今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

自宅の災害危険度の事前確認:気象災害編

2020年07月04日 | 防災・安全

今年も梅雨末期の大雨被害が出る時期になった。
例年、九州を中心とする西日本で、死者が出ている。

気象災害は、地震と違って、雨量などの予測と実況ができ、警報も発令できる。
すなわち、対処可能なはずなのだ。

それでも毎年人的被害が出るということは、避難のタイミングや方法などにまだ問題があるのだろう(洪水・土砂災害による物的被害は防げない)。

数年前に、分りにくかった警報基準が5段階に整理され、分りやすくなった。

その最高位のレベル5は「大雨特別警報」で、避難指示基準(レベル4)を超えた状態で、「下手に避難をすると危険」という、ある意味手遅れのレベルだ。
だからひたすらテレビでは「命を守る行動」を訴えるだけとなる。
そうなる前に住民はなんとかする必要がある。

そうなる前のレベル4の避難指示は、自治体の長が発令するので、範囲は行政区画単位となるため、さらに細かい地域差、いや、個々の家屋によって実際の危険度が異る点は考慮されない。

それが各家の避難判断を難しくしている。
実際、過去に避難勧告・避難指示が出ても、自宅はまったく安全だったという例も多いはず。
※:避難勧告は避難指示と区別がつきにくいため、今回を機に避難指示に一本化された。
なら、次回もそうなのか。
もちろんそんな保証はない。
そして、下手でない避難はどうすればいいのだろう。

災害危険度は個々の家によって異なるので、各家庭で事前にそれを確認することだ。

具体的にどうすればいいか、防災士の視点から、各家によって異る点そして事前に確認すべき事項を列挙する。


●河川からの距離と、家の敷地の相対的高さを確認する。
まず、近くの川が氾濫した時、わが家が被害を被るか
家の敷地の標高が堤防より高いか低いかを等高線付きの地形図で確認
自治体発行のハザードマップでも確認できるが、ハザードマップは特定河川の氾濫に限定されていることに注意

●家の周囲の微地形:台地、傾斜地、窪地、谷地、平地のどれか。
日本の住宅地のほとんどは河川の氾濫によってできた沖積平野(平地)に密集している。
それ以外は、土砂災害の危険がある谷地か傾斜地沿い。
安全なのはその中間の狭い台地だけなので、日本で安全な所に建っている家は少ない(浸水・土砂災害のどちらかあるいは両方の危険がある)。

●家の裏側および避難路に、土砂災害危険箇所(区域)があるか。
水も怖いが、土砂の塊はもっと危険。
家の裏側に土砂災害危険箇所があるなら、増水以上に危険なので、避難を早めにする。
地域の土砂災害危険個所(たいてい人家の近くにある)は国交省のサイト等で確認できるので、事前に確認(下のリンク先参照)。
また、がけ崩れの”前兆現象”などを事前に知っておく(自治体の防災サイト等)。

●避難所までの距離(歩行可能か)とルート上の危険度
歩いていけない距離なら、当然避難判断を早めにするしかない。
避難路は、以下がないことを確認:
土砂災害危険箇所、用水路、橋(川を渡る)、ため池、窪地(車道の場合はアンダーパスも)
これらを通らない避難路(避難先)をあらかじめ選定し、実際に通って安全性をチェックし、ルートを頭に入れること。
避難先は、行政の指定先である必要はなく、親族の家などでもよい(そこの危険度チェックも必要)。

●家族に避難に時間を要する人(高齢者、障害者、乳幼児など)がいるか。
いたら避難指示の前の警報レベル3で避難開始をするべき。
川べりに多い特養ホームの避難はたいへんなので、できたらこの段階で近くの住民が手伝ってほしい(まだ住民は避難しなくてよいレベル)。

●家は、平屋か2階建て以上か
ほとんどの浸水は2階にまでは達しないので、家の2階以上が避難先になりうる(平屋の人は屋根に上がる手段を考えておく)。
もちろん土砂災害の危険がないことが前提。
ただし、川に面しているなら、家ごと流される場合がある(川からの距離が判断規準)。


以上を平常時に確認をして、家ごとの危険度(浸水、土砂災害)と避難先・ルートを確認しておくこと。

これなしに、自主的な避難判断は難しく、そのため避難が遅れて致命的事態になってしまう。
これを読んだ読者は、さっそく着手してほしい(いくつかはネットを使えば机上で可能)。
くれぐれも、防災は、地震だけではないのだ。

そして、大雨時には次の記事を参考に→梅雨末期の大雨で毎年死者が出のはなぜか

→「自宅の災害危険度の事前確認:地震災害編」へ