Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

恐怖のまわり道

2021年11月11日 | 日々、徒然に
訳あって、高円寺から阿佐ヶ谷に至る
ガード下の飲み屋街を歩く。
コロナ禍のせいで、ここの居酒屋やバーも
軒並みシャッターが閉まっていて、淋しい限りだった。
自粛が明け、ようやくあちこちの店に灯りがともり、
賑やかさが戻ってきて、何よりだなあ、と。


他の店は賑わっているのに、
この店だけはシャッターが閉まっていた。
閉店時間なのかな。もしかして廃業? 
この店は知る人ぞ知る、老舗の定食屋さんで、
やさぐれた連中を優しく(でもないか)迎え入れてくれる
お店なのだ。そんなお店の560円の中味が気になって仕方がない。
560円でどんなサービスがあるのだろう。
きっとめくるめく世界に連れて行ってくれるんですよね、
ねったら、ねっ、とシャッター越しに念じたけど返事はなし。

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半径2メートルの人生

2021年11月11日 | 映画など
アレクサンダー・ロックウェル監督
「スウィート・シング」を見る。
80年代後半から90年代にかけて
ジョン・セイルズやジム・ジャームッシュなどの台頭もあり、
ハリウッドなどのメジャーで撮られたものではない、
低予算のインディーズ映画が持てはやされていた。
「イン・ザ・スープ」「サムバディ・トゥ・ラブ」を撮った
ロックウェル監督もその一翼を担った人で、
新作が久し振りに日本公開となった。
監督自身の子どもたちを主役に、
半径2メートルぐらいところで起こる日常が、厳しくも哀しく、
でも温かみのある
小さな映画を届けてくれたのです。


15歳のビリーと11歳の弟ニコは
まともに学校に行かず(たぶん行けず)、
街の廃品などを集めて小金をせしめる日々。
父親はいい人なのだけれど、困った飲んだくれで、
家出してパワハラな男と一緒になった母親とは
離れて暮らしている。

ほぼネグレクト状態でありながら、ビリーの心のなかに住み、
彼女を慰めるのは、あのビリー・ホリディだ。
ホリディが歌う「I'VE GOT MY LOVE TO KEEP ME WARM」、
そして本作のタイトルにもなっている
ヴァン・モリソンの「Sweet Thing」が流れ、
どうにもならないふたりの姉弟を優しく包み込む。
白黒16ミリで撮られた映像の合間に、
ときおり挿入されるカラーフィルムで
映し出されるビリーの笑顔がいとおしい。

姉弟はひとりの黒人少年と出会い、
しばしの逃避行を企て、スケールの小さいロードムービーと
なっていくところも切なくて、でも、見ていて心地良いのは、
フィルムの質感(デジタル上映だけれど)の温かみがあるからだろう。

ロックウェル監督は、自己資金と
クラウドファンディングで本作を撮ったらしい。
インディーズ映画が必ずしも面白いわけではないが、
映画の規模の小ささと
監督が描きたいものがマッチしているのは確か。

しみったれで貧乏性の自分には
余計に響いたのかもしれないけれど、
それはまた別の話じゃ、ほっとかんかい、あん?

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