「パティシエになりたーい!」ブログ。

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先々週の紀田正臣くん(デュラララ!!23話感想・前半)

2010-06-26 23:11:21 | デュラララ!!
※この色は紀田くんのセリフ。


……雨が、降り続いている。
その中を、一人、歩いている紀田くん。

「(…最低だ。俺の中で疑念が渦巻いている。帝人は全てを知った上で、ダラーズを動かしていたのか。杏里は帝人とつるんでいたのか、…それとも利用していたのか。…どれも最低だ。)」
疑うのも無理はない。
…疑ってもおかしくないほどの事実に、いくつも直面したのだ。
どんなに仲の良い友人同士だったからって、これで疑わないなんて無理だ。誰も責める事はできないだろう。
…だけど、紀田くんは。
「(けど一番最低なのは、そんな想像をしているこの俺だ。)」
他の誰も責めてないのに、…彼は、彼自身を責めている。
ああ、どうしてだろう。どうしてこんな状況に追い込まれても…、人のせいにしないんだ。誰かのせいにして、憎んで、キレてしまえば、…楽だろうに。自分を見つめる冷静な視点は決してなくすことなく……、一人、雨に濡れている紀田くん。

立ち止まり、空を見上げる。
絶えなく顔を打つ雨粒が流れ落ちるその様子は、紀田くんが今、流せないでいる涙の代わりのようだ。
「(…どうしよう。どこへ行こう。俺の行く所なんてもうどこにも……。)」

う……う……うわああああああああああああん!!
き……紀田くん!紀田くん……!!
もう……いやああああああ!!なんで、なんで、こんな、かわいそうなことに……!
そんな、そんなひどいことをしたっていうの!?紀田くんが……。
もうやだよおおおおおお……!
切なく震える声が、たまらない……聴いていられない……!




携帯が鳴る。かけてきたのは法螺田だった。
「将軍」はクビだと告げるその声が……帝人の名前を出した瞬間、紀田くんの表情が変わる。
…知っている。法螺田は、ダラーズのボスが…自分の親友だと、もう知っている…!
紀田くんが隠し続けていた事もバレている。…でももう、そんな事は問題じゃない。
黄巾賊のメンバーは、ダラーズのボスを探し出し、襲うだろう。
自分も標的であることなど聞こえなかったかのように、呆然と立ち尽くす紀田くん。
「帝人……。」
つぶやくのは、親友の名。
正真正銘のダラーズのボス、だが、かけがえのない親友の名…!


何人かに携帯で連絡を取ろうとするが、…誰にもつながらない。
諦めて腕を下ろし、…気を落ち着かせるためか、目を閉じる紀田くん。
「(帝人や杏里を疑う気持ちは失せていた。…もし黄巾賊が帝人を襲ったら。帝人をおびき出すために杏里をさらったりしたら……!)」
思い出す、一年前の忌まわしい事件の時の事。動かなかった自分の足。
「(あの時、俺は何故動けなかったんだろう。何を迷ってたんだろう。)」
ゆっくりと足を踏み出す。軒下からまた、雨の降り続く街へ出て行く。
「(何を怖がってたんだろう。)」
逃げられない、と繰り返す男の言葉を思い出す。

カシャン、と携帯が地面に落ちた音。
それを拾う事もせず……、いや、もう落ちた事にも気づかなかったのかもしれない。
走り出す紀田くん。
一年前とは違う。この足は動いている。
……早く、早く、止めなければ、守らなければ!
全力疾走。動く、動けるから、今度こそ……!


途中、サイモンに呼び止められる。
紀田くんの顔を見て、…これから死ぬ覚悟をした人の目をしている、と。
いつも通りのカタコトの日本語で…でも真摯に訴え続ける。できるだけ明るく振舞おうとする紀田くんをまっすぐ見て言う。
「紀田ミタイナ子供、殺シ合イスル必要ナイ…!」
その言葉は本当に必死で、紀田くんは確かにその想いを受け取るけど。
ほとんど泣きそうな声で、こう返す。
「ごめん。俺行かないと…。」
そしてまっすぐにサイモンの方を向いて、深く頭を下げて……やはり走っていってしまう。その背中を見送るサイモン…。


目指していた場所は……黄巾賊のアジト。今や法螺田がリーダーのようなもので…そしてそこに集まる面々に、紀田くんの知っている顔はほとんどなかった。
法螺田はおどけたような感じで言う。自分に逆らいそうな者達は、昨夜から「変な集団」に襲われていて療養中なのだと。…だから、誰のケータイにかけても繋がらなかった。怒りをあらわにする紀田くんだが、……続けて、もっと信じられないことを知る事になる。
法螺田はブルースクエアの元メンバーで、一年前の事件もよくよく知っているどころか…「その場にいた」人間なのだと。周りのメンバーも、ブルースクエアの者達ばかりなのだと。

憎んでいた敵を仲間として引き入れてしまった事、それに今まで気づかなかった事、…紀田くんの愚かさを笑う法螺田達。
しかし当人は、…どこか吹っ切れたような、すっきりとした顔をしていた。
そして足を踏み出す。前へ、前へ。
「…黄巾賊をクビになった今の俺は、ただのナンパな高校生だ。…好きな女を助ける事のできなかったただのヘタレだ。そんな過去から目を背けて、普通に高校生をやれると思ってたただのバカだ。…だからここに来た。俺は…俺はただの『紀田正臣』だ。」
どんどん前へ、法螺田の方へ向かって進んでいく紀田くん。その迫力に押され、動けない黄巾賊のメンバー。
紀田くんは叫ぶ。心から。
「…だから、だからここへ来た!!」
将軍ではなく、紀田正臣として。
ずっと望んでいた…ただの高校生として。
大事な親友を守るために、ここへ来たんだと叫ぶ!


「(俺を追い続けた俺の過去が、いつの間にか俺を追い抜いて行きやがった。)」
思い出す、悪魔の予言。
その言葉の通り、過去からは逃げられなかった。…だけど。
「だったら、今度は俺が、自分の過去を追う番だろ…?過去は寂しがり屋らしいからよぉ、早く追いついてやらないとな。」
法螺田は、突然わけのわからないことを言い出した紀田くんに向かって、バールを投げつける。それは紀田くんの顔面に当たり……イヤアアアアア!!血が!!血がああ!!

紀田くんの顔をドロリと流れる、真っ赤な血。
しかしそれには気を留める様子もなく、ゆっくりとそのバールを拾い上げ、…再び法螺田の方へ向かって歩みを進める。
「…俺はな?殺される覚悟だけでここに来た訳じゃない…。俺は、殺す覚悟をしてきたんだよ。まあその、なんだ?具体的に言うと…アンタを。」
少し笑うようにしながら、距離を詰めていく紀田くん。
「何度だって言うぜ。…だから俺はここに来た。…それは誰にも否定させねえ!!」
血を流しながら、叫ぶ。
法螺田の言葉でようやく紀田くんに襲い掛かる黄巾賊のメンバー達だが……たった一人の、傷を負った相手に、次々と倒されていく。
一人、バールを手に戦う紀田くん。…その激しいアクションと対照的な、どこか悟ったような落ち着いたモノローグ。
「(…何を迷っていたんだろう。簡単な事だったのに。…俺は俺、それだけの事だったのに。沙樹、俺はもう怖くない。追いつくぜ…もう少しで俺の過去に!)」


紀田くん……。
吹っ切れて、暴れる紀田くん。
沙樹ちゃんに呼びかけるあたり、血を流しながら、…笑ってる。
…怖くは、ない。でも見てて泣きそうになった。
ずっと、こうやって、…感情のままに暴れ、自分の過去と正面から戦う紀田くんの姿を、望んでいたはずなのに。
やばい、…だめだ、と思った。
やめて、紀田くん、って思った。
「簡単な事だったのに」って言葉。
それは、…やばいフラグでしかない。
沙樹ちゃんを傷つけて、…帝人を傷つけようとする男を、…「『殺す』だけ」。
そうすればすべてが終わる。…それはとても危険な考え方。
だめだ、それだけは。…それをしちゃえば、…紀田くんは絶対に幸せにはなれない。
…そんな事は本人はとっくに承知だろう。
だから余計にだめだ…。その果てに、沙樹ちゃんや、帝人や、杏里ちゃんが…幸せになれることなんて絶対に、ない。
それに……だめだよ、そいつは…拳銃を持ってる…!
殺される……!!紀田くんが……!!


追い詰められた法螺田が、懐に隠し持っていた拳銃を紀田くんに向ける。
それを見て、動きを止める紀田くん。
しかしその顔からは、驚きとか焦りは感じられない…。
膠着状態…は、法螺田の後方から飛び出してきた黄巾賊メンバーの攻撃で破られた。正面から顔を殴られ、また血を流して倒れる紀田くん。いっ…イヤアアアアア!!
首に巻いた黄色いスカーフだけじゃない。白いパーカーまで赤く染まって…一度は気力で立ち上がり、法螺田に攻撃しようとするものの…やはりその場に座り込んでしまう。もう戦えるような傷じゃないんだ…!
再度拳銃を動かない紀田くんに向ける法螺田だが…今度は黄巾賊のメンバーに阻まれる。
目が、赤い…!罪歌の子供だ。
「いや、わかるんです…すいません。…母さん、すぐ近くに来てるみたいなんすわ。」
その言葉通り…次の瞬間、分厚い倉庫の扉がものすごい音を立てて斬られ、その向こうには真っ赤な瞳で、刀を持った杏里ちゃん。
名前を呼ばれ、振り向く紀田くん。その顔が血だらけなことに絶句する杏里ちゃん。
そしてまた次の瞬間。今度は馬のいななきと共に「首なしライダー」が突入してくる。後ろに乗っているのは、帝人だった。
ついに、三人が、…顔を合わせることになった。
今まで決してお互いに見せなかった「顔」で。


(後半に続く)

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2 Comments

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Unknown (天野)
2012-08-05 23:31:12
すごくわかります(*≧∀≦*)
僕は紀田君がデュラララで一番好きなのでこれを見て、凄い興奮しました!!
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いらっしゃいませ~ (オペラ)
2012-08-07 16:33:16
お返事が遅くなってしまってすみません!

紀田くん、かっこいいですよね!
この回は見ててすごく辛くもありましたが…
というか自分で書いておいてなんですけど、これ全く「感想」じゃないですね…!記録?あらすじ?
でもこれを読むだけで、録画したDVDを引っ張り出してこなくても感動をよみがえさせれる、という意味では私の役には立っています(笑)。

デュラララ!!のアニメって、もう2年以上も前なんですね~。信じられない…。
コメントありがとうございました!デュラララ、また見たくなってきました…!
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