泡 盛 日 記

演劇人(役者・演出家)丹下一の日記です。

ことばを食べ続けた一日

2012-12-05 11:13:42 | 丹下一の泡盛日記
昨日、終日在宅。本とCDを少し整理した。
頼まれた仕事も済まさずにいる(Mちゃんごめんね。今日やります!)のだが、時折自分の心を整理するために家の中を片付ける必要がある。そんな日だった。
段ボールひと箱分のCDと本は紫帆さんに紹介されたインドの子どもたちを支援するNPO法人に送るつもり。
その後、たまっていた新聞1か月分をひたすら読み続ける。
「ことば」は食べないと、出てこない。

この秋のシーズンもいい仕事をさせてもらっていると感謝している。
釜石プロジェクトも民俗芸能祭も幸せな達成感で終了した。
12月だって旅も含め、まだまだ続く。
別に有名なわけでもなくお金にも縁が遠いが、そこそこ生活していけるのだからありがたいことだと思うし、傍から見たらうらやましがられて当然かもしれない。

なのに心に隙間風が吹いてくるのだから困ったもんだ。
それもかなり強く。
こんな時は酒なんか飲んでる場合じゃない。
勝手な願いだが、わんこがいてくれたらと思う。
旅ばかりの一人暮らしは気ままなものだが、ふとしたはずみの孤独も深い。
新聞に91歳の歌舞伎役者の話が載っていて、一緒に暮らしていた犬が亡くなり半年は泣いていた。今も写真を持ち歩いている、と。
わかる、と思う前に目頭が熱くなる。
その後はテレビで白黒の日本映画を1本見て、そして再びひたすら本を読む。
3時過ぎまで本(ことば)に向かい合い、ようやく眠ることが出来た。

そして今朝、勘三郎の訃報を知った。
早すぎる。
まあ、やりたいだけやって走り抜けたよなあ、とも。
アングラ演劇は「歌舞伎」と「能」のどちらかに視線を向けることが多かった。
(なので自分は「山伏神楽」を選んだ)
その視線の先を大歌舞伎の側から実現してしまった人だ。

演劇学科の同期と話していて「この頃、民俗芸能を学んだ自分が面白いと思えるような歌舞伎がない」と話したら同感だ、と。
勘三郎はそのぎりぎりを攻めてきた人だ。
また一人、「アングラ」を視座に入れていた演劇人がいなくなってしまった。
合掌。
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旧早稲田銅鑼魔館なのだ

2012-12-05 09:49:04 | 丹下一の泡盛日記
先日、ある人が早稲田のどらま館の閉館についてブログで書いているのをみつけた。
そこには「旧早稲田小劇場が閉館」とあったので訂正しておきたい。
この場所にはもちろん早稲田小劇場という小劇場があり、同名の劇団が富山の方に引っ越した後、劇集団流星舎が後を引き継ぎ、「早稲田銅鑼魔館」と名前を変えて営業していた。なのでその建物を「旧早稲田小劇場」と称することはあるだろう。
だが、その後その建物は取り壊され、1978年10月に新しく4階建ての早稲田銅鑼魔館が新装オープン。
開場記念公演には、運営する劇集団流星舎に加えて早稲田小劇場も招かれて公演。
その後、早稲田銅鑼魔館は早稲田大学の所有となり、どらま館と改名された。
なので旧早稲田銅鑼魔館、現どらま館が閉館したのであって、旧早稲田小劇場が閉館したのは、建物が解体された1978年の夏以前ということになる。

月曜日、その劇集団流星舎の女優で、劇団解散後は大衆演劇の梅沢劇団で活動していたこともある中里(高木)紅子さんの個展に。
(彼女は梅沢富美男の最初の弟子になる)


自分と同じ季節をご一緒した彼女は美大出身で流星舎のポスターの原画を担当したこともある。
懐かしいそのポスターが展示されていた。


先日の会合で、紅子さんと自分を含む出演者の右から6人までとスタッフの一人が再会。楽しい一夜だった。

その後、急に人と会うことになり新宿へ。
幅広い人脈を持つ紅子さんの個展は千客万来で早々に辞したため時間が出来て新宿をぶらついた。
中学生からここで育ったので、やはり「故郷」という気持ちが強い。
ただし今は知り合いもほとんどいない。ゴールデン街も含めてなじみの店もほとんどない。


どうして自然にこういう通りに向かってしまうんだろう。
ここに連なっている小さな穴倉のような店が大好き。
飲むにはまだ早いのでカウンターだけの蕎麦屋に。
寒い中、吹きさらしのカウンターですする熱いたぬきそばは最高♪
ここのは「揚げ玉」ではなくて本当の「天かす」がてんこ盛り。
ふと、いつだったか仙台で石川裕人大兄と飲んだ後、二人してたぬきそばをすすったことを思い出した。
大兄の葬儀に向かう前に、その場所を通りかかった。
小さな蕎麦屋は別のチェーン店になっていたが、そこのたぬきそばを食べ、それから葬儀会場に向かったのだった。


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