町田康「権現の踊り子」読了
本書は平成18年に講談社文庫より発刊されたものです。先日、ブックオフに立ち寄った折り、本書を見つけ、もう読んだんだけどと思いながら何故か手に取って買ってしまったのでした。まぁ108円だったし。
2000年前後に文芸誌に掲載された短編、6編を収録した作品集です。
本書を読むのは多分3回目か4回目くらいなんですが、この頃の町田康はほんとに脂が乗り切ってる感じで面白いです。最近の「告白」「宿屋めぐり」「ホサナ」等の長編も非常に味わい深いんですが、それとはまた違った、なんというか、躍動感みたいなものを感じます。
やっぱり表題作の「権現の踊り子」がいいですね。相手の雰囲気、挙動を見ながら自分がどう出るかを頭の中でめまぐるしく計算する主人公というのは他の小説でもよく見られる展開なんですが、このあたりの書き方がほんと、うまいです。読ませるし、笑わせます。
そういえば、この前に読んだピースの又吉も町田康がかなりお気に入りのようすでした。