ステージおきたま

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久しぶりの高校演劇:会津、置賜高校演劇合同発表会

2015-03-23 09:15:26 | 演劇
 高校演劇から足を洗ってまる2年、久しぶりに高校演劇を覗き見した。置賜の4校が21日、会津の2校が翌日、計6公演、見応えあったなぁ。

 評判の会津2校、大沼高校とザベリオ学園に対して、前座的に地元高校、レベルの違いを心配したけど、どこもみなそれぞれに頑張っていて見応えあった。

 置賜農業高校は、恒例の食育ミュージカルの新作。今年に入ってから始まった、脚本創作、作曲依頼、装置・衣装製作、演技・ダンス・歌の稽古と、まあ、信じられないような超ハードスケジュールを乗り越えての発表、当然、未完成感ありありなんだけど、まずはなんとか舞台に上げられるまでに仕上げられていた。特に、舞台美術に関しては、丁寧な作りとセンスの良さで、本発表会の中でずば抜けていた。これから1年間、10回以上の公演を繰り広げていくはずから、仕上げ精度は上がって行くだろうけど、部員全員出演のせいで、役者のレベルに大きな差があることと、歌とダンスの拙さは、これから全力でカバーして行く必要有りだろうな。



 米沢中央と米沢東は、後者の部員不足のため合同での劇作だった。でも、寄り合い所帯の感じはまるでなし、まとまりのある勢い溢れる発表だった。出演者全員の発声がしっかりしていて、見て聞いて心地よく舞台に入っていくことができた。ただ一人出演した東高の生徒も華があって引きつけられた。ぜったい新入部員獲得して往年の伝統校復活に一歩を踏み出して欲しい。中央高は、お馬鹿男子健在!いやぁ懐かしかった。これぞ中央!このはっちゃけた元気の良さ、これも高校演劇の大切な伝統だよな。難を言えば、装置と衣装ね。凝る必要はないけど、工夫は必要だと思う。



 度肝抜かれたのが高畠高校だった。コント2本、いやぁぁぁ、やるなぁ。自分たちで書いたって本も悪くなかったし、キャラの仕立て方も的確だった。それ以上にすげぇぇぇ!って感じたのは、役者の思いきりの良さだ。まだ一年生だって?いやぁ楽しみだなぁ、そのセンス、その突破力生かして、ぜひ県大会出てほしい。高畠高校は生徒創作・生徒演出という素晴らしい伝統を持っている。でも、それが県大会へ一息不足というネックにもなってる。できれば書いたものを大人の書き手にみてもらうといいんだけどねぇ。



 ということで、置賜のレベル低下?なんてまるっきり思い違いだった。今年の大会はかなりの接戦になるぞぉぉ!

 翌日の会津2校、うーん、やっぱりレベルは1段も2段も上だったな。

 最初の大沼高校、さすが東京でも公演を重ねてきた作品らしく、観客をぐいっとたぐり寄せ、最後の感動のシーンまでいいように引きづり回してくれた。またかぁ!感のある出だしだったけど、フリースクールの若者たちに中心を置き、ミステリー仕立てにして観客の興味をつないで行ったことが台本としてさすがの出来映えにつながった。過去の再現ドラマをテンポよくつなぐ舞台転換技術も秀逸だったし、若者のあちゃこっちゃでのちゃちゃも、ああ、こういうのって若い人にしか書けないよなぁって、ちょっと嫉妬感じたりした。

 生徒好評委員会の講評検討の場を芝居に仕上げたザベリオ学園。高校演劇部員なら誰でも感じる代表校作品への憧れ、共感、嫉視、侮蔑、複雑な思いを上手にすくい上げていたなぁ。やたら芝居のシーンを演じたがる講評委員、部外者から見れば異常?だけど、演劇部員なら、うーん、あるある私もそうだっけ、の納得キャラだもの。最後のまとめ方はタイトル『パシレメロス』からして、バシリに追い回される高校生の鬱屈を爆発させるのかと思ったら、見事裏切られた。福島さんが走り、岩手さんが走り、宮城さんが走った。せりふでの言及はとりたててなかったけど、震災被災者の思いを、ひたすら走り続けることに象徴させていた。

 会津2校の舞台を見て、福島じゃ今なお、震災に収斂していくんだよなぁ、これって創作に携わる者として、辛いのか?幸せなのか?複雑だなぁ。

 二日にわたって、地域を隔てた6校の舞台を見るってかなり豪勢な体験だった。この企画をバックアップしてくれたフレンドリープラザはさすが腹が据わってる。赤字覚悟の出血サービスだもの。せっかく貴重な機会だ、ぜひぜひ、これからも続けてほしいもんだ。でも、それにはお客さん集めなくちゃね、100名弱の観客って寂し過ぎるよ。置賜の演劇部この点でも奮起が必要。プラザも同じく。菜の花座も同じく同じく。
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