首相 ふう。やれやれ。
秘書 お疲れですね、総理。
首相 そりゃあそうだよ~だって世界中から偉い人がたくさん集まったんだよ。もう気ぃ遣っちゃってさあ。
秘書 ポジショニングが大変だったんじゃないですか。
首相 そうそう。何てったってボクはホストだからさあ。中心にいなきゃいけないじゃんか。おかげで、赤いネクタイのあの人とクマのプーさんに似たあの人の間に入って、写真も撮れたしね。
秘書 世界のスーパーパワーの仲介役をしてるんだぞ、というアピールですね。
首相 うん。うまく行ったんじゃないかな。ボク、意外と写真うつりいいよね~。
秘書 それは悪い面相の人の間にいると良く見えるということですか。
首相 しーっ。そんなコト言っちゃダメだよ。ボク、育ちがいいからさ。上品に見えるって意味だから。
秘書 その言い訳もどうかと思いますけど、そういえば冷たい目をした元KGBの人もいましたね。
首相 いたね~。でもちゃんと気を遣って親しげに話せたからさ。
秘書 領土問題のコトを話したんですか?
首相 まさかあ。そんなコト言ったらまた怒るじゃない、あの人。あの冷たい目がさらに冷たくなっちゃうからさ、そこは穏便にしないといけないよ~。
秘書 じゃあただヘラヘラ笑ってただけなんですね。
首相 ヘラヘラじゃないよ~おもてなしの微笑みだよ。
秘書 お隣の国のあの人とは?
首相 ああ~あの人とは、全然話せなかったなあ。だってまわりは偉い人ばっかりじゃんか。もう忙しくてさあ~そんな時間なかったんだよね。
秘書 そうだったんですね。
首相 まあ、今回大阪に来れただけでも良かったんじゃないの。向こうさんとしては。
秘書 その「向こうさん」はすぐ帰国しましたね。赤いネクタイの人と。
首相 えっ? そうなの? 赤いネクタイの人も?
秘書 そんで、北のあの人と会ってますよ。
首相 えええええええっ。聞いてないよ~。
秘書 そうなんですか。あんなに仲良かったじゃないですか。
首相 そうだよ。一緒に相撲も見たし、アイダホのじゃがバターも食べたのに。
秘書 拉致問題のコト、赤いネクタイの人に頼んでたんですよね。
首相 もちろん。だってそれがボクの最重要課題だしね。
秘書 総理に一言もいわずに、隣の国の人と一緒に北でいちゃいちゃしてますよ。
首相 あ、ほんとだ(と、ヤフーニュースの画面を見る)
秘書 タブレットで見て初めて知るなんて、国民と同じレベルですね。
首相 いや、きっと拉致問題について、話してるんだよ。
秘書 総理抜きで? わざわざ自分の国と関係ない問題について?
首相 だってボク、これだけおもてなししてるんだからさあ。
秘書 あらら。握手してますね。赤いネクタイの人も北の人も嬉しそうです。
首相 ちぇっ。ボクも誘ってくれたら良かったのに~。
秘書 つれない人ですね。赤いネクタイの人。
首相 ひょっとしてじゃがバター、アイダホのポテトだとウソついたのがバレたのかな?
秘書 あれ、北海道産でしょ。
首相 だからボク、ハブられたのかな?
秘書 そもそも最初からハブられてませんか。
首相 そんなコトないよ~今度はちゃんとアイダホから取り寄せるからさ~。
秘書 じゃがバターにこだわりますね。なんか本質から外れてませんか。
首相 本質から外れるのはいつものコトじゃないか。
秘書 なるほど。普段からそうなんですね。外交も本質から外れまくりで。
首相 そうやって曖昧に進めていくんだよ。そのあいだにみんな忘れてくれるから。ほら、じゃがバターのバターみたいにとろとろに溶けていくからさあ。
秘書 総理の脳味噌みたいですね。こんどじゃがいもにつけて食べるといいかもしれませんよ(と言って、総理の頭をかち割り脳味噌を剥き出しに)。
首相 どう? ボクの脳味噌? 溶けてる?
秘書 すいません、総理。脳味噌はもうすでに溶けてなくなってました。