たかはしけいのにっき

理系研究者の日記。

その行動の秩序変数は、なーに?

2010-03-10 01:51:17 | Weblog
 水は0℃より温度を下げると氷になる。難しく言うと、水について、温度を下げていくと、凝固点を境に、液相が固相になるのだ。逆に、100℃まで温度を上げると、水蒸気になる。固体→液体→気体、っと、温度によって、同じ種類の物質が姿を変える。

 だけど、よくよく考えると、これはオカシイ。当たり前じゃん?っとおっしゃるかもしれませんが、オカシイったらオカシイんです。だって、温度は連続的に上げたり下げたりしているのに、何故、あるポイントを境にして、液相になったり固相になったりするんだ?って、思いません??
 物理の常識でふつーに考えてみたら、パラメータの1つが連続的なら、状態も、ずーっと連続的なはずです。なのに、あるポイントを境に、状況が、がらりと変わってしまうことがある。そういうときは物理的にとても重要で、こーいう点(この場合なら0℃や100℃)を「臨界点」と呼び、この臨界点をまたいで、状態が著しく変化することを「相転移」と呼びます。

 他にも、相転移の例はたくさんあります。
 例えば、「超伝導」。オームの法則E=RIで習う、Rの電気抵抗というのは、温度を下げれば下げるほど、あんまり抵抗しなくなっていく性質があります(ただし、半導体などを除く)。でも、ある極低温度、つまり臨界点を境に、抵抗がいきなりゼロになってしまう。これは、臨界温度をまたいで、通常状態から超伝導状態へ相転移した、というように言われるのです。
 ちなみに、この臨界点はマイナス200℃とかの超寒い温度です。もし、室温(15℃とか)で超伝導ができたら、ノーベル賞かも。もしも、室温でできちゃったら、無駄なエネルギーを使わず、電流、流し放題ってことだからね。

 相転移するときに、どんな効果が作用しているか?っというと、それは「秩序」です。秩序が働くと、相転移のようなオカシイことが起こるのです。
 固体になるのも、ひとつひとつの分子がキレイに整列するからですし、超伝導は、電子がペアを作りながら、一番落ち着きやすいところにやってきて、それらが凝縮されるから。いずれも、秩序をもつと、変なことが起こる。

 この考え、何かを冷酷に観察するときに、結構、使えるのです。

 時刻を連続的に変化させていったときに、ある時刻を境に、いきなり状態が変わったということは、そこには何か物理的に重要なことが起きていて、秩序を持ったか崩れたかしたって可能性が高いということだ。
 行動はすべて、相転移。連続的だったのに、いきなり何かをするのは、相転移。ある基準値を満たしてしまって耐えられなくなってしまった、その裏には、審査基準となる秩序が存在している。

 2学期デビューなんて、すごくイイ、相転移の例であると思う。夏休みに、何かがあったんやね…。秩序を持ったのか、崩れてしまったのかわからないけど、たぶん、崩れたんだろうな。。(笑)
 長ったらしくお話を続けましたが、よーわ、いきなり変わるのには、それなりの理由があるってこったー。

 まぁまぁ、相転移、つまり、いきなり変わることを、恥ずかしがったり、恐れたりすることは無いさ。
 だって、物理的に、重要な瞬間なんだしさ。(笑)
コメント
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