日本での通り魔的殺人事件は、庖丁やナイフなどの刃物が凶器であると考えてよく、
たとえばホームでの”突き落し”という凶器を使わない例もあるが、少なくとも銃や爆弾は考えなくてよいだろう。
ならば、われわれ善良な市民は、自分と同行者の身を守るために、これら刃物に限定した防御を考えておけばよい(というより、考える必要がある)。
ナイフ類は、刀とちがって、”切る”よりも、(特に致命傷を与える場合)”刺す=突く”ことが攻撃動作となりやすい。
突く攻撃は、受け側にとっては動線が最小限の点状で直進してくるので、線状である”切る”よりも防御が難しい。
突く武器に対しては、古典的に有効なのは、その動線を真正面で遮断する”楯”だが、現代人にとって、楯に代用できるのはせいぜいアタッシュケースくらいで(しかも把手の位置から防御態勢はとりにくい)、そのようなものは携行品にはなりにくい。
次善の防御法としては、”払う”がある。
これは突く動線を、まともに受けずに、横から力を与えて変更させるもので、剣術において”突き”に対して使われる方法(体捌きでかわすことが第一だが)。
これなら硬い棒状のものであれば可能だ。
といっても木刀や警棒を携行するわけにはいかない(銃刀法違反だから)。
棒は長いほど間合いがとれるので、刃物より長いステッキなら申し分ない。
だが、ステッキは今では(チャップリンのような)紳士の道具から脱落し、歩行困難者の補助道具となっている。
つまり健康な者が持つアイテムではなくなっている。
私はステッキの復活が一番有効だと思うが(そもそもステッキは市民男性の防御用具だった)、少なくとも当面はむずかしい(雨天なら長めの傘で代用できるが)。
ではその次にくる対処法はなにか。
払うにしても、長さを犠牲にして、むしろ日常的携帯を主眼においた棒状のものがよい。
しかも武器とみなされずに「銃刀法」にひっかからないもの。
つまり、ステッキや傘のような何かの”道具”であるもの。
それに該当するのは、新選組の芹沢鴨が常用していたあれがある。
それは、”鉄扇(てっせん)”(写真)。
鉄扇は、100%扇なので、武器ではない。
ただ材質が鉄なだけ。
これはもともと簡単な防御のために存在していた。
武士といえども、安易な刃傷沙汰は避けたいから。
なので私は、鉄扇は現代の”脇差”だと思っている。
茶人や町人ではなく、武士を気取って和服を着るなら、ぜひこれを腰に差したい(扇はもともと腹ではなく、腰に差していた)。
標準的な八寸の長さなら一万円前後で買える(たとえば秋葉の「武装商店」、ネット通販でも)。
これより大きいのもあるが、扇としてでかすぎ(道具になれない)、携行しにくい。
鉄扇は扇なので、和服なら、そのまま帯に差して歩ける。
洋服ならズボンの尻ポケット(利手側)に差し込める。
鞄の中にしまっては、いざという時、間に合わない。
ちなみに、鞄は利手でない手で持つこと。
本体は袋に包んでおく(あおぐ以外は開かないので、袋に入れたままで使える)。
袋は鉄扇を買うと、たいていついてくる(写真の鉄扇の下に敷いてあるのが袋)。
あくまで防御用だから、持って身構えることで、攻撃抑止ができれたらそれで充分。
実際の使用法は、『鉄扇術』と題したテキストがあるのでそれを参考にするとよい。
個人的には、『小太刀術』(脇差剣術、あるいは「チャンバラ」)が身体の動きを含めて参考になる(手の延長として使う)。
鉄扇の代わりに、「十手」でもいいが、現代人の携行品としてはちょっと違和感ありすぎ。
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岐阜のような田舎でも、発砲事件はあるし(意外とヤクザやさんがたくさんいらっしゃるようです。)いざという時自分の身は自分で守らねばならない昨今。小さい子を持つと余計にため息が出ます。今は身重なので、元気いっぱいの3歳児を追いかけるのは一苦労、ましてチビが生まれてきたら…と思うと、安城のように買い物中に襲われないことを祈るばかりです。
お子さんができると、家の中でさえ、「安全」の視点で見直しが必要になるでしょう。外の世界なら、なおさらです。
具体的にどういう対処が必要かは、個別に考えねばなりませんが、
たとえば、一方通行の道路では、”運転者側”を歩いた方がいいとか、
駅のホームで電車を待つ時は、足を”前後”に開いて立つとか、
日常の行動を「安全」の視点から再検討してみることです。
鉄扇って今でも売られているんですね!
初めて知り興味がわきました。
本当に外国程ではありませんが日本もどこも危険ですよね・・
イギリスに住んでいた時には色々周りから言われて犯罪に巻き込まれないよう凄く気を使いましたが、帰国してからも気にする癖がついたのは少し良かったと思っています。
対策を考えることも大切ですよね!
同じマンションの住人に対しても警戒が必要な世の中になりました。あと日本だと地震に対する備えも必要ですね。