トシの読書日記

読書備忘録

たかが名前といえど

2008-11-07 12:27:00 | さ行の作家
ジュンパ・ラヒリ著 小川高義訳「その名にちなんで」読了


デビュー作の短編集「停電の夜に」でヘミングウェイ賞等の文学賞を総なめにしたインド系女流作家の初の長編です。

「停電の夜に」でみせた登場人物に対するあたたかな視線が、本作品でも存分に発揮されています。

ロシアの文豪から名前をとり、ゴーゴリと名付けられた主人公が、アメリカとインドとの文化、生活習慣の違いに困惑し、葛藤しながらも強く、たくましく生きていこうとする物語です。

繰り返しになりますが、著者の、主人公ゴーゴリに対するまなざしが非常に愛に満ちていて、読んでいてすごく快かったです。

細かいことなんですが、主人公が生まれる少し前から32才になるまでの長い話であるにもかかわらず、文体がすべて現在形で書かれていて、それが非常に心地よいリズムとなって、小説をいっそう深く味あわせるのに効果的だったと思います。

余談ですが、表紙の折り返しに著者の近影があるんですが、びっくりするほどの美人です!
ジュンパ・ラヒリ、ますます好きになりました(笑)

10月のまとめ

2008-11-07 12:16:01 | Weblog
10月に読んだ本は以下のとおり。


中島義道「時間を哲学する」
広瀬正「ツィス」
吉行淳之介 開高健 「対談 美酒について」
吉本ばなな「キッチン」
エイミー・ベンダー著 菅啓次郎訳「燃えるスカートの少女」
ジュンパ・ラヒリ著 小川高義訳「停電の夜に」
町田康「破滅の石だたみ」
川上未映子「乳と卵」
白石一文「僕のなかの壊れていない部分」
なぎら健壱「酒(しゅ)にまじわれば」
吉本ばなな「ハチ公の最後の恋人」
絲山秋子「ばかもの」
井上荒野「グラジオラスの耳」


13冊でした。いつものペースです。

やはり、再読した「グラジオラスの耳」がよかったです。ほかにも「ばかもの」「燃えるスカートの少女」「停電の夜に」「キッチン」など、10月は非常に収穫の多い月でした。

12月、1月と、仕事の関係であまり読めなくなると思うので、11月は頑張っていっぱい読みます!