今日の日経電子版の日経ストラテジーの記事でイタリアンレストランチェーン、サイゼリヤのiPod Touchの記事が出ていた。これは店員が注文を取るときにiPod touchを使って入力すると、無線LANですぐに調理場に注文が入るというものである。このシステムが順調に稼働して大きな効果を生んでいるという記事である。
サイゼリヤがこのシステムを導入したのは2012年秋なので1年半ほど前になる。私はサイゼリヤに良く行くので、導入当初のことをこのブログに書いたこともある。最初は店員さんも戸惑っていたようだったが2か月もすると慣れて全く問題なくなったようである。
このことをブログに書く気になったのは「誰がこのシステムを作ったのだろう」という興味があったからである。富士通やNECのような大手は自社のハンディターミナルを持っているのでこういったシステムを開発することはまずないだろう。中小のベンチャー的企業か、サイゼリヤの自社開発かどちらかだろうと思って調べてみた。
サイゼリヤのこのシステムに関してはネット上に多くの記事があったが開発者は見つけられなかった。ブラザー工業がサイゼリヤにネットワークプリンタを納入しているとか、サイゼリヤのPOSシステムを日本ユニシスが開発しているとかいう記事はあったので、このiPod Touchのシステムはサイゼリヤが自社開発したという可能性が高いと思う。
実際にはサイゼリヤが仕様書を書いてどこかのソフトハウスに開発させたのだろうが、システムの版権をどちらが持っているかに興味がある。その理由は、このシステムは他の多くのファミレスチェーン、居酒屋チェーンに展開できると思うからである。開発を請け負ったソフト会社が版権をサイゼリヤから買い取り、保守料金をサイゼリヤに対しては無料にするなどしてサイゼリヤと一緒にノウハウを蓄積して販売するのが良いビジネスモデルだと思う。あるいはサイゼリヤが子会社を作ってシステムビジネスに乗り出すということもあり得るだろう。
小さなビジネスのようだが、私はここに日本のソルーションビジネスの生き延びる道があると思っている。今、大手のソルーション企業が利益を出しているハンディーターミナルはいずれこのような汎用端末で置き換えられていくだろう。キャッシングレジスタなどもいずれパソコン+メカ部分、あるいはAndroid端末+メカ部分になっていくだろう。この分野は大手は自社で値段の高い特殊端末を持っていることから、積極的に汎用端末+専用ソフトという世界には入りにくい。ハードを持たないソフトハウスに大きなビジネスチャンスがあると思っている。大手も、自社のハードだけではなくソフトウェアプラットフォームも積極的に捨てて、世界で勝ち組となっているハードウェアやiOSやAndroidのプラットフォームの上に業務用システムを構築していくべきだと思う。利益率は少なくなるが、日本企業は独自プラットフォームでは勝負できないと思っている。
もたもたしていると、HPやIBMと言った外資系大手、あるいはどこかの外資系ベンチャーに大部分の日本市場を持っていかれることになると思う。
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