ブレイディみかこ「ぼくはイエローで
ホワイトで、ちょっとブルー2」(新潮文庫)を読む。
続編が出たんだ。読まなきゃと思いつつ3年ほど経っていて、
いつのまにか出ていた文庫を入手。
本のカバーがイエローだった前作と異なり、
ホワイトでもブルーでもなく、ライトグリーンに
なっている意味を考えていたら
いつのまにか多幸感に包まれていたという。
英国の元底辺中学校に通う著者の息子がぶつかる
人種や貧富の差。価値観のちがい。
それらをどう乗り越えるか。いや、まあ
乗り越えるのは無理でも、どう受け止めるか。
この著者が常々訴えている、
シンパシーではなくエンパシーをどう発動させるか。
そんなややこしいことを考えずとも、
息子の学校で起こるエピソードに心が動く。
音楽部のコンサートが開かれ、
メンバーのなかでたった一人の黒人の少女が
サム・クックの「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」を
圧倒的な歌声で歌い、会場を一体化するくだりだ。
パンクロックで育ったこの著者の筆にかかると、
その音楽や情景、ノイズにいたるまで頭の中に響いてくる。
さらに、息子を連れて
九州に住む父親のところに里帰りするくだり。
英国の思春期直前なガキンチョと、
昭和の価値観丸出しの爺さん。
育った時代も環境も、価値観もまるで異なる二人が
なぜか通じ合ってしまう不思議。血が繫がっていることも
大きいとは思うけど、お互いを思いやるというか、
相手をリスペクトする態度があるからいいのだろう。
英国は日本とはまた違った過酷さがあるなか、
めんどくささや厳しさをふまえつつ、
他者を排除するのではなく認めようとする姿勢は
大いに見習うべきところがありそう。
続編はあるんだろうか。
本作までは思慮深い息子だけど、
たぶん絶賛思春期中だろうから、
パンキッシュな母ちゃんとのバトルは
それはそれは凄まじそうで
読みたいような読みたくないような。
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