九州電力が公聴会に原発賛成のメールを出すように指示を出したと言って大きく報道されている。私はこれは明らかに騒ぎ過ぎだと思っている。
原発の是非を議論する公聴会なら賛成派と反対派が集まることは明らかである。九州電力は賛成派であることも明らかである。賛成派が、「皆で賛成の意見を言いに行こう」というのがそんなに悪いことなのか。反対派は「一緒に反対意見を言いに行こう」というメールを回していないのか。そんなはずはないだろう。そもそもメールなどには組織票が多いというのは当たり前のことだろう。
九電の下請けの人は原発で仕事をもらっている人が多い。メールを回さなくても元々原発賛成派が多いだろう。その人達に意思表示をしろという要請(私には指示というより要請に見える)することがそんなに問題だろうか。これが他の問題、例えば「どこかの政党を支持するように」というような問題ならば、「親会社の権力をかさにきて本人の意思と反するようなことを言わせた」という側面が強くなってくるが、今回はそれには当たらないと思う。ただし親会社には逆らえない人達を利用したという側面は否定できず、あまり好ましくないということは言える。メールの内容が賛成しろと言わず「ぜひ皆様の率直な意見を様々な側面から述べて頂きたい」というような内容なら、問題なかったということになるのだろう。作文の技術が上がるだけで本質には何も関係ない。問題の本質は公聴会でどういう進め方をしたかだろう。
元々は、参議院で野党が取り上げ海江田大臣が「それはけしからん」といったあたりからこの話は始まっているようであるが、このやり取りにそもそもこの人たちのレベルの低さが感じられるのだが、それに飛びついて大騒ぎをしているのがマスコミである。マスコミはそれで議論の結論がゆがめられたのかどうか、公聴会自体の進め方がどうだったのかはそっちのけにして誰がどう指示したのかばかりを追っている。中身の意義を考えていない証拠である。
批判能力の無いマスコミが日本人の論理的思考をゆがめている一例がここにも見られる。
話は違うが昨夜のNHKの原発討論はなかなか良かったと思う。ややヒステリックな意見が目立ったとは思うが大きな違和感は持たなかった。
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