さて、湯元温泉に入る。
宿の浴室は石造りで、木造好みの私としてはちと残念だが、浴槽に満ちる湯が白濁して硫黄(正しくは硫化水素)臭をあげており、"this is 温泉!"という雰囲気は充分。
湯の色は季節によっても異なるらしく、今は緑白色。
さてまずは源泉の分析表を解読してみよう。
湯元の源泉は温泉街の北のはずれにあり、そこを歩きまわることもできる(熱傷に注意)。
この宿が引いている源泉の泉温は66℃。
pHは6.6と中性。
溶存物質の総計は1411g/kgと1000は越えているので、なんとか療養泉に合格。
ただし決して濃くはない。
陽イオンではナトリウム、カルシウムが多く、陰イオンでは硫酸が断トツ。ついで炭酸水素、塩素と続く。
以上より、泉質は、「含硫黄−カルシウム・ナトリウム・硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉」。
泉質適応症としては、ナトリウム・炭酸水素塩などが皮膚によく、硫黄・硫酸関係が、高血圧・動脈硬化に効果。
ただし高血圧・動脈硬化は熱い湯そのものが禁忌になっている。
ちなみに、基本的に源泉かけ流しで、湯温調整のために加水しているかもしれないが、塩素循環湯ではない。
さて、私による浴槽の湯口からのサンプル試験の結果は、
残留塩素0.0mg/L(当然)、pH7.5(源泉よりアルカリ化している)、Mアルカリ度は180mg/L。
湯が白濁するのは、源泉にアルカリ成分が加わるためだともいうので、その結果か。
そして電気伝導度は1384μS(39℃)と、期待した程の値でないのは、源泉自体が濃くないためである。
驚いたのは、酸化還元電位で、なんと−225mV。
今まで測った中の負の最高値(それまでの最高値は玉川温泉の水道水の−100mV)。
値が負に傾くほど還元水の度合いが高いという。
酸化還元電位の負への方向は、水・温泉における”新鮮さ”の指標なのだが、これほどの値だと逆に新鮮さ以外の何かが影響していると思いたくなる。
源泉かけ流しなので、上がり湯はしないで、しかも温泉につけたタオルで体を拭いて、温泉成分を肌に残しておく。
そしてそのまま寝たら、朝まで体が火照って、部屋の暖房は止めて寝ても暑くて掛け布団を足で剝いで寝たほど(それでも冷えなかった)。
といっても温泉を肌に付けたままだと体が硫黄臭いので、帰宅する朝湯の後はさすがに上り湯をして、温泉をきれに流した。
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