踏み出し、法螺田を問い詰めるように言う。
「沙樹の足を折ったのはお前か……。」
その迫力に押されてか、法螺田は答を言い淀む。
もう一歩前へ。声も、怒りに満ちたものに変わる。
「沙樹を泣かせたのはお前か……!」
法螺田は先ほど、足元に落としたはずの拳銃を必死に目で探していた。
その様子に、叫ぶ紀田くん。
「お前だな…!!」
法螺田は何か叫びながら、隠し持っていたらしいナイフを紀田くんに向かって突き出す!
それをよけて、全力で顔面を殴る紀田くん。
倒れる法螺田。転がったナイフを足で押さえ、顔を手で覆っている法螺田を見下ろしながら、紀田くんは言う。
低い声で、静かに。…きっと誰もが震え上がる、「将軍」の声で。
「…本当は、バールで脳天叩き割るつもりだったんだぜ…。」

でも。
もう、違う。紀田くんは紀田くんで、「将軍」じゃない。
「帝人と杏里は、こっち側の人間じゃないだろ。だから、死体なんざ見る必要はねぇ、…そう思っただけさ…。」
それだけ言い終わると、崩れ落ちるように倒れてしまう紀田くん。
驚いて駆け寄り、抱き起こすようにしながら必死で名前を呼ぶ帝人と杏里ちゃん。
その声に、…紀田くんは目を開ける。

目の前にいるのは、一番守りたかった二人。
一度は裏切られたかと思ってしまった二人。

二人は口々に謝る。こんなことになったのは、自分のせいだと。
自分がもっと話をしていればよかったと。
紀田くんもやっと口にする。
「俺こそ…なんかお前が遠くなっちまいそうで、だから怖くて…。」
三人が、三人とも、お互いを大事に思っていて、
だからこそ迷惑をかけたくなくて、秘密を抱いたままにしてて。
…でもそれが、誤解とすれ違いを生んでしまって、
…やっと終わる。やっとここで三人ともが、同じ気持ちで苦しんでいた事を知る。


…自分の血が点々とついている手で、謝り続ける杏里ちゃんと帝人の手を握る紀田くん。そしてちょっと笑ってるような感じで、お似合いだって二人に言う。
次に帝人に向かってこう言う。
「なあ…病院に運ぶなら、一つだけ頼まれちゃくれねえかな。」
「何?」
「運ぶなら、来良総合病院にしてくれ。…待ってる女がいるんだ。頼むよ…。」
それだけ言うと、今度こそ意識を失ってしまう紀田くん。
驚く帝人達だったが、ドタチン達の手を借りて、言われたとおりに病院へと紀田くんを運ぶ…。



病室。
夕焼けの光で、真っ赤に染まる病室に、一人立っている紀田くん。
何か言いかけて、やめる。
「知ってるよ。」
沙樹ちゃんの声。
「正臣、ホントは来なかったんでしょ。」
絶句する紀田くん。
「正臣、ずっとイザヤさんに電話かけてたんでしょ。…何回も何回も。イザヤさん笑いながら着信履歴見せてくれた。」
手を、強く握り締める紀田くん。
「でも気にすることないよ。あの後来られても、私としては大して変わんないし。」
「…やめてくれ…。」
「だったら正臣がケガしなくて、それが一番良かったって」
「別れよう…!」
言葉を遮られた沙樹ちゃんは、…でも次の言葉を紡がない。その横顔に表情はない。
その顔がまともに見れない紀田くんは、やや下を向きながら、繰り返す。
「…別れよう。」

ハッと目が覚める。病室のベッドで寝ている紀田くん。
夢だった。…なんて、怖い夢…!
今まで何度も似たような夢を見ていたのだろうか。
天井を見つめながらつぶやく。
「最低だな、俺…。沙樹は、俺のどこを見てカッコイイなんて思ったんだろうな…。」

「その、変に素直なところよ。」
驚いて声のした方を見る紀田くん。
今度は夢じゃない。傍らに沙樹ちゃんがいた。
さっきの夢とは逆で、…ベッドにいるのは紀田くんで、沙樹ちゃんは立ってて…、立って…え!?

「いつからいたんだ。」
「さっき。…狩沢さん達から聞いたよ、全部。…バカだね、正臣は本当にバカだよ。」
表情を和らげながらそう言う沙樹ちゃんに、紀田くんも穏やかな表情で返す。
「わかってるだろ、昔から…。」
謝らなきゃいけないことがある、と言う沙樹ちゃん。
一年前、…あの日、自分はわざとブルースクエアに捕まったんだと。
「それで全部終わるって、イザヤさんが言ってたから。」
よし、死ね。ノミ蟲。(ああまた口が悪く…)
…てか、なんだとおおおおおおお!?あいつ、あいつホンマに、最低最悪やな…!もちろん終わるわけなくて、どうなるかよーく知った上で沙樹ちゃんに嘘ついて誘導したのね…。くそっ……死ねええええええ!!

こほん。取り乱しました。失礼しました。
ノミ蟲の事は後にしましょう…。今は大事なシーンですからね!


結果的に、…紀田くんの心を罪悪感で縛り付けて、今まで苦しめ続けてきたことも…沙樹ちゃんはわかっているのだろう。その果てに、大怪我をして病院に運び込まれる事になったことにも、責任を感じているのだろう。
自分の罪を…それを紀田くんに告白することで、なじられるかも、そして嫌われるかもしれないという覚悟をしてきたのだろう。目を伏せて静かに語る姿から伝わってくる…。
でも、紀田くんは。
「知ってたよ。」って。優しい声で。
驚き、目を開ける沙樹ちゃん。
「イザヤの奴に言われたんだろ?俺を引き止めるためにずっと歩けないフリをしろって。…俺を手駒にしたかったんだろうな。」
「正臣…。」
「俺、エスパーだもんよ。」
ああああああああああ!!
何話ぶりだろう!!こんなに穏やかで、優しい顔で笑う紀田くん!!
知ってたか知らなかったかじゃなく、とにかく今、自分自身を責めているだろう沙樹ちゃんを安心させるための最大限の笑顔なんだろうなあ…!

そして。
「今ならやっと言えそうな気がする。…助けに行けなかった、ごめん。」
その真剣な言葉と表情に、沙樹ちゃんの目が潤む。
「だけど、俺はやっぱり沙樹の事が好きだ。だから頼む、別れないでくれ。」
一瞬の間。
次の瞬間には、思わずベッドの上の紀田くんに覆いかぶさるようにして抱きつく沙樹ちゃんの姿。

「やっぱり正臣はバカだよ。本当のバカだよ。」
「仕方ねーだろ?欠点の一つくらい目ェつぶってくれ。」
「…自分でわかってるなら、直そうよ。」
懐かしい、やりとり。
この二人も、長い事気持ちがすれ違っていたけど、今、…やっと終わる。
表情が何よりも語っている。二人の心は今、一つなんだって。
「一緒に…直していこうよ。」
背中に腕を回し、しっかりと沙樹ちゃんを抱きしめる紀田くん……。

この数日後、二人は姿を消した。




紀田くんがいなくなって、…残された帝人、杏里ちゃんの日常は変わった。三人だった日常がなくなってしまった。だけど街は変わらない。街にいる人々も変わらない。


「(一つわかったことがある。ダラーズは「街」だ。
色々な人がやって来ては去っていく。一つの色に染まらず、いつも何かが起こっている。誰かと誰かが憎しみ合い、愛し合い、友情を育て、すれ違っている。)」


ダラーズの掲示板を再び開放し、こう、書き込む帝人。

「ダラーズはあります。
ここにありつづけます。」


「(人がいる限り街が存在し続けるように、ダラーズもまた、存在し続けるんだ。
誰かの意思とは、無関係に。)」



いつものチャットに顔を出す帝人。…新しい人がいる。甘楽に誘われてきた?
「甘楽さんていつ死ぬんですか?」
「すいません、甘楽さんが苛立たしくて、つい」

…その会話のどの辺にピンときたのかはわからないけれど、帝人はここでその「バキュラさん」に向かって内緒モードで話しかける。
「正臣?正臣なの?」
…それには答えないバキュラ。でも。
「甘楽さんを点数で表すと、」
「√3点」

その、点数は……。
間違いない。帝人は安堵の表情になる。
また来ます、と言ってログアウトしていくバキュラ。

「(失った日常、それは確かに、ネットの中にも存在していた。)」

次の日、帝人は杏里ちゃんに言う。正臣はきっと戻ってくると。
その時は笑って、本気で文句を言ってやろうと。二人で。

「(今思っても不思議だけれど、でも、なんだかそれは、僕の人生が変わってしまうようなことで、実は何一つ変わっていないような、とてもとても奇妙で、けれど、どこにでもある経験をした。
この、池袋の街で。)」


学校の屋上で、目の前に広がる街を見ながら、帝人と杏里ちゃんは笑い合う。
これからも色んな事があるだろう。
それがどんなに奇妙な事でも。それで泣いたり、苦しんだりすることになろうとも。
終わってしまえば、また日常がやってくる。
いや、それはいつだってずっと続いているのだ。
「街」がそこにあり続けるのと同じで、誰かがどうにかできるものではないのだ。


紀田くんのラストカットは、帝人のラストのモノローグ中に出る。
特急とかそういう感じ?の電車に乗っている、紀田くんと沙樹ちゃん。
二人とも、穏やかな、幸せそうな顔をしている。
…どこに行ったとしても、二人なら大丈夫なのだろう。



…私はずっとずっと、願っていた。
誰よりも紀田くんに、「幸せになってほしい」、と。
まさか帝人と杏里ちゃんの前から姿を消すとは思ってなくて、最初は呆然としてしまったけれど。
あの二人の穏やかな表情を見ていたら、…泣けてきた。
ああ、幸せになってくれたんだ、って。
色んな事があった。辛い事もたくさんあったけど…それを乗り越えて、紀田くんは幸せになったんだって。
沙樹ちゃんと、一緒に。

…よかった。
よかったね、と言ってあげたい。紀田くんに。
今まで辛い思いをした分、思いきり幸せになって下さい。二人で。



(後半に続く)

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