昨夜、愛読している公式サイトの【 現代ビジネス 】を見ている中、
『 実は日本人の死因第3位「老衰で死ぬ」とはどういうことか 』、
と題された見出しを見たりした。
私は東京の調布市の片隅みに住んでいる年金生活の74歳の身であるが、
私たち夫婦は子供に恵まれなかったので、たった2人だけ家庭であり、
雑木の多い小庭の中で、古びた一軒家に住んで、ささやかな生活を過ごしている。
こうした中で、いつの日にかあの世に旅立つ時は、
心筋梗塞、がんなどは、何かと亡くなるまで激しい苦痛に遭遇すると学んできたので、
気弱な私は病院で入院する中で、安らかに老衰死で死去したいと漠然としながらも念願している。
こうした深情を秘めた私は、今回の『・・「老衰で死ぬ」とはどういうことか ・・』を、
真摯に読んでしまった。
この記事は、『週刊現代』2019年8月3日号に掲載された記事のひとつであり、
関連の公式サイトの【 現代ビジネス 】に8月14日に配信されていた。
そして記事は、日本に於いての老衰死の功罪も含めた実情が記載されている中で、
ある83歳の男性が、在宅で老衰死される3週間の状況が表示されていて、
この83歳の男性と御子息の長男の58歳の真情が克明に描かれて、
私は厳粛な思いで、深く教示させられたりした・・。
今回、この親子の状況の記事の部分を集約しながら、無断であるが転載させて頂く。
《・・実は日本人の死因第3位「老衰で死ぬ」とはどういうことか (抜粋)
「父を老衰で亡くしてから、もう半年が経とうとしています。
83歳だった父は、重い病気を患ったこともなく、悪いところなんてどこにもなかった。
ところが亡くなる3週間前から、目に見えて体力が落ちていったんです。
私が異変に気付いたのは、今年1月のある日。
いつもと変わらない朝食での出来事が、きっかけでした。
それまで父は、決まって朝7時に朝ごはんを食べていた。
メニューは、いつも一汁三菜のシンプルな和食です。
でも、その日、急に父が『今日はご飯、食べたくないな』と言い出した。
父は健啖家で、食べることが大好きだったので、戸惑いました。
昼食の時間になっても、茶碗によそわれたご飯を一口、二口しか食べようとしない。
体調が悪いのかと尋ねても、しきりに首をひねるばかり。
自分でも何が起きたのかわからず、混乱している表情を浮かべていました」
こう語るのは、東京都在住の小林慎太郎さん(58歳、仮名)。
実父である幸助さんを半年前、老衰で亡くしたばかりだ。
慎太郎さんが、実父の幸助さんと一緒に暮らし始めたのは4年前。
母の恵子さん(享年76歳)が乳がんで逝き、一人暮らしになってしまった父の身を案じた長男の慎太郎さんが
同居を持ちかけてのことだった。
「それから亡くなるまでの3週間は、あっという間に過ぎてしまった。
父は日に日に衰弱していき、枯れ木のように痩せていきました。
父が息を引き取った時、自宅で看取ってくれたかかりつけの先生は、
その死因を『老衰です』と診断しました。
老衰というと、ただただ穏やかに、本人も含めた誰もが納得する『いい死に方』だと思っていた。
ですが実際、当事者になると、必ずしもそうではないんだと実感したんです」
いまや老衰は、国内の「三大死因」のひとつにも数えられるほど。
厚労省が今年6月に発表した2018年の人口動態統計では、
初めて脳血管疾患や肺炎を抜いて、1位のがん、2位の心疾患(心筋梗塞など)に次ぐ、死因3位にランクインした。
いま、日本では年間10万人以上が、老衰でこの世を去っている。
理想の亡くなり方を問われると、多くの人が「最期は、老衰で死にたい」と口を揃える。
だが、一度立ち止まって考えてみたい。
そもそも、老衰とは、一体なんだろうか。
そして、老衰で亡くなるまでに、どのような過程を辿るのか。
慎太郎さんが語るように、一般的に老衰は、加齢によって体が機能しなくなり、
ゆっくり死を迎えるというイメージがある。
その点で、心疾患などが突発的に起きたことで、24時間以内に死亡する突然死とは違う。
(略)
在宅で老衰死を迎える人は、一体どんな経過を辿るのだろうか。
はたしてそれは多くの人が、夢想するような「幸せな逝き方」なのだろうか。
冒頭の幸助さんのエピソードに戻ろう。
慎太郎さんは、父が自宅で息を引き取るまでの3週間を、克明に振り返る。
「父が、ご飯を食べようとしなくなってからも、
しばらくは『お願いだからちゃんと食べてくれ』と、無理やり食事を摂らせていたんです。
父も明らかに気が進まないながらも『わかったよ』と、食卓に座ってくれた。
これまで通りの量、というわけにはいきませんでしたが、一日三食は欠かしませんでした。
それでも父は、日を追うごとに痩せ細っていきました。
165センチ、55キロだった体は、たった1週間で50キロ未満にまで、体重が落ち込んでしまった。
時間が。かかってでも、食事は口にしている。
嘔吐して戻したりすることも、一切ありませんでした。
それなのに、なんで体重が落ち続けるんだろうと。
父の様子を見ていると、カロリーを摂っても、栄養がちゃんと吸収されず、 スルスルと抜け落ちていくようでした」
実は、これはまさに老衰で、亡くなる高齢者に多くみられる典型的な現象。
年齢を重ねるにつれて、体内の細胞数は、みるみる減少していく。
それが原因で、栄養素を吸収する小腸の組織や筋肉が萎縮してしまうのだ。
小腸の内側はヒダ状になっており、食事を摂った際、 そこから効率的に、養分を運べる仕組みになっている。
だが、老衰の状態になると、ヒダが収縮してしまう。
せっかく摂った食事を体内に、上手く取り込むことができず、体重減少に歯止めがかからなくなる。
「その頃になると、父の動きは、目にみえてスローモーションになっていきました。
たとえば歯を磨くときも、コップを手にもったまま10分ほど、洗面台の前で立ち尽くしているんです。
どうしたのかと声をかけても、『おぉ・・・』と返答するだけ。
それまでは、うるさいほどお喋りな性格だったのに、会話のキャッチボールすらままならなくなる。
性格まで変わったように、大人しくなってしまいました。
孫たちと遊ぶ時間をなによりの楽しみにしていた父を見てきた私としては、寂しい限りでした。
父は、庭いじりも趣味で、毎日のように庭でガーデニングをしていました。
ですが、亡くなる2週間前からは、外に出る気力も感じられず、縁側に腰かけてボーッとしていた。
体に苦しみや痛みが出ている様子はありませんでしたが、
思い通りに体を動かせないことに、本人もどこか納得がいっていないようでした。
無理に食べさせていた食事も、亡くなる1週間前になると、ほとんど受けつけなくなった。
水も一日に300mlも飲めれば、まだいいほう。
本当に舐めるだけなんです。
布団に横になる時間も増えていった。
体の水分が抜けて、まるで木が枯れていくような印象を受けました」
細胞が老化すると「炎症性サイトカイン」と呼ばれる免疫物質が、体内で大量に発生する。
この物質が分泌されると、体内の臓器が炎症を起こし、一気に機能低下が起きてしまう。
幸助さんの動きが緩慢になったのも、これが原因だ。
たとえば筋肉が、サイトカインによって炎症を起こすと、運動機能が衰える。
その結果、肺を動かす筋肉も動かなくなってしまい、呼吸も浅くなっていく。
そうやって、少しずつ生命維持が難しくなってしまうのだ。
当然、最後の1週間を迎えるころには、慎太郎さんも父の先は長くないと感じ取っていた。
普段の会話の中で、かねてから幸助さんは「絶対に病院で、薬漬けになって死にたくない」と語っていた。
そんな経緯もあって、慎太郎さんは万一のことがあっても、
父を病院に連れていかず、自宅で看取ることを決意した。
最後の3日間、衰弱していく幸助さんの傍にいながら、
慎太郎さんは、父の体調が急変したときに備え、緊急の連絡網などを整理した。
だが、それと同時に、この3週間の幸助さんの変調を、まだ受け入れられないでいた。
心の準備が、どうしても追いつかなかったのだ。
「それまでは、老衰には、ゆっくり時間をかけて死んでいくイメージがありました。
私自身も、素敵だな、そんな形で最期を迎えたいな、とすら願っていた。
でも、いざ父が衰弱していく現実に直面すると、
『あんなに元気だったのに、こんな急に体調が変わるのか』というのが率直な思いでした。
残りの2日、父は寝たきりの状態になり、目はずっと閉じたまま。
一切なにも口にしなくなり、ベッドに横たわったまま、死んでいきました。
死後、周囲からは『お父さんも、老衰で穏やかな最期を迎えられて、よかったね』
と気遣う声をかけてもらいました。
でも、私としては、どこか釈然としない気持ちでした。
どうしても、『どこも悪くなかったのに、なんでこんな急にいなくなったんだ』
というモヤモヤが消えませんでした」
☆本人は覚悟もできない
慎太郎さんが語るように、幸助さんは、老衰で亡くなる前は、
大病を患ったことすらなく、 健康そのものだった。
本人にしても80歳はおろか、90歳、100歳になっても、 自分が衰えていくとは、思っていなかったはずだ。
それにもかかわらず、ある日を境にして、たったの3週間で人生の幕が閉じられてしまった。
そう考えてみると、老衰死は、がんのように、亡くなるまで一定の時間がある病気より、
死への覚悟が持ちづらく、逆に急性心不全のように、死を意識する前にポックリ逝ってしまうわけでもない。(略)
これからも老衰死を望む人々は、後を絶たないだろう。
だが、それは必ずしも「天国への切符」ではないのだ。 ・・》
注)記事の原文に、あえて改行を多くした。
私は記事を読みながら、ある83歳の男性が、在宅で老衰死される3週間の状況が表示されていて、
この83歳の男性と御子息の長男の58歳の真情が克明に描かれて、
私は厳粛な思いで、深く教示させられたりした・・。
そして老衰で亡くなわれる御方は、このように過程を得て、この世を去るのか、
と深く教えられたりした・・。
特に《・・無理に食べさせていた食事も、
亡くなる1週間前になると、ほとんど受けつけなくなった。
水も一日に300mlも飲めれば、まだいいほう。
本当に舐めるだけなんです。
布団に横になる時間も増えていった。
体の水分が抜けて、まるで木が枯れていくような印象を受けました」
細胞が老化すると「炎症性サイトカイン」と呼ばれる免疫物質が、体内で大量に発生する。
この物質が分泌されると、体内の臓器が炎症を起こし、一気に機能低下が起きてしまう。
幸助さんの動きが緩慢になったのも、これが原因だ。
たとえば筋肉が、サイトカインによって炎症を起こすと、運動機能が衰える。
その結果、肺を動かす筋肉も動かなくなってしまい、呼吸も浅くなっていく。
そうやって、少しずつ生命維持が難しくなってしまう・・》
こうした死への旅路を私は初めて学び、そうでしたか・・改めて厳粛な思いを深く感じたりした。