博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『伝聞中的陳芊芊』

2020年06月28日 | 中華時代劇
『清平楽』の裏でテンセントオリジナルドラマ『伝聞中的陳芊芊』第1~最終24話まで見てました。

内容はタイムスリップ物というか異世界転生物なんですが、ヒロインはドラマの脚本家で、自分の創作したドラマの世界に転生してしまうというのが設定として新しいです。ヒロインはその世界で起こったこと、これから起こることを何でも知っているという世界の創造者、言うなれば神の立場にあるわけです。


ヒロイン陳小千が転生した「三公主」陳芊芊。花垣城の城主の三女。本来はドラマの第3話で死ぬ脇役だったはずが、生き延びてしまったことから話が大きく変わっていくことになります。


そしてこちらが本来ドラマのヒロインとなるはずだった城主の二女、芊芊の姉の陳楚楚。彼女の運命も大きく変わることに……


こちらは相手役となるイケメン韓爍。花垣城と長年対立する玄虎城の跡取り息子です。本来楚楚と婚約するはずが、芊芊と恋仲に。中の人は2018年版『笑傲江湖』の東方不敗の丁禹兮。芊芊は当初何とかに彼と楚楚をカップリングし、脚本通りに話を展開させようとしますが……

ヒロインの暮らす花垣城は女性が城主やその他の要職を占める女性優位の国、これに対して韓爍の玄虎城は通常の男性優位の国ということで、ジェンダー物の作品でもあります。

韓爍は花垣城を内部から切り崩して攻め取る任務を託されており、本来芊芊を毒殺し、七夕の夜の祭りの日に花垣城の城主も爆殺、その後に楚楚と不倶戴天の敵同士となって非業の死を遂げるはずが、芊芊とのふれあいによってその行動や性格が大きく変化していきます。芊芊も韓爍と添い遂げる道を選び、これでめでたしめでたしとなるかと思いきや、タイムスリップ物の定石通りに歴史の流れには逆らえず、芊芊は何とか韓爍を死の運命から逃れさせようと四苦八苦するように。

終盤で芊芊が異世界からやって来て、自分たちの世界が芊芊によって作られたものと知った韓爍の言葉「君の世界も誰か脚本家が創造したものかもしれないね」という台詞が印象的です。もうひとのテーマのジェンダーと相まって、「世界は変えられる」というメッセージを感じる作品です。

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2 コメント

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Unknown (静香山人)
2020-07-01 22:12:43
そうなると、ある意味では「清平楽」(これもなんか皮肉な題ですねぇ)と対局にあるのかも。「清平楽」の方は、そういうパラレルワールドへは開かれていない、ifが許容されない冷徹な「歴史」の世界で、出来事をコントロールできずに葛藤する人たちが描かれてる感じ・・・であってるでしょうか?
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Unknown (さとうしん)
2020-07-02 20:13:17
>静香山人さま
『清平楽』にとってのパラレルワールドは、「狸猫換太子」を経て仁宗が生母を引き取る包青天などの世界ということなのでしょう。しかし現実には仁宗は生母との対面すらかなわず、それが仁宗本人だけでなく周辺の人々をも追い詰めることにつながると。
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