中上健次の「岬」。
「推し、燃ゆ」「くるまの娘」の作家
宇佐見りんが「文藝22年夏号」で
この「岬」の冒頭部分を絶賛している。
その冒頭。
地虫が鳴き始めていた。
耳をそばたてるとかすかに聞こえる音だった。
耳鳴りのようにも思えた。
これから夜を通して、地虫は鳴きつづける。
彼は、夜の、冷えた土のにおいを想った。
最初の5つの文には、
まったく視覚情報がない。耳と鼻しか使われていない。
小説って語り部の視覚から入るのが定石なのだろうけど、
聴覚と嗅覚の情報だけで
読み手を引きつけてしまう圧倒的な力があると。
自分も少し前に「岬」を読んだけど、
そんなこと全く気づきませんでしたよ。
鈍いにもほどがあるというか。ほんと。
ライターなんだから、もう少し気の利いたものを
書くためには、視覚情報だけじゃ足らなさそう。
お前には耳も鼻も舌も指も皮膚もあるだろう。ということで
まずは、焼きそばとハムカツを
ネタに書くことにしようかしら(仕事しろ)。
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