
田んぼの周囲を囲むのが畔。プールの壁みたいなもん。これがあるから、水が溜まり水田になる。まっ、そんなことは誰でも知ってるか。
ただ、ちょっと高くなってりゃ役立つか?ってぇと、そうはいかんのさ。壁ったって、土だからね、水は滲み出して行く。特に、ここら山際の田んぼだろ、砂、砂利交じり、粘土極少だから、めちゃくちゃ水持ちしないんだ。
で、あたりの農家はどうしてるか?畔にビニール張っちまうのさ。黒いビニール。これでばっちり、水は長持ち、雑草も生えない。でもなぁ、ビニール?毎年交換でそのまんま廃棄!絶対、使うもんかビニール!って意地張るわけじゃないけど、一年で使い捨てってのはどうもなぁ。
昔は雪解け頃に田の土を掬い取っては壁土みたいに畔に塗る、畔塗りって作業をやっていんだそうで、めちゃめちゃ重労働だったってよ。が、それもねっとり粘土質田んぼでの話だ。ここらじゃ、雪融ける、すぐにからから、漆喰のように張りつけるなんてとても無理な話しだ 。
冬に出来たネズミ穴をつぶし塞ぎして保水力をなんとか保ってやってきたが、見れば、畔塗機なんて高価な機械を導入する農家もぼちぼち出てきてるじゃないか。ここらじゃ機械好きで田んぼたくさん作ってるⅠさんも機械塗り派だ。
そうか、頼んでみよう。いささか工賃支払うことになっても、ネズミ穴叩きしてるよりいいだろう。畔の高さもどんどん低くなってきたことじゃあるしな。で、大きめの田んぼ2枚お願いしたのが、去年。
いやぁ、なんといいこと尽くしだったぜ!漏水や決壊の不安まったくなし。毎日出さねばならなかった水も2日に一度とかで済むようになった。そのせいか、イネの生育も見違えるほど順調だったんだ。畔の草刈りもぐんと楽になったしな。
こりゃいい!金目当てで引き受けてるわけじゃないからと、工賃も格安でやってもらえたし、今年も、甘えちまうことにした。早め早めと作業進めるⅠさん、さっそくちゃちゃっと畔塗り終わらせてくれた。
うーん、美しい!それまで冬眠してた田んぼがしやきっと目を覚ましたようだぜ。さぁ、さっさと堆肥撒いてくれ、肥料散布してくれ、耕してくれ、って胸張ってるぜ。
わかった、わかった。畜産農家から牛糞堆肥が配られたらな、さっそく撒いて耕してやるからな。だいぶくたびれちゃいるが、今年はまだなんとか堆肥散布の重労働にも耐えられそうだし。
種も播いたし、畔も塗り終わって、いよいよ、米作り本番突入だぜ!
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