ウィトラのつぶやき

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「Europe 2020」プロジェクト

2013-07-06 11:38:49 | 社会

ヨーロッパの周波数割り当てを調べていたら「Europe 2020」というEUのビジョンとアクション計画のプロジェクトを見つけた。これは2020年に向けてEUの統合効果を高めるために、アベノミクスの3本の矢ならぬ7本の矢からなるものである。それは
①ヨーロッパのデジタルアジェンダ
②イノベーションの統合
③動きの中の若者
④ 欧州の資源有効利用
⑤グローバル時代の産業政策
⑥新しいスキルと仕事の育成計画
⑦貧困に対する欧州としての対応策
である。内容的にはアベノミクスの第3の矢「成長戦略」をかみ砕いたものと言えるだろう。私の専門に関係の深いのはデジタルアジェンダなのでその中身を見てみると、129個の具体的行動計画ができており、それぞれについてワーキングチームができて議論を深めている。その中で周波数割り当てに関係するのは2つでヨーロッパの周波数統合行政の在り方とブロードバンド無線である。私が良く知っているのはブロードバンドだがそれだけでも大変なエネルギーをかけて議論している。そんなテーマが129個で情報通信全体、経済全体はその7倍ということで大変なエネルギーを使ってヨーロッパの統合効果を出すべく検討が進められていることが分かった。

この活動の結果の一つがデータローミングである。データローミングとは海外で携帯電話を使うときのデータ通信料金のことである。スマートフォンを海外で使うと日本だと1日2000円くらい取られるが、これは高すぎるので私などは海外に行くとスマートフォンのデータ機能を止めている。EU内でデータローミングが高すぎるのは問題だとしてこの7月1日から36%の料金引き下げを行った。これで2007年から通しでは91%の料金引き下げとなる。6年間で1/10以下に料金が下がっている。

最近、ギリシャやスペインの問題でEUの危機とかユーロの危機とかが言われているがEUと統合は深いところで確実に動いているのを見た気持ちがする。イギリスはEUを脱退するかどうかの国民投票を行うとしているが、このような議論に加われなくなるとすればイギリスにとっては明らかに不利になるだろう。 イギリスは都合の良いところだけEUに関わるつもりだろうが、そううまくは行かないだろう。イギリスはEuから抜ければヨーロッパで孤立してしまうだろう。

日本の成長戦略と比べると厚みが違う感じがする。成長戦略は一部の人間の考えと各省庁で走っている計画の中でその方針に会ったものを組み合わせた作文という感じがして実行計画、進捗のチェックなどの計画が不明なのだが、Europe 2020は実行計画が伴っている感じがする。現在日本でおこなれている学識経験者を集めた会議体を作り、官僚が事務局として仕切る、という画一的な進め方からより幅広い人を巻き込むような進め方まで幅広い政策決定のやり方を日本も採用すべきだと思う。


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