ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

憲法論議について思うこと

2017-11-22 10:02:46 | 社会

衆議院選挙で与党が引き続き全体の2/3の議席を確保したことで憲法論議の話題が増えてきている。私は基本的に憲法の見直しに賛成なのだが、自民党に対しても、野党に対しても、メディアに対しても進め方には違和感を持っている。

それは、「どこをどう改正するか」という具体論がさっぱり見えてこない点である。具体論としてこれまで挙がっているのは安倍総理の「自衛隊明記」くらいである。野党とメディアは自分の意見は一切言わないで「自民党案が出てきたらその文言にケチをつけよう」という態度に見える。自民党は内部で議論しているのだろうが、その内容は一切出てこない。

私は「議員AはX案が良いといった」「議員BはY案が良いといった」ということをリークして、国民の中での憲法論議を盛り上げるのが良いと思っている。その結果としてどの案も全体の賛同を得られなかったとしても、十分な前進だと思う。この問題は国民にプロセスを隠して議論して「賛成か反対か?」を問うような問題ではないと思っている。

私個人の意見としては、問題は「戦争放棄」だけではない、と感じている。例えば「誰が国民か?」というようなことは国の根幹をなす考えだと思うが憲法上明記されていない。数年前に選挙権が20歳以上から18歳以上に引き下げられたが、「誰に選挙権を与えるか」という問題を通常の法律で定義してよいものだろうか、と感じている。通常の法案で選挙権年齢を引き下げられるということは、引き上げることも可能だということである。選挙権のありかたを過半数の議席を取った政党が変えて良いものだろうか?

より具体的な問題としては、「18歳以下の子供に選挙権を与えなくてよいのか?」という気持ちを持っている。中学生以上に選挙権を与えたってよいではないか、と私は感じている。親の意見が強く影響するだろうが、それでも良いと思っている。あるいは選挙権を年齢で切るのが適当かどうか、という疑問もある。日本人の義務は憲法に明記されていて、納税、勤労、教育である。このどれも果たしていない人でも選挙権を持っていて、若いというだけですべての義務を果たしていても(教育は無理だろうが)、選挙権を持たない人もいる、というのはどうなんだろう?と感じている。

憲法というのは日本のビジョンと強くつながっている。野党やメディアのように憲法論議をしたら損か得か、というような判断で議論をするのではなく、「日本はどうあるべきか?」というような観点で議論を活性化するのが重要だと思っている。



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2 コメント

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憲法論議 (世田谷の一隅)
2017-11-22 12:55:04
1.憲法論議
誰がどの条項に賛成とか反対とかの具体的な論議になると恐らく「国民の合意、総意」がバラバラになってまとまらないのを自民党は懸念しているのではないかと思います。

真摯な論議が進むためには、論議しやすい項目に重きを置き論議を進めようとの思惑だと思います。本音は第九条かもしれないけど、それだと直球過ぎるので、教育まで無償だとか、解散権の制限だとか飾っています。私は九条だけで進めてもいいと思っています。余り色々な条項を拡げて、国民投票にかけるのは却って分散してしまうように感じます。

国民の多くは、自衛隊の存在を認めており、文字面で見ると全ての軍備を禁止した九条に矛盾するのは感じています。それを解消するための文語を追加するだけで、「憲法改正」のタブーは克服できると思います。

明治憲法の公布以来、日本の国民は国会議員を除き、憲法の条文の是非に投票したことがありません。今の憲法もマッカーサにより明治憲法の改訂の形で国会のみで発布、公布されたのであり、国民は賛否を投票の形で示したわけではないのです。ですから、国民が「投票により意思表示する」ことが大切なのだと思います。

2.有権者
ウィトラさんの指摘するように国民の3大義務(納税、勤労、教育)のうちの義務教育を終えて働いている多くの若者は、これらの三大義務を果たしているにもかかわらず、投票権がないのは確かにおかしいですね。この点は、もっと論議されるべきでしょう。消費税という仕組みが導入されたので、殆どの国民は何らかの「納税」をしています。「勤労」は定義と尺度が難しいのでどうしても精神的な性格になります。

15歳から18歳までの若者に投票権を与えて大丈夫か? と心配するのは、認知が始まっている高齢者に投票権を与えたままにしているのと同じくらいにおかしいと思います。
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私は「前文」が一番馴染めません (UCS-301)
2017-11-23 13:39:15
学生の投票権については、家族の影響を受けるならまだしも、おそらく一番影響を与えるのは教師(またはスクールカーストの最上位者)からということになることが、あまり好ましくないように思います(日教組が減ったとはいえ…)。結局どこかで線を引くしかないのですが、そうすると飲酒、運転免許など色々な年齢制限も揃えるべきかと思います。中学卒業(15歳)あたりは確かに妥当のような気がいたします。

憲法に日本のビジョン(つまり未来)を反映することは難しいように思います。未来予測はできないが故に、意見が必ず分かれるためです。憲法とは国体(國體)であり、確実なのは過去から現在まで積み重ねられたものしかないように思います。

あえてビジョンと言えるものは、現在の日本国憲法で言うと所謂「前文」にあたると思いますが、あまりにもリアリティに欠けています。そして敗戦国の反省文以上には見えません。さらに日本語訳にも失敗しています(米国製を意識させるために態と失敗しているという説もあるくらいです)。私は「前文」が有る限りいくら9条を改正しても本質的な解決にはならないと思います(改正しないよりはマシですが…)。

構造的に今の日本国憲法は、日米安保条約の元にしか成り立たない憲法であることを日本国民全員が認識すべきです。そもそも独立国家の憲法ではないと意識することが重要だと思います。

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※ 個人的には、憲法は誰しもが反対しそうにない程簡素化して、詳細は法律でカバーすれば良いと思いっています。ただ、今の法改正論議の工程はあまりにも不透明過ぎます(メディアが殆ど取り上げないことと、野党が不甲斐ないせいもありますが…)。
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