今、ミュンヘンに来ている。
ミュンヘンに向かう機中、日経ビジネスの付録で有力企業各社の事業戦略を読んだ。4社ほどのキーワードを紹介すると、
GE: リーダーシップ、財務規律、経営基盤、人材
住友商事: 信用、確実、浮利を追わぬ、進取の精神
ジョンソン&ジョンソン: 健康管理、長期的視点、分社分権化、人々と価値
ダイソー:自己否定
など様々な切り口から会社の基本戦略を定めている。
これらの中で最も印象に残ったのはジョンソン&ジョンソンである。日本ではおむつなどで知られているが健康機器の会社である。上述の戦略は彼らのクレド(信念)を表現したものであるが、実はその根本にステークホルダーに対して以下の価値観で臨み、それがクレドの理念につながっている、とあった。その優先順位とは1) 顧客、2)従業員、3)地域社会、4)株主というものである。この優先順位が基本理念としてあり、そこから生み出されたものがクレドだという話である。これが私には印象的であった。
会社は誰のものか?という議論が良くある。出資して会社を作るわけだから出資者、つまり株主のものだという意見もよくある。しかし、会社を法人と呼び、一種の人格を認める以上、作った後は出資者の手を離れて独り歩きをしているものだと私は考えている。
子供が親のものでないのと同じである。 強いて言うなら、会社は関係者、つまりステークホルダーのものだと私は考えている。そのステークホルダーは1)から4)に分かれている。
私自身は会社がつけるべき優先順位はステークホルダーと会社の結びつきの強さの順になるべきだと考えている。つまり一番が従業員(経営者を含む)、二番が顧客で、株主と地域社会は会社の成熟度によって変わると思っている。成熟度の低い会社は株主が重要、成熟度の高い会社は地域社会が重要という意味である。
「会社は株主のもの」というような意見が通っている中で上記のような優先順位をきちんと打ち出し、それでもなおきちんと利益を上げて、株主に対して報いているジョンソン&ジョンソンは立派だな、と思う。 私の意見とは多少異なっているが、株主を下に置く意味では一致している。投資家から質問されて上記のようなことを言いきれる会社は多くないのではないだろうか。
ジョンソン&ジョンソンの株を買う株主は会社にとっての優先順位を承知の上で買う訳で、株主総会での議論にも影響するだろう。このような優先順位を明確にすることが、マネーに踊らされる資本主義の問題点の解消に多少はつながるのではないかと感じた。
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