ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

芝居は衣装から入る?

2015-06-17 08:36:47 | 演劇
 菜の花座次回公演『お遍路颪』、3回目の稽古。出演者は女性だけ10人。中心になるのは若手3人だが、シニア7人が脇をしっかり固める。と言っても、脇役なんかではない。かなり大切な役回りだし、1人3役!ってこともありかなり難易度は高い。しかも、ある意味とても美味しい役だ。人によっては、1000字~1200字という長ぜりふもある。シニアに長ぜりふ?それ無理無理!と口では言っていても、内心は、やてっやる!任せなさい!と気合い十分のはずだ。

 気合いが入ってる証拠に、集まりがとても良い。山形市や福島市からのメンバーも時間を違えず来ている。刺激されて若手の集合時間も早めになった。常に全員で稽古ができる、とてもいい雰囲気だ。

 やる気満点は、衣装決めにも表れている。お遍路の白衣もすでに2着届いていて、そのうち1着は、実際に最上33観音巡礼に着たものだという。さすが、シニア!お遍路は芝居の世界だけの話しじゃなかった。


 
 菅笠も幾つかそろい、そのうち、花笠踊り用の傘から花を外して転用することになった。



 下に履くタッツキは置農演劇部から大量に借用。



 首から下げる和袈裟は、メンバーの畳屋母ちゃんから、畳の縁地を安く譲ってもらえないか、交渉することになった。手っ甲脚絆もすでに型紙ができている。わらじも1足あったが、残りの分は、川西町のわら細工名人に作ってもらえるかどうか、問い合わせ中。



 凄い!まだ3回目の稽古でだよ。まぁ、普通この段階なら、まずは芝居をよく理解するとか役柄を肉付けするとかだと思うのだけど、衣装から入るってとこが、女性、しかもシニアらしい。白衣は何人分必要か?とか、聞かれても咄嗟に応えられない。正直、まだ演出プラン固まってないから、お遍路として登場する6人以外の衣装をどうするか、決めていない。

 しかし、彼女たちにはこれがとても不安で不満。手作りするなら早めに枚数と作り手の割り当てを決めて、ちゃっちゃと終わらせてしまいたいのだ。稽古も終盤の追い上げになれば、衣装作りなどかまっていられない。舞台の仕上げに集中したい、だから、さっさと持ち寄り、てきぱき決めて、どんどん縫い上げてしまいたいということなのだ。早く衣装が揃えば、実際に身にまとって稽古もできる。そうすれば、気持ちの入り方も違ってくる。

 う~ん、その通り!この考え方、まったく正しい!これまでの菜の花座のやり方、最終段階まですべてを引きずる、こっちの方がが間違っているのだ。芝居が見えてくるのを待つ、なんて言い訳に過ぎない。初期の段階から、どしどし可視化していかなくてはならないんだ。特に、演出は!事前に綿密なプランを立てて役者をリードしていく、理想の有り様だ。最近の僕はこの部分、ちょっと怠けてる感がたしかにあった。

 ただ、役者が動くことで見えてくる部分や、閃いてくるものも少なくないわけで、稽古しながら考えていくって所も大切にしていきたい。作者だからって、演出だからって、最初から何からなにまで見えてるわけじゃない。書かれた台本は、稽古に入った段階からもはや独立の存在だ。書き手が意図した以上のものが読み取られることだって少なくはない。無意識に書いたことが、思わぬ広がりや転がり方をしていく場合だってある。役者にしてみれば、早く固めてよ、決めたら変えないで!って思いは強いと思う。それもわかる。でも、最後の最後まで自由度を留保しておきたくもあるのだね、演出としては。

 しかし、本番まで2ヶ月足らずの『お遍路颪』公演、どんなに急いても、先走りなんてことはまったくない。最初から目一杯走って、走り抜ける、その気持ちで取り組まないと仕上がらないだろう。シニアたちの舞台慣れない故のせっかちも、この際、大きな駆動力だ。一気にアクセル踏み込んで、ダッシュしよう。よっしゃ、来週には立ち稽古に入るぞ!と、こっちも気合い十分だ。
コメント
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