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香港市民の怒りがおさまらない理由

2019年07月09日 06時19分17秒 | 中国

 先日の日曜日も香港で、逃亡犯条例改正案の撤回を求めるデモが行われ、主催者発表で23万人が参加したという。
 香港政府は既に、条例改正の検討を無期限に停止すると宣言しており、事実上デモ側の勝利が決まっている。にもかかわらず、なぜ毎週末、このようにデモを繰り返すのか。
 私は、この逃亡犯条例改正案が、まさに香港市民の逆鱗に触れたせいだと思っている。「逆鱗」とは何か。それは、自由であることを侵された、という点に尽きる。
 中国への犯罪容疑者引き渡しを可能にする逃亡犯条例改正案が成立してしまえば、中国共産党政府は意のままに、香港市民を拘束して大陸へ連れ去ることが可能となる。そのような状態は、香港市民が持つ思想の自由、表現の自由などの消滅を意味する。それが何よりも耐え難いことであった、ということはないか。
 香港は、イギリス統治時代から、常に自由の街であった。真に民主的な選挙制度は根付かなかったし、貧富の格差、不平等もあったと思うが、それでも「自由であること」は香港人の誇りであり続けた。日本を含めた国際社会も、香港の自由さを常に評価してきたはずだ。
 たとえ民主的な政治体制が整備されていなくても致命的とはならないが、自由を奪われることだけは我慢できない、という香港人の感情が、あの膨大な数のデモ行進を生んだのだと私は思う。
 しかし今回のことで、真に民主的な政治制度がなければ、自由もなくなっていく可能性があることを、香港人も学んだのかもしれない。私も香港に民主的な制度が根付くことを願っているが、現実はあまりに厳しい。

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