今村昌平監督「西銀座駅前」を見る。
のちに「豚と軍艦」「にっぽん昆虫記」
「赤い殺意」「エロ事師たちより 人類学入門」
といった人間の欲望をえぐった傑作を撮りまくる
イマヘイ監督のデビュー2作目は、
軽妙洒脱な歌謡映画で大いに楽しめる。
フランク永井その人を狂言回しに、
女房に尻に敷かれている男(柳沢真一)が妄想に次ぐ妄想で、
浮気の虫を爆発させるコメディ。
脇を固める西村晃と小沢昭一が
さすがの存在感で、くさみのある俳優さんを
前面に出さない使いどころの妙。
イマヘイ監督の傑作群は、いちど見たら、
なかなか忘れられないインパクトがあるのだけど、
諧謔に富み軽薄きわまる(←褒め言葉)
川島雄三監督のもとで学んだ人だもんな。
ベースは喜劇の人なんだなあとシネフィルは納得するのでした。