今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

閉眼片足立ちが困難な理由

2020年07月12日 | 健康

脚部の簡単な筋トレとして片足立ち(片足ずつ5分)をやっていて、その記事(片足立ちで鍛えられるのは)は今でも毎日一定のアクセスがある。

両足でなら数時間立ちっぱなしでも平気なのに、片足だと5分で筋肉が疲労する。
しかも、殿筋から足底筋まで疲労するから、強度的にも部位の広さ的にもトレーニング効果が期待できる。

ただ、その記事でも記したことだが、閉眼すると、とたんにふらついて、片足立ちを維持するのが難しくなる(追記:練習すれば、次第に長く維持できるようになる)。
筋肉の問題ではなく、身体バランス(重心の揺れ)の問題だ。

開眼では安定して立てるのに、閉眼でもたなくなるのはなぜか。

閉眼という身体状態が問題なのか。
それを確認するため、開眼したまま両手で両目を覆ってみた。
すると、バランスがくずれる。

片目をあけておくと(もう片目は閉眼)、まったく問題なくバランスは保たれる。

つまり、閉眼という身体状態の問題ではなく、視覚刺激の不在によるといえる。

さらに試しに、部屋を真っ暗にして、開眼で片足立ちをしてみた。
するとやはりバランスが不安定になる(危険なのですぐやめた)。

以上でわかったことは、大脳皮質後頭部の視覚野から、意識とは無関係の小脳の運動バランス中枢へ信号がいき、
その視覚刺激をたよりに小脳は身体のバランスを維持しているということだ

※この、そして以下の推論は、私の主観によるもので、科学的証拠に基づくものではない。ここの記事は学術論文ではなく、私のブログだから。

すなわち、意識の中枢とは遠い所にある小脳(ただし神経細胞の密度は大脳以上)は、大脳の視覚という意識現象の一部を、手がかりにしているわけだ。
だから視覚刺激が安定して供給されている限り、姿勢バランスに苦慮どころか、留意する必要すらない。

細かく言うと、視覚情報で、3次元空間の準拠枠、とりわけ鉛直方向の軸が固定されることによって、姿勢の重心を固定する運動調整が可能となるようだ。

実際、片足立ちで閉眼すると、足裏にかかる重心が、あたかもなにかを探し回るかのようにランダムな方向にブレ出し、しかもそのブレの大きさもまたランダムになる。
重心のブレが一定限度以下なら、意思の力(随意筋による重心の調整)で抵抗できるのだが、突然大きなブレがやってきて、抵抗できずに重心が足底からはずれる(すなわち片足立ちが不可能になる)※。
このランダム性こそ、重心維持の手がかりを失った小脳が、その準拠を探索している現象に思える(ランダムが一番効率的?)。

この探索は生理的には意味があると思うが、姿勢維持が困難になるほどブレることは、実際問題として危険を招く。

※:試しに閉眼両足立ちをやってみた。両足の左右を着けて立っていると、やはり重心はブレ始め、完全に片足側にくることがある(逆の片足立ちだったら倒れている)。両足立ちなら5分でも閉眼で立っていられた。これは基底面の横幅が2倍になった効果によるものだ。

ここで思い出すのは、以前長野県飯田市にある元善光寺(→リンク)に、長野市の善光寺と同じく、内陣直下の空間を巡る「お戒壇めぐり」があり、その時は他の客がいなくて、たった一人で入った時のこと。
本尊の真下に達して真の暗黒状態(上下四方すべてが暗闇)になった時、ただならぬ恐怖感におそわれた。

その恐怖感は、足下と手先が見えないことによって、とんでもない危険な空間に落ち込んでしまうということへの恐れだった(ちょっとおおげさな物言いだが、段差につまずいたり、壁にぶつかったり、頭をぶつけたりという危険がまたったく分からなくなっているという恐怖)。

問題はここだ。
実際にこのような視覚的な手がかり・足がかりのない空間になると、小脳の重心維持機能も固定されなくなって、ランダムに揺動することになるわけで、そうなると実際に身体バランスをくずして、暗黒の中で、転倒したり、思わぬ方向に歩き出してしまうおそれがある。

もっと簡単に言い換えると、視覚刺激がなんらかの事情で減少すると、それに応じて重心維持が困難になり、転倒の可能性が増える。

この問題の根本は、小脳の重心維持能が長年の習慣(条件づけ)によって視覚に頼りすぎたことではないだろうか。
年配者ほど閉眼片足立ちの持続時間が短いというが(年代差だけだと、筋力の衰えの説明で終ってしまう)、ここでは開眼−閉眼の持続時間差が問題になる。
この差にも年代差があるなら、視覚への依存度の違い、あるいは非視覚的空間把握能の衰えといえるかもしれない(アクセルとブレーキの踏み違いにも関連?)。

非視覚的空間把握、とりわけ身体バランスに関係するのは、内耳の耳石だ。
耳鳴りを患っている私は、内耳の損傷によって、閉眼での重心バランスが悪いのかもしれない。
小脳内部でいうと、前庭小脳(内耳→身体の平衡)から脊髄小脳(四肢の姿勢保持)に至るルートだ。

幸い、小脳も学習機能があるという(神経細胞が密なのだから当然)。
学習を可能にする脳神経細胞の可塑性は、歳をとっても0にはならない(記憶が可能なように)。

私が求めたいのは、視覚刺激に頼らなくても重心を維持できる、いわば小脳の(文字通りの)自立。
いわゆる、サーカスなどの綱渡りのプロは、目隠しをして見事にまったくブレない重心維持が達成できている。
あれこそ、トレーニングの賜物だろう。
そのトレーニングを片足立ちでやってみたい。
もしかしたら内耳のトレーニングにもなるかもしれない。

それが実生活でどう役に立つかはわからないが、
たとえば、両側が絶壁になっている信州・戸隠山の「蟻の戸渡り」(→リンク)を、目隠しはしないまでも、濃霧の薄暮の中でも平気で渡れるようにはなれそうだ(日中に開眼で渡ったことはある)。

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