ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

研究開発減税縮小は問題だ

2014-08-17 17:38:29 | 経済

今日の日経1面に政府が研究開発減税を縮小して、法人税減税の原資に充てることを検討している、と出ている。私が以前、「法人税減税には反対だ」として法人税減税について書いたときの懸念が本当になってきた。

これは一言で言えば法人税を下げる代わりに研究開発費に増税するということである。当然のことながら企業の研究開発投資意欲は減少する。企業の国際競争力にはマイナスに作用するだろう。その一方で最終的に企業の手元に残る利益が増えるので株の配当が増え、それを期待して株高になる。この政策は目先の株高のために、企業の競争力を犠牲にするという短期的政策であると思う。

法人税減税幅を縮小する時に政府は興味深い工夫を入れている。それは研究開発投資額が前年と変わらない企業に対しては減税幅を減らし、研究開発費が増加している企業に対して優先的に研究開発投資減税を行う、というものである。差し引きでは増税になるようにするという。これは成熟企業に対して増税し、成長企業を優遇しようという考えで、企業の新陳代謝を促す狙いがあると思う。日本では新興企業に資金が集まりにくいので考え出されたものだと思う。

面白い考えだと思うが、税額はやはり公平さ、つまり同じ利益に対しては同じ税金が本道だと思う。税金を恣意的に操作することはできるだけなくしていくべきだと私は考えている。新興企業の優遇は資金を与えるとか税金を下げるとかいった直接的な方法ではなく、規制緩和のような間接的方法で、いわゆるイノベーションのジレンマで古いスタイルのビジネスをやっている企業が変化に抵抗することを抑えるような政策を積極的にとるべきだろ思う。その意味で、以前にも書いたように政府の各種委員会に大企業ばかりでなく成長企業のメンバーをたくさん取り込むことが重要だと思っている。

トヨタなどの大企業は今回の減税縮小に当然反対するだろうが、マスコミが今後この政策に対してどういうコメントを出していくかを注目していきたいと思っている。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿