いまや全国的に「外出自粛」状態。
確かに、なにが問題かわからない人、わかってもそれを制御できない人は、外出そのものを控えるしかない。
しかし外出それ自体がタブーなのではない。
問題点がわかって、それを制御できる範囲内なら(すなわち、独力で適した行き先を探せるなら)、外出してかまわない。
どういう外出なら問題ないか。
原理はとても簡単。
3密を避け、社会的距離を実現できればいい。
公共交通機関を使わず、人がいる店に入らず、マスクをして会話を最小限にし、できるだけ物に触れないこと(要するに、皆が集まる繁華街・商店街・公園・観光地ではない所)。
そして帰宅したら、真っ先に手指消毒をすること。
外出自粛を続けて家に篭りっぱなしだと、それがストレスとなってくる。
家族がいても、一人暮らしでも、ストレスの原因は違っても、結果は同じ。
実際、毎朝測る血圧が3月からずっと高めをキープしている(毎日降圧剤を飲んでいるのに)。
そこで、この時期、あえて岐阜の中津川温泉の定宿(私が一番お気に入りの宿)に連泊することにした。
もちろん定宿を応援する気持ちもある。
今は、あちこちの宿が軒並み休館となっているなか、ここはしぶとく営業を続けている(併設の日帰りクア施設は休館)。
こういう時だから、客は激減しているだろう。
だから、温泉大浴場もほぼ貸切だろう。
ここはホテルだから、フロント以外では他者と会話する必要がない。
今の時期は、食堂となる複数の和室の一部屋ごとに一室分の客が配分され、同室者がいない状態での食事となる。
つまり宿によってきちんと制御状態になっている。
往復はもちろん自家用車。
こういう時だから、道中に立寄れる”薬師様”を巡ることにする。
疫病退散を祈るため。
しかも、こういうマイナーな立ち寄り先は、誰にも会わないで済みそう。
往路は、国道363号通称ハナノキ街道。
途中、土岐市鶴里にある正福寺(中部四十九薬師霊場の1つ)に立寄る。
細野城跡が近くにあるが、山城巡りは次の機会に。
ただこの寺、立派なのだが、しんとしている。
曹洞宗の寺らしく、参拝者を迎える雰囲気がない(良く言えば観光寺院化していない)。
なので閉まったままの本堂前で合掌しておしまい。
→帰りに再訪したら、実は本堂の扉は片方は開けられた。なので堂内に上がって礼拝できた。
次の薬師を目指して走っていたら、道脇に「薬師寺」の手製看板を発見(恵那市山岡町原)。
リストになかったが、もちろん立寄る。
ガラス越しに本堂の仏像をおがむが、どうも釈迦如来ぽい(薬壺がないのと脇侍から)。
本堂以外にあるのは大師堂だけ(真言宗だ→と思ったら曹洞宗)。
ここも本堂前で合掌した。
本来目ざしていたのは、山岡町の恵南ささゆり街道沿いにある薬師堂。
これは道端にある無人のお堂で、堂内の本尊は、なんと花崗岩の岩(写真中央)。
べつに形象石でもない普通の岩。
右に木魚が置いてあったので、賽銭を入れて数回たたいた。
うーん、なかなか本物の薬師様に出会えない。
ちなみにいずれも、私以外に誰もいなかった。
今日の立寄り予定はこれまでで、宿に着く。
日帰り施設が休みなので、宿前の広い駐車場はガラガラ。
マスクをつけて車から降り、迎えに出て来た顔なじみのスタッフ(もちろんマスク姿)と会話をする(互いにマスクをして、離れての会話は数分以内)。
宿のサービスでいつもと違うのは、夕食時にアルコールの提供が19時までとなったこと(岐阜は特定警戒都道府県だから)。
私の夕食タイムは18時からなので無問題。
それに在宅勤務用の新しい宿泊プランとして、朝夕の食事を松花堂弁当で部屋のドア前に届けるプランがある(普通の会席プランより割安)。
これならコロナ感染者や自己隔離したい人に使えそう(客室はすべてバストイレ付き)。
チェックインを済ませて、客室に荷物を置き、マスクをはずして、まずは何をおいても温泉に入る。
大浴場に一人なので、総檜の浴槽内で思いっきり手足を伸す。
湯から出て石鹸で全身を洗浄する(温泉旅では、風呂には1日4回入るが、石鹸で体を洗うのは最初の1回だけ)。
部屋に戻り、洗面所で今一度石鹸で手指消毒(なぜなら部屋に入るドアの把手を触ったから)。
さぁ、今から重要な作業にとりかかる。
持参した消毒スプレー(ウイルスにも効くという)を取り出し、室内の手に触れそうな所にすべてスプレーを噴霧する(もちろん宿側でも消毒はしているだろうが、し忘れている所もあろう)。
このスプレーは、噴霧した後は拭かなくて済むのが楽。
しかも効き目が一ヶ月もつというから、スプレーするのは一度きりでいい。
またオーガニック原料なので、肌に触れても問題ない。
なので部屋の備品のポットや湯飲みにもスプレー。
とにかく、スプレーを片手に持ったまま室内を移動し、手で触れそうになったら、触れる前にスプレーをする。
この後、室外に出る時も携帯して、エレベータボタンなどをスプレーする。
ちなみに、衣服用の除菌・消臭スプレーは部屋に配備されていた。
夕食時、最初に酒の注文をするので、マスクをつけて食堂に向う。
かように、他者との近距離での飛沫感染だけでなく、接触感染も防がなければならない。
これらをきちんと制御できてはじめて外出・外泊できるわけだ。