こつこつと地道に続けるプラザ寄席。今日の高座は柳亭市馬師匠。置農演劇部生徒27人を引き連れて噺を聞きに行った。
噺は二題、最初は、なんとういう噺かな?けちん坊で財をなし大店の旦那が、三人の息子のうち誰に家督を譲るか、自分の葬式の仕方を問うて判断するって噺。ちょっとリア王風。以前聞いたことがある噺。落ちには確かに記憶があるから。でも、途中はまるで覚えていなかった。なのに、二番目の息子が語る葬式のおもしろさったらなかった。遊び人の次男は父親の葬式をお祭りにしてしまうんだけど、その祭り囃子の描写が実にお見事!絶品だね。太鼓、笛、チャンチキを矢継ぎ早に真似しつつ、ついにはお祭りマンボを歌い出すという盛り上がり、もう、すごい!と言うしかない。感激!中でも、笛の指使いが本物なんだよ、多分。会場も爆笑、爆笑、大爆笑だった。でも、演劇部の生徒にはちょっと難しかったみたい。言葉や芸事のお遊びがも一つピンとこなかったみたいだ。
二題目は『らくだ』。懐かしいねえ!4、50年前、雲の上団五郎一座の舞台を思い出した。あのときは、八波むとしの兄いと三木のり平の屑屋だったけど、今でもくっきり覚えている。そのくらい面白かったんだ。さあ、市馬師匠、どう演ずるか?
これまた、お見事!参りました!!酒を飲む仕草、煮物をほおばる様子、兄いのすごむ表情。見ていて、もう声を掛けたくなるほど見事な芸だった。中でも屑屋が酒を飲まされて、しだいしだいと酒乱の本性を発揮していく場面など、微妙な表情の変化、体のこなし、言葉の妙、実に心憎い出来映えだった。死人を背負ってのかんかんのうも、くっきりとらくだの死体が見えていた。
こんな素晴らしい芸を生徒たちに見せてもらえたこと、それもこれも、このプラザ寄席を仕切っている鈴木さんのお陰だ。見終わっての感想、今日見た芸を、明日からの稽古に生かしましょう、部長トオルの言葉に嘘はなかったと思う。僕には久しぶり、部員たちには初めての、伝統的な芸能に触れることのできた貴重な機会だった。