全取っ換え、って決めたら、即仕事にかかる。130枚超の手播きなんてどんだけかかるか先は知れない。前は見ない!まずは1枚、まずは1穴!
発芽不良の苗箱を持ち出し、ブルーベリーの株元にぶちまける。わずかに顔覗かせた芽も容赦なし。未練の先には後悔あるのみ。一気に裏返して土がらみ空ける。
ボカシ多過ぎの床土に畑土と燻炭を足して、窒素分を希釈する。苗箱のポットに土を入れ水をたっぷりかける。
次の作業が難物だ。箸の頭を使って1穴ごと、種が入る空間を作る。なんとか一度で押し込めないか、試してみたが、これは無理。諦めて内職仕事に精を出す。箱1枚空け終わるのに6分。今度は直径15ミリの穴に、1か所当たり3~4粒を目安して種を入れる。気の遠くなる単純作業だ。おまけに指先は大のぷきっちょ!思うようには数を揃えられない。1粒しか入らなかったり、大量に落としてしまったり、もう!時に苛立つも、先ははるか彼方だ。短気はエネルギーの浪費と言い聞かせて、ただひたすら黙々と種を摘まみ入れる。
1枚終了!所要時間15分、かぁぁぁっ!ってことは1時間4枚、1日8時間がんばっても、たったの32枚!ペースを落とすことなく続けたとしても4日はかかる。他に部分的に手直しする箱も数十枚あるから、順調に行って1週間か?やれやれ、なんて弱音は吐かない。決めた以上はやり通す。
2日目以降、穴あけは神さん、土入れ種いれはこっちと分業が成立し、ややスピードが上がる。ったって、終わった箱を並べたり、水やったり、何やかや時間はつぶれて計算通りにははかどらない。朝8時から夕方6時まで、働きづめの日々が続いた。
日曜日から始めて6日目。おっ、なんか終わりが見えて来たぜ。うへっ、初日に播き直した箱はすでに芽が出始めてている。
仕方ない、そろって発芽、成長願うなんて贅沢、身勝手。何がなんでも、今日中に終わらせる。種も掛土も底をついたが、困ったときのNさん頼り、お願いしてどちらもたっぷり融通してもらった。ヒトメボレに入って3日目、このバカ仕事を始めて6日目。昼過ぎ、ようやくヒトメボレ完了。よしっ、よしっ!残すはモチの16枚。行くぜ、行くぜ!小学校に渡す分8枚もあるから、その分だけでも丁寧に。でも、このコロナ休校、果たして学校田植えなんてあるどうか?なんて詮索したって始まらない。実施を前提にすべて準備だ。
残った8枚は部分手直しでちゃちやっと、って、おい、なんだよ、欠株の方がはるかに多いぜ。つべこべほざくな、泣きを入れるな!黙々とスピードアップでじゃんじゃか進める、が、おっと掛土無くなった。作業台の周囲に零れ落ちた土をかき集めねそこに燻炭もプラスして最後の応急処置だ。残り3枚、6時を過ぎた。薄暗くなってきた。止めるか?明日に伸ばすか?
いいや、やる!すべて終わらせる!暗くなる。手元が辛うじて見える明るさ。残り1枚!さらに穴を空ける作業のピッチを上げてる。さっ、ここに種を落とし込めばすべて終了だぜ。心配した神さんが懐中電灯片手にやってきた。終わった箱の並べ方を頼んで、最後の種入れは懐中電灯の明かりの中で。よしっ、土を掛けて、すべて、一切合切終了じゃぁぁぁぁ!
6日間の難行苦行成し遂げだぜぇぇぇ!が、満足感、まるでなし。そりゃそうだ。やっと出発点に戻っただけだものな。
せめてもの願いは、播き直した種がしっかり発芽してくれることだけだ。頼むぜ、種!頼むぜ、土!頼むぜ、お天道様!