今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

甲状腺被曝を導いた政府

2012年03月09日 | 東日本大震災関連
今日の朝刊(朝日)によると、
浪江町津島地区にいた人(住民、避難者)から
国際基準値(50mSv)を超える放射性ヨウ素による甲状腺被曝者がいることがわかった。
その人たちは、甲状腺ガンのリスクが高まった可能性がある
(ちなみに、週刊文春では2月にもっとセンセーショナルな記事があったが、
それはガセだと分かっていたので、言及しなかった)。

人の災難に対して、”それみたことか”といいたくないが、
これは国(政府)がSPEEDIの情報を無視し、避難区域を”距離”に固定した結果である。

同地区は、原発から北西に30キロ離れており、
原発事故直後の12日に10キロ圏内の避難区域に指定された人たちが避難先にした所。

原発事故が起きた際、まずは原発からの”距離”で避難区域を設定するのは致し方ない。
しかし、現実の放射性物質はきれいに同心円上に拡散するわけではなく、
主に風向に沿って拡散される。
それゆえ、気象状況にもとずく拡散シミュレーションができるなら
(風向の予測は気圧配置と地形から高精度にできる)、
それを用いた方が拡散の予測精度が高くなる。

実際、国はSPEEDIという莫大な予算を使ったシミュレーションシステムを構築していた。
そしてSPEEDIは原発から北西方向への飛散を的確に予測した。
だがご存知のように、国はその情報を黙殺した。

それによって、放射性物質から逃げたつもりの人々を、
それが流れていく方向へ導いただけでなく、
本来なら屋内退避をすべきその地の住民に平気で外出(被曝)させた。
その結果がこれである。

避難区域は”距離”ではなく、早ければシミュレーション、
遅くても線量の実測値によって、
”線量分布”にもとづいたものに変更すべきであった
(このことはこのブログでも再三言ってきた)。
ところが国はずっと”距離”にこだわっていたため、
浪江町やその北西部の飯舘村の線量の高い地域の住民の被曝量をいたずらに増やし、
逆に南相馬市の海岸部のような線量がまったく低く、
津波被害が大きかった所の復旧を妨げた。

今さら蒸し返しても仕方ない事ともいえるが、
原発事故につき物の”隠ぺい事例”はどんどんあぶり出し、糾弾すべきである。
だからといって、”次回”はちゃんとSPEEDIを公表してね、と言うのもなんだか…

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