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無意識日記
宇多田光 word:i_
 




『Electricity (Arca Remix)』をradikoタイムフリーで一足お先に聴きました。一言、感無量っ!!


同曲は、これでもし自分がアルカというアーティストを知らない状態であれば「宇多田ヒカル史上最高レベルに優れたリミックスが登場!」とかなんとかかなり興奮気味に美辞麗句を並べ立てていただろうウルトラ・ハイ・クォリティなトラックだったのだけど、そこは私も(常にではないにせよ)10年待った念願の成就なので、ここはつとめて冷静に評していきたいと思います。


でもその前に、まずはこちら。ヒカルさんがコメントを寄せてくれていたということで。


今回アルカが『Electricity』をリミックスしてくれたことについて。


『…とても光栄でしたし、どんなリミックスが生まれるのか全く予想がつかずワクワクしました。独自のサウンドがありつつ、幅広い音楽や経験を取り入れるアルカのサウンド・スタイルは毎回新鮮な驚きがあります。今回生まれた作品も本当に美しく、素晴らしいものになりました。彼女と刺激的なコラボが出来たことを心から嬉しく思います。』


やはりというかなんというか、『とても光栄』という言葉からはヒカルがアルカを甚く尊敬していることが伝わってくる。『毎回新鮮な驚き』という言い方からして、前々からチェックしているアーティストのひとりだったという受け取り方でいいのかしらね。そして、仰ってること何もかもが同感であります。



さてそのサウンドの詳細。事前に「ポップ・ミュージック・プロデューサーとしてのアルカと、スペイシー・サウンド・クリエイターとしてのアルカ、どちらになるか?」という問題軸を設定しておいたのだけど、その答は「両方!」でした。おいおい、そんなことが可能なのかよ?…可能だったのよそれが!


サウンドの方向性はもう完全にソロ・アーティストとしてのアルカそのもの。「音が目に見える」独特のサウンドの立体感は彼ならでは。Appleさん、こいつぁもちろんドルビーアトモスでも配信してくれるわよね?


一方で、驚いた事にヒカルのヴォーカル・ラインは殆どいじられなかったばかりか、ディレイやエフェクトでコーラス・パートが強化・増量されている始末。『Electricity 』でのヒカルのシンガーとしてのパフォーマンスに対するリスペクトが大きく表れたテイクとなった。ここらへん、2番の歌詞やらをごっそり削り取った『Electricity Karen Nyame KG remix』とは対照的だね。もっとも、ここでも最後の『I just wanna celebrate with you』は歌われなかったのだけど。


それにしたって、アルカのサウンドとヒカルのヴォーカルがここまで「相並び立つ」ことが出来ようとは。ここが嬉しい驚きだったね。おかげさまで(伊藤忠さん今頃息してるかなぁ?)、リミックスだというのにこのままシングル曲として扱える程のキャッチーさがオリジナル同様に漲っている。


また、先述のコーラスの増強効果は、喩えるならまるでジャパニメーションのような世界観。生身の歌唱を一旦情報生命体に還元して、複製や転送、ディストーション(歪曲)を繰り返していく様は、視覚化するなら攻殻機動隊/イノセンスの草薙素子とか、或いはエヴァ劇場版の巨大綾波レイなんかを彷彿とさせる。ヒカルが日本語歌手ということでアルカが気を利かせてくれたのか、或いは単純に彼女も攻殻機動隊やエヴァが好きなのか。


また、そのコーラスワークの切り取り方をチェックしていくと、「このミキサーの人、日本語の文法をしっかり把握しているのでは??」と訊きたくなってくる。調べてみるとアルカは坂本龍一のアルバムでは日本語で歌っているし(完全に覚えてなかった)、結構日本語に精通してるのかもしれない。彼女になら『Face My Fears』のリミックスも任せられるな。(そのネタ引っ張り過ぎると公式に嫌われるかもしれないのでほどほどにね)


以上のような特徴を湛えている為、アルカ・カラー全開であるにも関わらず非常に聴きやすいトラックとなった。勿論、『Electricity』オリジナルの祝祭感や王道感とは別の異世界に飛んでいるので、正直なところ反応は好き嫌いで半々に別れそうな予感はしている。勿論私は大好きですけども! 10年前「宇多田ヒカル×アルカ」のコラボレーション(勝手に「ヒカァルカ」って呼んでますw)に期待した事が、いや、期待してたけど無理かなと思っていた事が目の前で実現している。やはり2人ともこの10年でそれぞれにものすごく成長してたんだな。ほんと、感慨深い。感慨無量なのであります。



でも、いちばん恐ろしいなと思ったのは、アルカがどうにもまだまだ「宇多田ヒカルと自分が最も融合するポイント」を探している旅の途中だと思わせてくれた事。このコラボレーション、仮にもしそのポイントが見つかったならこのトラックが序の口だと思わせるくらいに大爆発するかもしれない。心から、これで終わらない永続的なコラボレーションに発展してくれる事を願います。でもまずは、この『Electricity (Arca Remix)』を存分に楽しませてもらいますよ。ヒカルの言う通り、素晴らしく美しいですこのリミックスは!



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