昨日は大きなニュースが無かったと見えて、今朝の新聞の一面トップはばらばらだった。
毎日新聞は東南アジアの海域での中国の軍事活動を書いていたし、日経新聞は各国で銀行の国債引き受けが急増している、という話だった。毎日の中国の軍事戦略も重要な話で、沖縄基地などについて何か語ろうとする場合には知っておくべきことだが、今日は国債引き受けのほうについて書いてみたい。
先日、私は日本政府が国債発行額を増やしている点が円高につながっているのではないか、と書いたがこの記事を見てますますその思いを強くした。銀行の国債引受額は民主党政権になってから急増している。ということは銀行の資金が国債に回り、市場で円の資金需要が高まって円高になっていると思えるのである。
日本企業の国際競争力が高まっている時ならば円高は海外事業の買収などをやりやすくするので良いことである。しかし、日本企業の国際競争力は下がっている。価格で勝負しなければならないような状況下での円高は致命傷になる。円高→輸出企業の業績悪化→日のん全体の競争力低下、という構図を拡大している感じがする。
日本の内需型企業の国際競争力が高いのなら円高でこういう企業が海外に出ていく後押しをするので国の役に立つだろう。しかし国外に出て行って戦えそうなのがごくわずかな企業で、日本全体でいえば内需型企業の競争力は製造業に比べてはるかに低いというのが実態だろう。こういう環境で競争力のある輸出型企業を円高で痛めつけると、日産のように外に出て行ってしまい、ますます日本の競争力は下がると思う。
自民党政権は、輸出企業を守るためにゼロ金利を継続して円安を維持していた。しかしこれはリーマンショック以降殆どの先進国がゼロ金利に近くなったとことで破たんして円高になった。民主党政権は内需拡大を目指した。内需拡大は本質的に円高になりやすい政策である。それでも規制緩和などで内需型企業の競争を激化させ効率を高めるのならば長期的には日本のためになるが、逆にばらまきで弱い企業を助け起こすという亀井大臣型政策をとったために、内需企業は足腰が強くならず、資金需要が増えて不況下の円高という流れになっていると思う。
菅政権の内需拡大から景気を良くするというのは実現可能性がゼロではないが極めて難しい政策である。内需型企業の国際競争力を強化する、と言った物差しも持たない限り、必ず失敗すると思う。
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