キリンとサントリーが統合を目指して検討していたが、お互いにこれ以上検討することを中止すると発表した。
発表内容をみると統合比率で合意できなかったとあるが、私にはそれ以上にサントリー側に上場会社になる決断ができなかったことが大きいように思える。
交渉経過をみるとキリンが1対0.5の比率での統合を提案したのに対してサントリーは対等合併を提案した。キリンが1対0.7まで譲ったのに対してサントリーは譲らず、両社とも統合を諦めたとある。
しかし、両方の社長のコメントを読むと、サントリーが株式上場会社となるというのはどういうことかを理解しておらず、交渉の過程でそれを理解するにつれて、受け入れ難いと感じたことが読み取れる。
キリンからすれば迷惑な話である。最初から上場会社になる意思がないのであれば統合の交渉を始めるまでもなく、あきらめただろう。それをメリットだけを考えてサントリーが統合の話し合いに応じ、「やっぱり株式上場するのはいやだ」と言い出したのだから受け入れられるわけがない。
統合比率にしても私の感覚でもキリンのほうがずっと価値の高い会社だと思う。1対0.7はキリンとしては相当に譲った数字だと思う。今後、キリンは他の会社との合併などを検討することもあると思うが、サントリーに声をかけるところはないだろう。
今回の報道で感じるのは朝日新聞の経済音痴ぶりである。統合の大きな要因はサントリーの創業者である鳥居一族が拒否権を発動できるレベルの株式を持つかどうかであったことは各社報じている。しかし、キリンが1対0.7の統合比率を提案した時点でキリン側は既にそれ自体は受け入れることを示している。
朝日新聞だけがサントリー創業者の拒否権を受け入れなかったのが破談の原因であるかのような報道をしている。朝日新聞は政治や技術には強いが経済には弱いと改めて感じた。
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