博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

冬の上海・杭州5日間 4~5日目前編

2009年01月17日 | 旅行・オフ会・展覧会
4日目はまずは西湖の南にある六和塔に行ってみることに。ここは『水滸伝』のラストで魯智深が入寂し、武松が出家したということになっている所です。



こうして見てみると、さすがに雷峰塔よりも風格がありますね(^^;) で、下の写真が塔から見下ろした銭塘江。



六和塔の敷地内は公園となっており、他にも何かありそうな感じですが、ここは先を急ぐことにしてバスで西湖の蘇堤まで移動。しかしこのバスが途中でエンストだかタイヤのパンクだかで急停車したまま動かなくなってしまい、別便に乗り換えるハメに。ああ、こんな事故は長春みたいな田舎にしか無いだろうと思ってたら、(長春では1回こういう事故に遭ったことがあるのです)杭州でも出くわすことになるとは…… 長春の時も今回も車体はそんなに古い物ではなさそうなので、日頃ちゃんとメンテナンスしていないということなんでしょう。

気を取り直して西湖の南北をつなげる蘇堤を歩いて北の岳王廟まで向かいます。ちなみに蘇堤のバス停の向かいには章太炎記念館の看板が出ており、何とも気になるのですが、こういう所で寄り道しているとキリが無さそうなのでここは全力でスルーです。

この蘇堤は蘇東坡が造らせたということでこういう名前が付いているのですが、街路樹にリスが走ったりしていてなかなか良い感じです。



この堤を渡りきるのに午前中一杯はかかるかなあと思ってたら、何のことはありません。1時間ちょいで岳王廟まで到達してしまいました(^^;) 岳王廟と言えば秦檜夫妻の銅像でお馴染みの所。



この銅像って、いつからあるもんなんでしょうか……

で、岳王廟を出た時点でまだ午前10時半。目算していたよりもだいぶ時間が余ってます。こんなことならさっきの章太炎記念館に寄っていけば良かったのでしょうか。

ここから孤山や白堤の方に回りたいところですが、蘇堤の北端まで戻って来たところで食堂が目に付いたので、先にここで腹ごしらえしてしまうことにします。こういう腹の減り具合よりも行程の都合に合わせた食事をしていると、去年の10月に行った長白山ツアーを思い出します。あの時もやっぱり10時半ぐらいにムリヤリ昼ご飯を食べさせられたり、あるいは晩の8時半頃にやっとこさ晩ご飯にありつけたりしましたっけ。まあ、あのツアーも無料だったのでやっぱり文句は言えないわけですが……

しかしこの食堂、場所柄が良いせいか値段が高いです。メニューを見ながら「どれもちっと高いなあ」なんて愚痴をこぼしてますと、店のおばちゃんがほどほどの値段で炒め物2品と米飯を見繕ってくれました(^^;) 

すんません、今回は長くなりそうなのでここで一旦区切ります。
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冬の上海・杭州5日間 3日目

2009年01月16日 | 旅行・オフ会・展覧会
今日は昼前から電車で杭州に移動しなくちゃいけないのですが、午前中に豫園に行くか元祖・上海新天地に行くか悩んだすえ、宿から近い上海新天地に行ってみることに。ここでお土産を仕入れようと思ってたら、ほとんどの店が閉まってます…… 仕方ないので敷地内にある共産党の記念館で時間をつぶすことに。



ここは1921年に中国共産党第一次全国代表委員会が開催された場所で、この会議には毛沢東も参加したということですが、それほど大したものも無いのにイチイチ荷物検査があったり館内撮影禁止だったりします(-_-;) まあ、入場無料なのであんまり文句も言えないわけですが……

で、上海南駅から動車(新幹線)に乗り込んで杭州へと移動。宿に着いたのが3時すぎでしたが、早速西湖見物へ出発です。まずは雷峰塔へ。



ここは『白蛇伝』のラストでヒロインの白素貞が法海和尚に閉じこめられ、侍女の小青だったか状元になった許仙との間の息子だったかが塔を破壊して彼女を救い出した所で、1924年にこの物語のオチに合わせるかのように塔が倒壊し、法海和尚を憎む魯迅が快哉を叫んだという曰くがある所ですが、2002年になって上の写真のごとく再建されてしまいました(^^;)

北京の故宮や前門なんかとは違って黒を基調とした色合いですが、やっぱりテカテカです。おまけに下の写真のように西湖のどこからでも目に付くので、正直言ってかなり邪魔であります……
 


次はこの雷峰塔の向かいにある浄慈禅寺へ。



ここはドラマなどでお馴染みの済公が修行したお寺で、たまたま出くわした中国人のガイドさんも済公の名前を出してました。また、日本から留学してきた道元が修行したお寺でもあるとのことです。しかし閉館間際に滑り込みで入場したので、追い立てられるように見物するハメに……

夕食は西湖天地で食べましたが、その入り口には『水滸伝』の張順の像が…… 



どうやら終盤の方臘との戦いで張順が戦死したのがこのあたりということらしいです。

ちなみに今回泊まったホテルは杭州の繁華街解放路にある世貿・西湖四季都市酒店の湖浜店。(最近「君亭・西湖四季酒店」という名前に変わったようですが、ホテルでもらった伝票などは前の名前のままになってますね。また市内に支店が2~3軒ある模様。)三つ星ホテルでシーズンオフということもあさて宿泊料はほどほどでですが、部屋はきれいでシャワーのお湯もちゃんと出るという素晴らしいホテルです(^^;)
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冬の上海・杭州5日間 2日目

2009年01月15日 | 旅行・オフ会・展覧会
2日目はまずは上海博物館へ。



開館と同時に入館と気合いたっぷりです(^^;) というのは、昨年ここの入場料が無料になった関係で観光客が殺到するようになったと聞いていたからです。そう言えば昨年10月に行った瀋陽の遼寧省博物館もやっぱり開館前から長蛇の列が出来ていたなあと思い出し、念のために早めにやって来たというわけです。しかしシーズンオフのせいか長蛇の列など出来ておらず、館内はほどほどに空いておりました。

館内の常設展はフラッシュをたかなければ写真撮影はオーケーなので、青銅器コーナーを中心にパシャパシャと撮りまくります。

で、特別展の「首陽吉金」展のコーナーへ。これは在米華人の青銅器収集家胡盈瑩・范季融夫妻のコレクションを展示したコーナーですが、コーナーの看板を撮影した瞬間に警備員がすっ飛んで来ました。よく見ると「撮影禁止」のマークが…… 残念ながら特別展は撮影禁止のようです。

この特別展で気になったのが目録ナンバー35の龍紋盤。これは西周中期の器で、目録には長銘の銘文(冊命金文に類するもの)の拓本も付いています。ところが解説では「疑後刻」とあるものの、その根拠については一切説明されていませんでした。で、今回実物を見てみたところ、盤面の錆が酷い割には銘文はクッキリしており、しかも鋳込んだというよりは何かで刻んだようにも見えなくもありません。このあたりが器は本物だが銘文は後から刻んだものと判断した根拠になっているのかなあと思った次第。

博物館を出た後は福州路に戻り、本屋を冷やかしつつ外灘へ。特に上海で一番デカい上海書城ではDVDコーナーに期待していましたが、あればいいなと期待していた映画『剣蝶』(『武侠梁祝』)のDVDも、CCTVのドキュメンタリー『台北故宮』(こんな番組が制作されるなんて世の中変わったもんです)のDVDもまだ入荷されておらず、はっきり言って失望した!

書籍の収穫は李朝遠の論文集『青銅器学歩集』(文物出版社、2007年8月)、李学勤『走出疑古時代』(長春出版社、2007年10月)、蔡豊明『中国社会民俗史新叢書 遊戯史』(上海文芸出版社、2007年4月)といったところ。何だか書店より上海博物館の書籍売り場の方が充実してましたね…… 

『走出疑古時代』は以前『帝系新研』のエントリでも言及した問題の書で、初版は1994年。更に1997年に修訂増補本が出版されましたが、一昨年に更に内容を増補した新版が出ていたとは知らず、書店で手に取って驚きました。しかも出したのがよりによって長春の出版社かよ!ちょうどこの2007年あたりからこの本に対する批判や疑問が提示されるようになってきたのですが、それに合わせるかのように新版を出すとは李学勤先生、期を見るに敏すぎます!

『遊戯史』の方は前近代の中国のテーブルゲーム(六博・囲碁・麻雀など)や競技などを解説した本ですが、図版が豊富なので思わず購入。今ではすっかりサッカーの元祖ということになっている蹴鞠(映画『レッドクリフ』でも出たアレです)や、ゴルフの元祖という見解もあるらしい呉竜府捶丸についても言及しています(^^;) 

夕方からボラボラと外灘に移動し、租界時代の建築物を見て回ったのですが……





何かどこもかしこも工事しとる!『地球の歩き方 上海・杭州・蘇州』を確認すると、来年の上海万博に向けて2008年3月から修復工事が開始されているとのこと。「老朽化してしまった建築物を、元の歴史的建造物に再現することが目的」なんて書いてますが、オリンピックに向けた修築ですっかり横店化してしまった北京の惨状を思い出すと、どんな具合に「元の歴史的建造物に再現」されるのやら不安で一杯になります(-_-;)
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冬の上海・杭州5日間 1日目

2009年01月14日 | 旅行・オフ会・展覧会
ども、本日上海・杭州旅行から戻って来ました!

心配していた雪ですが、うまい具合に旅行中に長春で降った模様。現地上海・杭州の気温は最高気温5度前後、最低気温-3度前後といった按配で、当然長春よりはずっと気温が高いのですが、最低気温が-23度だろうと(ここんところの長春の気温がそのぐらい)-3度だろうと、寒いものはやっぱり寒いのでした(^^;) 気温が高いのと暖かいのとは別問題なのね……

上海・杭州の街並みはすっかり春節モードで、至る所で中国の定番正月ソングである『恭喜発財』がかかっており、あやうく洗脳されそうになりました(^^;)



【参考】『恭喜発財』MV……これってアンディさんの歌だったのかよ!

1日目は夕方に長春を発った都合で宿への移動だけで終わってしまいましたが、空港から市内中心地への移動にリニアモーターカー(こちらでは「磁浮」もしくは「Maglev」と呼ぶそうな)に搭乗。



リムジンバスだと1時間ぐらいかかる所を最高時速300キロでわずか7~8分で到着。しかし乗った感じは新幹線と変わりません(^^;) 一定の速度を超えると感覚的には変わらなくなってしまうのでしょうか……

宿は福州路の24Kというビジネスホテルに宿泊。この福州路は書店が集まっているうえに、上海博物館のある人民公園や外灘にも近いという最高のロケーションなのです。ここでまず1泊して翌朝から観光に出掛けることに。
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『少林僧兵』その4

2009年01月10日 | 武侠ドラマ
上海行きは今日の夕方の便になる手はずなんですが、天気予報を見ると「晴れのち小雪」なんて書いてます。欠航→チケット無効の悪夢が段々と現実のものに(^^;) 取り敢えず飛行機が無事に飛んでくれることを祈っておきます……

『少林僧兵』第22~28話まで見ました。

汪直は遂に月文に対して父子の名乗りをあげ、月文も還俗を決意。ところが浙江総督任官の話がおじゃんになったことで汪直は再び倭寇の商売に復帰することになり、月文を騙して少林寺最強の大脚僧をおびき寄せ、佐々木と風語の2人がかりで大脚僧を始末。汪直の正体を知った月文は父親のもとから逃亡するも官軍のお尋ね者に。軍に戻るに戻れなくなった彼は若蘭が倭寇に捉えられたと知り、倭寇の本拠地列表山へと乗り込むのでありました。

一方、師匠の仇討ちを決意した月空は仇の1人風語をおびき寄せるために秀子を人質としますが、月空が好きな秀子に「やっと2人きりになれたね」と喜ばれたうえ、ノコノコとやって来た風語に敗北する始末…… そしてなぜか秀子の指導で風語を倒すために倭寇の刀法を特訓することに。

ということで段々とアレな展開になってきました(^^;) 汪直と月文の関係については、元々月文の母と汪直が恋人同士だったのが、汪直がうだつのあがらない書生ということで結婚を許してもらえず、彼女が汪直との子(すなわち月文)を宿したまま他の男性に嫁ぐことになり、月文が7歳の時に彼が汪直の子であることが露見したため、捨てられるように少林寺に預けられたという次第。で、その後汪直は科挙登第の夢を諦めて海商となり、中央政界とのつながりを得た上に倭寇と結託するようになったと。

そんで今回のツッコミ所……

月文が月空に還俗して髪を蓄えたいと打ち明けた時に、遂にサモ・ハン演じる大脚僧の長髪について言及。「師父だって髪を伸ばしているんだから、俺が髪を蓄えてもいいじゃないか!」と訴える月文に対して、「師父は元々剃髪していなから、一旦得度したお前とは違うんだ。それに師父は心が清浄だから髪があったっていいんだ!」と月空。一体大脚僧が出家する時にどんな事情があったと言うのでしょうか(^^;)
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テスト終了

2009年01月08日 | 留学
というわけで本日漢語課の期末テストが終了しました。後はあさっての上海・杭州旅行への出発を待つばかりですが、上海博物館で在米華人コレクター収集の青銅器展・首陽斎吉金展がまだ開催されているという情報を聞き、ワクワクしてきたぞ!(この展覧会の図録『首陽吉金』についてはこちらを参照。北京旅行の時に仕入れたアレです。)

後は当日の天気が心配ですね。払い戻し・便変更不可の安いチケットを買ったので、大雪で欠航なんてことになると泣くに泣けない事態になるわけですが…… 

なお、天気予報を見ると上海・杭州も最高気温が5度前後といい具合に冷え込んでいる模様です。これでこっちで普段来ている防寒具をそのまま着込んで行っても大丈夫そうですね(^^;)
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『少林僧兵』その3

2009年01月06日 | 武侠ドラマ
こっちでは『赤壁』第2部の公開が間近ということで、映画チャンネルで記者会見の模様が放映されたりと盛り上がってますが、同じくその映画チャンネルでジャッキー・チェン主演の『神話』が胡歌主演でドラマ化というニュースが…… この企画に何だか期待より不安でいっぱいになってくるのはなぜなんでしょうか(^^;)

で、『少林僧兵』第15~21話まで見ました。

日本側の倭寇に監禁されている若蘭の父親がその昔朝廷から託された多額の軍費をどこかに隠しているらしいということを察知し、汪直らは密かに若蘭の父親の身柄を奪おうと画策。倭寇の内部もお宝をめぐって中国側と日本側とで内部分裂気味です。で、汪直が官軍に日本側の動向をタレコミしたうえに援軍をサボタージュしたため、2回目の対倭寇戦は官軍の勝利に。倭寇の頭目宮本もあえなく戦死してしまいます。

着任以来初めての勝利に気をよくする戚継光ですが、今度は朝廷の有力者厳崇への誕生日の贈り物を載せた船団の護衛をすることに。一方、父親が山口家との合戦に敗れて戦死したという悲報を知らされた秀子・風語主従は取り敢えず汪直のもとに身を寄せますが、そこで山口家の重臣で宮本の後任として中国にやって来た佐々木(ネーミングにツッコまないでください(^^;) )と出くわし……

ということで話がどんどんときな臭い方向に向かってますが、今回のツッコミ所は以下の3点。

○いつもは所在が知れないくせに、弟子のピンチには必ず戦場に駆けつけるサモ・ハン。……普段からこっそり弟子の行動を見張っているのでしょうか。

○佐々木は武士と見せかけて実は忍者だった。

○月文が実の息子だとわかった途端に彼に甘くなり、息子の要求に応じて本来支援しちゃいけないはずの官軍に多額の献金をしたりする汪直。……おまけに朝廷から浙江総督に任じられると、どうやって日本側の倭寇と手を切って佐々木を始末するかと算段する始末。こんな展開でいいのかと不安になってきます(^^;)
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『梅蘭芳』

2009年01月04日 | 映画
こちらで正月映画として公開中の陳凱歌監督作。陳凱歌と言えば中国映画史上に残る珍作『無極』(『PROMISE』)が記憶に新しいところですが、今回はさすがに普通の文芸大作に仕上がっています(^^;)

黎明(レオン・ライ)が梅蘭芳を演じるということで話題になっていますが、それよりも私は孫紅雷演じる彼の支援者邱如白や、安藤政信演じる日本軍少佐の田中隆一の方が気になりました。ただし気になったのは役者さんの演技ではなく、その人生の軌跡であります。

まずは邱如白の人生の歩みから。(以下、思いっ切りネタバレしてます)

元々は西洋帰りの官吏だったが、少年時代の梅蘭芳の芸に惚れ込んで熱烈なファンとなる。

熱烈が高じて仕事を辞めてしまい、梅蘭芳と義兄弟の契りを交わしたうえに彼のマネージャーとなる。(でもこれって要するに「梅蘭芳に公演させたけりゃまず俺に話を通せ」っていうゴロですよね……)

彼と章子怡演じる孟小冬(この映画では新進の京劇の「男形」という役回り。彼女は実在の人物とのこと)との熱愛にやきもきしたり、欧米での公演に消極的な彼を説得して米国公演を按配したりと色々。

日本軍の侵攻に伴って梅蘭芳が芸を封印すると行き場を失い、仕方なく場末の茶館で他の女形の演技を見てはそのヘボさに心を苛つかせる毎日。

梅蘭芳は日本軍の公演要請を拒絶していたが、もう一度彼の舞台を見たいばかりに本人に無断で公演を承諾してしまい、彼を危地に陥れることに。(作品中では邱如白が「梅蘭芳が舞台から下りることは京劇の死を意味する」とか何とか理屈をこねてますが、要するに彼の舞台を見たいだけでは……)

ついで田中隆一少佐の半生。

軍人の父を亡くした直後に梅蘭芳の日本公演舞台を鑑賞。大ファンに。

軍人として中国に赴任。梅蘭芳とツーショットで写真を撮ってもらい、大喜び。

梅蘭芳の舞台を見たいばかりに「梅蘭芳は中国文化の精髄、梅蘭芳を征服すれば中国人の心をつかんだも同然!」と気乗り薄な上官に熱く訴えかけ、上海公演を計画するも、日本軍に利用されることを恐れた梅蘭芳はこれを拒絶。

上記の通り邱如白が無断で公演を承諾するも、梅蘭芳本人の意志と勘違いして公演をセッティング。

梅蘭芳は嫌がらせのように髭を生やして上海公演の記者会見に現れたり(これは実際にあったことらしい)、注射を打って公演当日に重病になったりしてサボタージュ。

上官が梅蘭芳を監禁・訊問。手荒なマネに及ばないかと冷や冷やして見守る。

あくまで梅蘭芳に公演をさせよという上官の命令と梅蘭芳の強い拒絶との間の板挟みとなり、ピストル自殺。

……我々はこの2人の人生の転落ぶりから、芸人に入れ込みすぎると一体どういうことになるかという教訓を読み取るべきなのでしょうか(^^;) ただ、邱如白についてはそんな人生に全く後悔していないようでありますが。
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『葉問』

2009年01月03日 | 映画
近所の量販店で甄子丹(ドニー・イェン)主演の『葉問』と陳凱歌監督の『梅蘭芳』のDVDをゲット。取り敢えず『葉問』から鑑賞。

舞台は1930年代の仏山。黄飛鴻以来の武術のメッカとして知られるこの地にあって葉問は最強のカンフーマスターとして知られていたが、彼は敢えて武術館を開いて弟子を取ろうとはせず、商売で平穏に身を立てようとしていた。しかし日本軍の侵攻はそんな彼の暮らしを一変させることとなり……

ということでドニーさんが詠春拳の達人でブルース・リーの師としても知られる葉問を演じ、彼の伝記映画という体裁になっています。しかし序盤で彼がかわいい奥さんや子供とともにシャレた洋館で幸せに暮らす富豪として描かれているあたり、どこまで信用して良いのやらという気が(^^;) ドニーさん、調子に乗りすぎですよ!

で、日本の将軍で空手の達人の三浦をどういうわけか池内博之が演じております。Wikipediaを見ると一応柔道が特技ということでアクションシーンもそれなりにこなしてますが、この若さで将軍というのはイマイチ説得力がありません。これは千葉真一か倉田保昭あたり年を食った武打星が演じるべき役柄だったのではないかと……

内容については短い間尺でよくまとまっていると思いますが、いつもの香港映画だと終盤で葉問が友人の工場に乗り込んでいる間に妻子が日本軍に殺され、復讐のために彼が三浦のもとに乗り込むという展開になってしかるべきなんですけどね。葉問の遺族が制作に関わっていることもあって、このあたりは自由に変更出来なかったということでしょうか。

また、葉問が武術家の「武徳」を問題にしたり、ドラマ『李小龍伝奇』につながるような要素が見られるのも注目ポイントです。それで彼が仏山から香港に逃れて数十年後、本作ではこんな感じだったのが……



『李小龍伝奇』ではいい具合に老けてこんな感じになっちゃうわけですね(^^;)

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『帝系新研』

2009年01月02日 | 中国学書籍
郭永秉『帝系新研 楚地出土戦国文献中的伝説時代古帝王系統研究』(北京大学出版社、2008年9月)

昨年こちらで話題だった本です。

要するに戦国楚簡を主要な資料として先秦の古帝王の系譜を考察した書なのですが、古帝王に関する説話を夏王朝以前の史実を踏まえたものとせず、あくまで戦国時代に語られた「古史伝説」として捉えている点が素晴らしいです。「何当たり前のこと言ってんだ」と言われるかもしれませんが、この分野の研究はこの当たり前のことを軽くスルーしているものが実に多いのです……

このほか、顧頡剛・童書業ら疑古派の研究成果を割と肯定的に評価・引用している点も注目されます。70年代後半以後、この分野の研究では「古史伝説」を直接「古史」、すなわち歴史的な事実として理解しようとする「信古」の傾向が強かったのですが、段々にその揺り戻しが来ているようです。当然「信古」的な研究方法のバイブルとなっている李学勤の『走出疑古時代』にも批判的です。

また、神話伝説の研究はしばらく前までは伝世の文献が主要な資料でしたが、この分野においても戦国楚簡のような出土文字資料が不可欠な資料となっているのだなあと再確認。ただ、上海博物館蔵戦国楚簡の『容成氏』を読解するうえで「有虞迵」なる古帝王を創出しているのは気になる点ですが……

著者の郭永秉は1980年生まれで、現在は復旦大学出土文献与古文字研究中心の所属ということですが、この分野にも「80後」の流れが来ているのでしょうか。

【附記】

復旦大学出土文献与古文字研究中心と言えば、同機関から関係者に送られた今年の年賀状は、2008年に発表された古文字・出土文献関係の論文のWordファイルと、同機関で開催された講演の音声ファイルをCD-ROMに収めたものだったとのこと。これはこちらでも類を見ない試みのようですが、日本の大学・学会もこれぐらいのムチャはして欲しいという気はします(^^;)
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