博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

黙ってても年貢が入ってくるのって異常じゃね?

2011年09月25日 | 日本史書籍
タイトルを見て何かと思われたでしょうが、新田一郎『日本の歴史11 太平記の時代』(講談社学術文庫、2009年)の話です。

本書の中で「中世の人々がなぜ領主に毎年年貢を支払ったのか、その理由は本当のところ判っていない。」という一文があるのに思わず笑ってしまったわけです。

本書では一応有力な解釈として、領主が農業再生産の条件を整える見返りとして農民が年貢を納めるという契約的な関係として発生し、それが慣習として制度化していったという説を紹介してますが、どうにも煮え切らないものを感じます。年貢を払わなかったら怖い人たちが押しかけてきてボコボコにされるからという理由じゃダメなんでしょうか(^^;)

そして後文でも、ヨーロッパ中世の封建諸侯が年貢の確保のためにエラい苦労をしたのに対し、日本の荘園領主が所領から遠く離れた畿内に暮らし、かつ自前の組織的な軍事力を持っていないにも関わらず、遠隔地の所領からちゃんと年貢を確保できていたのが何故なのか実はよく判らないとコメントしています。

著者はその理由を解明する鍵として、人々が特に疑問に思うわけでなく年々繰り返されるパターンを前提として動くという「予期可能性」が挙げられるかもしれないとしていますが、これって要するに昔からの慣習なので何となく年貢を納めているということですよね(^^;) 日本人が当たり前のことを当たり前のこととして疑わないというのは昔からのことなんだなあと思ったり……
コメント (4)
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