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博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

最近読んだ本 2010/11/02

2010年11月02日 | 中国学書籍
池上永一『テンペスト第3巻 秋雨』(角川文庫、2010年10月)

国相殺しの罪で八重山へ流罪となった孫寧温。西洋列強の魔の手から琉球を救うため、女性に戻って尚泰王の側室として宮廷に舞い戻る。しかし思いがけず「孫寧温」への恩赦がなされ、彼女は正体を隠して王の側室と宮廷の高官との二足の草鞋を履くことに…… ということで、話がどんどんややこしくなってきました(^^;) 次巻で完結のはずですが、どういう締め方をするつもりなんでしょうか……

加藤徹『怪の漢文力 中国古典の想像力』(中公文庫、2010年10月)

同じ著者の『漢文力』の怪異版的な内容。テーマに沿った漢文を引用し、それに対して解説していくという構成は『漢文力』と同様です。ただ、『漢文力』は高校の道徳の教材に使えそうな内容でしたが、こちらはエログロネタ中心です(^^;)

鹿島茂『怪帝ナポレオン三世 第二帝政全史』(講談社学術文庫、2010年10月)

普通にダメな独裁者だと思われてきたナポレオン3世の再評価本。ナポレオン3世とヒトラーって、若い頃に武装蜂起しようとして失敗したり、政治的基盤がゼロの所から成り上がり、民衆の圧倒的支持を受けて独裁者となったりと共通点がいくつか見られるのですが、パッと見の印象がかなり異なるのはなぜなんでしょうか?ナポレオン3世がいい所の生まれで、(彼が青年の頃にはボナバルト一族はすっかり没落しているわけですが、それでも一族同士の連携は保っていたようで、またヨーロッパ各地の貴族と親戚づきあいをしていた模様)いわゆるリア充だった(ナポレオン3世は若い頃からモテモテで美肩フェチだったらしい)のが影響しているでしょうか(^^;)

田中史生『越境する古代史 倭と日本をめぐるアジアンネットワーク』(ちくま新書、2009年2月)

「倭国」の時代から遣唐使終焉のあたりまでの日本の対外交流史について論じてます。渡来人や倭国・朝鮮各国との混血児たちが各国の外交・外政をリードする役割を担っていたというあたりの話が面白い。

榎本渉『選書日本中世史4 僧侶と海商たちの東シナ海』(講談社選書メチエ、2010年10月)

そしてこちらは遣唐使の終焉あたりから遣明使のあたりまでの日本の対外交流史がテーマ。本書によると、遣唐使の終焉によって日本と中国との交流は途絶えたわけではなく、むしろ新羅・高麗・日本などの海商を通じて交流の頻度は高まっていきます。中国で言えば宋・元代あたりが海商の最盛期で、多くの日本の僧侶がそうした海商を通じて中国への留学を果たしますが、明代になると政府が交流手段を朝貢に限定したことにより、日中交流は下火となっていくとのこと。この交易の場から排除された海商が、おそらくは倭寇と認識されるようになっていくということなんでしょうか。

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