Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

おまいさん、寄席行っとくれよ

2021年11月20日 | 日々、徒然に
川柳師匠…。

そういえば、最近は寄席で
お見かけすることがなくなったと思っていたところの訃報で
なんとも残念無念。
川柳師匠の高座を見たのは3回ほど。
義太夫好きの親父と、
ジャズ狂いの馬鹿息子が織りなす「ジャズ息子」は
爆笑の演目。音楽への造詣の深さと口演の素晴らしさ。
外道でアナーキーな噺家と言われていたけれど、
その芸達者ぶりにはいつも感服していた。

快楽亭ブラック師匠お得意の演目で、
川柳師匠をモデルにした「芝浜」がまた楽しかった。
飲んだくれの川柳師匠とそのおかみさんの人情噺。
もうすぐ年の暮れだし、
ブラック師匠はきっと
「芝浜」を演ってくれるんじゃないかな。


これまた爆笑必至の川柳師匠の自伝。
読み直そうと家の本棚を探したけれど、ない。
いつもそうだ。こういうときに限って見つからない。
ごめんなさい、師匠。

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深くて長い川

2021年11月19日 | 日々、徒然に
お願いしている原稿が待てど暮らせど、来ず。
こういうときにあの手この手で
なだめすかして書いてもらうのが
編集者の腕の見せどころなのだろう。

自分はライターでもあるので、
たまに催促される側にもなる。
そのとき、編集者からどういう態度を取られるといいのだろう。

①頻繁に連絡を寄こし、原稿まだですか?
 早く書いてください! いつできるんですか? を連発する。
②あの〜恐れ入ります。進捗はいかがでしょうか、そろそろ
 いただかないと厳しい状況になりますので、
 どうか何卒よろしくお願い申し上げます、
 と、とことん下手に出る。
③締切ギリギリになっても何も言ってこない。

①は論外。向こうが焦ると
モチベーションが上がらないのは何故だろう。
いちど、仕事場の電話と携帯とメールとFAXという、
あらゆる手段で原稿を催促されたことがあり、あれは戦慄した。
②はけっこう怖い。
その慇懃無礼な態度の奥に
どんなマグマが沸き立っているかと
想像すると震えてしまう。
でも、それでモチベーションが上がるかどうか、というと微妙。
③も怖い。
じゃあ締切伸びてもいいのかな〜、
というヨコシマな気持ちが湧き上がるか、
自分の原稿は大して期待されていないんだな、
という残念な気持ちが交差する。
で、結局モチベーションは上がらない。

結局のところ、催促される側としては、
いまやってますから、信用して待っていてください、
ということなのだろう。

じゃあ、多少遅れてもいいので、
原稿楽しみに待ってます〜と言うと、
それはやっぱり遅れてしまうわけで、
編集者と原稿書きのあいだには、
深くて長い川があるのでしょう。きっと。

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ダメダメで深刻な

2021年11月18日 | 映画など
イングマール・ベルイマン監督「冬の光」を見る。
苦手な苦手なベルイマン映画も、
少しずつ見ていくに従って、だんだん慣れてくるというか。


この映画で驚くのは冒頭だ。主人公の神父が礼拝をする場面。
神父の教えを聞く信者たちの顔。顔。顔。
男もいれば女や子供、老女もいる。
彼ら彼女らの顔を見るだけで、
この人たちはものすごい苦悩を抱えているんだろうな、
と思わせてしまうわけで、それはきっと
監督の術中にはまったということなのかな。
シャープだが儚い光が教会に差し込んでいて、
なんとも冷え冷えとした空間の凄み。
撮影監督スヴェン・ニクヴィストの功績も大きいのだろう。

神父とねんごろになる女を演じたイングリット・チューリンや、
自殺願望に苛まれた男のマックス・フォン・シドーなど、
ベルイマン映画にお馴染みな俳優たちの苦悩する姿を見届けながら、
一人の神父が自分のダメダメな人生を悔やむあまり
神への信仰がゆらいでいく物語なんだなあ、と。

ふつう、過去の映画の再評価というのは、
その作品をより高みに持って行くためのものだけれど、
今回のベルイマン作品のデジタルリマスター版の送り手たちは、
なるべく敷居を低くして、
観客にとって身近な題材を扱った映画であろうとしている。
ある意味それは、作品をおとしめるような
再評価になるかもしれないけれど、
それはそれで興味深い。時代によって映画の評価は変わるわけで。
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不穏なあしおと

2021年11月16日 | 日々、徒然に
朝ドラ「カムカムエヴリバディ」。
なかなか好調だなあと。
ヒロインが三代に渡って代わるということで、
展開がかなり急ぎ足で、ダイジェスト版になりそうな
ぎりぎりのところを保ちつつ物語が進む。

ドラマはちょうど戦争が激しくなり、
親しい人たちが徴兵され、
ヒロインたちの生活がだんだん苦しくなっていくところ。
国民への締めつけの不条理さが描かれるのを見ると、
なんだか自分たちがいま生きている
この国の様子とオーバーラップする。
どこがそうなっている、とは言えないけれど、
そんな空気というかムード。少なくともあんまり楽しくない雰囲気。


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Don't come easy

2021年11月16日 | 日々、徒然に
朝からずっとMACの画面を前にして
原稿を書いたり、デザインを確認したりの一日。
11月は怒濤の日々だと覚悟はしていた。
でも、先週は割とのんびりした時間が流れていて、
ふっふっふ。このままダラダラできるんじゃねえの、
と思った自分にバチが当たったのだろう。

次から次へと難問や課題が降りかかり、
どうしたものか、と悩むより体を使え状態。
あせってはいけない。恋はあせらずと
シュープリームスも歌っていたではないか。
いまはあせって仕事に恋して、
こっぴどく振られている状態かもしれませんな。
そういえば、ダイアナ・ロス、新譜が出たんだっけ。

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紋切り型を遙かに超えて

2021年11月15日 | 読んでいろいろ思うところが
武田砂鉄「コンプレックス文化論」(文春文庫)を読む。
天然パーマとか下戸、背が低い、ハゲ、といった
コンプレックスを持っている人のパワーが文化をつくる、
という仮定のもと、該当する人たちにインタビューを試みる本。
なかには、親が金持ち、実家暮らし、遅刻など、
そういうものもコンプレックスになるんだという驚きと共に、
どんな着地点になるのだろう、
と興味津々に読み通したのでした。


コンプレックスをバネにして、努力しました、
成功しました。逆に武器にしました、
といった体験談はよく聞く。
でも、本書に出てくる人たちは、
コンプレックスに対して、とても複雑だ。
克服した人も、たまに苛まれる人も、
うまく飼い慣らしている人も、それぞれ複雑。

たとえば「下戸」がコンプレックスな人は、
「なんだよ、呑めないのか」という同調圧力に苛まれつつ、
居酒屋でなくバーミヤンでドリンクバーを頼み、
日々、自己研鑽に励むわけで、
著者はそうした人たちを応援する。

「遅刻」がコンプレックスな章では、
安齋肇との対談が爆笑もの。
遅刻が軽犯罪なのは明らかだと話す安齋さんの、
「すみません〜」と言って遅れてくる姿は
結局のところ、周りの人たちを笑顔にする不思議。
遅刻だけでなく、締切を守らない人を絶対的に許さない
いまの風潮に溜息をつく著者。

さらに「背が低い」がコンプレックスな章では、
フラワーカンパニーズのボーカル鈴木圭介が登場。
「俺が180cm超えてたら、
東京ドームやってるんじゃないですか」と
自嘲気味だったと思いきや、
背が低いからこそできたことも大いに語る
低身長の長所も短所も味わい尽くしたあとに、
あの切実なロックンロールがあると著者は分析する。

そうか。確かにフラカンの「深夜高速」は名曲であり、
あのデカくてほとばしるような鈴木圭介のボーカルは、
159cmという身長があったからこそ、なのだろうか。

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君が嫁ぐとき

2021年11月14日 | 日々、徒然に
どうせ現実逃避です。
面倒な案件から逃げているのはいつものこと。
ランチと言いつつ、仕事場をこっそり抜けだして
中古レコ屋に耽溺したと思いねえ。

今日のレコ屋はエサ箱がたくさんあり、
とある映画のサントラ盤が780円で。
しかも「パンフレット入り」というシールが貼ってあるのを発見。
どういうこと? 映画のパンフが入っているのかな?
財布から取り出した千円札を握りしめ、
ぶるぶる震えること数秒。落ち着け、自分。
ゆっくり息を吸って吐いて、他のエサ箱をあさったら、
さらに痺れる逸品が同じく780円とな。
で、結局こちらを買うのでした。

あのサントラ、次に来るときまで待っていてくれるだろうか。
でも無理しないでね。もっとお金持ちのところに
もらわれていってもいいからね、
と囁きながらレコ屋をあとにするのでした。
もろもろ逃げていた案件に直面せざるを得なくなったのは、
それから10分もかからなかったのだけれど、
それはまた別の話。

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立ちはだかる傾斜

2021年11月12日 | 陽の当たらない坂道
そうか。やはりそう来たか。


ここ数日は、けっこう穏便な日々で、
天気もまあまあだったし。
仕事にそれほど追われることもなく、
原稿も締切通りに書けたし。
見たい映画はあまり見られず、
本は買うけれど積ん読ばかり、
ラジコで聞こうと思っていた番組は
軒並み配信終了で聞き逃しているけど、
かろうじて阿佐ヶ谷姉妹のドラマを見て、
楽しい気分になれたし。
体調は良くもないけど悪くもない。
少なくともどこも痛いところがないし。
こういう日々こそ幸せなのでは、と
噛みしめていたというのに。

やっぱり現れるんですね。
長くて険しい坂道が。
せめて足を躓かせないように、
そして、坂の下に転げ落ちたりしないように、
ゆっくりゆっくり、足を前に進めるのでした。



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恐怖のまわり道

2021年11月11日 | 日々、徒然に
訳あって、高円寺から阿佐ヶ谷に至る
ガード下の飲み屋街を歩く。
コロナ禍のせいで、ここの居酒屋やバーも
軒並みシャッターが閉まっていて、淋しい限りだった。
自粛が明け、ようやくあちこちの店に灯りがともり、
賑やかさが戻ってきて、何よりだなあ、と。


他の店は賑わっているのに、
この店だけはシャッターが閉まっていた。
閉店時間なのかな。もしかして廃業? 
この店は知る人ぞ知る、老舗の定食屋さんで、
やさぐれた連中を優しく(でもないか)迎え入れてくれる
お店なのだ。そんなお店の560円の中味が気になって仕方がない。
560円でどんなサービスがあるのだろう。
きっとめくるめく世界に連れて行ってくれるんですよね、
ねったら、ねっ、とシャッター越しに念じたけど返事はなし。

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半径2メートルの人生

2021年11月11日 | 映画など
アレクサンダー・ロックウェル監督
「スウィート・シング」を見る。
80年代後半から90年代にかけて
ジョン・セイルズやジム・ジャームッシュなどの台頭もあり、
ハリウッドなどのメジャーで撮られたものではない、
低予算のインディーズ映画が持てはやされていた。
「イン・ザ・スープ」「サムバディ・トゥ・ラブ」を撮った
ロックウェル監督もその一翼を担った人で、
新作が久し振りに日本公開となった。
監督自身の子どもたちを主役に、
半径2メートルぐらいところで起こる日常が、厳しくも哀しく、
でも温かみのある
小さな映画を届けてくれたのです。


15歳のビリーと11歳の弟ニコは
まともに学校に行かず(たぶん行けず)、
街の廃品などを集めて小金をせしめる日々。
父親はいい人なのだけれど、困った飲んだくれで、
家出してパワハラな男と一緒になった母親とは
離れて暮らしている。

ほぼネグレクト状態でありながら、ビリーの心のなかに住み、
彼女を慰めるのは、あのビリー・ホリディだ。
ホリディが歌う「I'VE GOT MY LOVE TO KEEP ME WARM」、
そして本作のタイトルにもなっている
ヴァン・モリソンの「Sweet Thing」が流れ、
どうにもならないふたりの姉弟を優しく包み込む。
白黒16ミリで撮られた映像の合間に、
ときおり挿入されるカラーフィルムで
映し出されるビリーの笑顔がいとおしい。

姉弟はひとりの黒人少年と出会い、
しばしの逃避行を企て、スケールの小さいロードムービーと
なっていくところも切なくて、でも、見ていて心地良いのは、
フィルムの質感(デジタル上映だけれど)の温かみがあるからだろう。

ロックウェル監督は、自己資金と
クラウドファンディングで本作を撮ったらしい。
インディーズ映画が必ずしも面白いわけではないが、
映画の規模の小ささと
監督が描きたいものがマッチしているのは確か。

しみったれで貧乏性の自分には
余計に響いたのかもしれないけれど、
それはまた別の話じゃ、ほっとかんかい、あん?

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