今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

放射能汚染の予測に消極的な理由

2015年03月10日 | 東日本大震災関連

3.11が近づいたので、久々に震災関連の記事を書きたい。

次に原発事故が起きた場合(福1でも起こりうる)、政府(政権党が違っていても)はまたもや住民避難を誤りそうだ。
なぜなら、避難判断にモニタリングポストの実測値だけを使い、SPEEDIなどの数値シミュレーションを採用しないという決定をしているから。

これに対して日本気象学会は、数値モデル予測値を活用すべきと学会誌上で提言している(『天気』2015年2月号)。

日々の天気予報は、アメダスの実測値だけでは無理で(単純な線型予測しかできない)、地形などの複雑なパラメータも使った数値シミュレーションを使って実績をあげている。

福島第1原発事故の時、当時の政府は原発からの”距離”で同心円状に避難措置を講じた。
情報が何も無い場合は、そうするしかない。
だが実は、SPEEDIで風向風速を考慮した拡散シミュレーションが、放射能汚染は同心円状ではなく、北西部に集中することを予測していた(事後になってそれが公表された)。

ところが当時の政府はその結果を公表しないどころか、まったく活用もせず、同心円状の措置を続けた。

その結果、浪江町の海沿いの住民を、もっとも汚染が濃い北西部にあえて避難させ(不必要な被曝をさせ)、
その北西先の飯舘村にも汚染が拡がっているにもかかわらず、30km圏外のため住民をそのままにした。
一方ほとんど汚染がなかった南相馬市の漁港では、津波被害が甚大で、救助を待っている被災者がいるにもかかわらず、距離的に近いがために無理やり住民を避難させたため、救助されない死者を増やした。 

関東への汚染は、放射性プルームが風向や降水によって帯状のエリアを移動した結果だ。
この動きは雨雲の移動予測と同じ技術で可能。
だから大雨警報と同じく、「放射性プルームがあと2時間後に上空に達するから、外出を控えるよう」警告を出せる(出せた)。
4年前の3月15日と21日に関東でも不必要に放射能を浴びたした人たちが大勢いる(健康被害の量ではない)。 

たぶん、政府は放射能汚染の”予測”情報が出ることそのものに怖れを抱いているのだろう。
そりゃ予測だから実測値のように正確無比ではなく、外れることもある。
正しくない情報を出した場合(=空振り)の”責任”をこそ、何をおいても回避したいのか。
へたに情報を出すとパニックになるという誤った「パニック神話」にとらわれているのかもしれない。
情報は正しい対処を導き、情報の隠蔽がパニックあるいは逃げ遅れによる実害を助長するのに…。


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