Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

些末な、あまりにも些末な

2007年06月14日 | 映画など
松本人志監督『大日本人』を見る。
もともと、ダウンタウンは好きだし、
松本のオリジナルビデオも面白く見ていた。
そんな僕なので、きっとこの映画も面白いだろうという思いがあった。
だが、予想の範囲内の面白さだろうな、
という感じで見た。そしたら予想以上の面白さで、驚いた。


大日本人(2007)

松本演じる「大佐藤」は、巨大化して「大日本人」となり、
どこからともなくやってくる「獣」を退治するヒーローだ。
作品としてのクライマックスは「大日本人」と「獣」の戦いなのだが、
この映画の面白さは、普通の市民としての「大佐藤」の描かれ方である。

人々を救う、ウルトラマンのような存在であるにも関わらず、
収入も意外と低く、世間からも疎まれるような存在であり、
そんな状況に不満を持っているのだが、
それはそれで仕方ないという感じで、日々を過ごしている「大佐藤」。
その日常のディテールを見るべき映画であり、
「大佐藤」が食事したり、散歩したり、
別れた女房や娘と会ったりする描写がリアルというか、
生活感が漂う画面作りが面白い。

松本という人は、
長者番付でトップになったことがあるくらいだから、
相当裕福な暮らしをしていると思うのだが、
庶民的というか、しみったれた感覚
──たとえば、コンビニ弁当についてくるショウユの袋を取っておくとか、
食事のあとのテーブルをおしぼりでつい拭いてしまうとか、
そんなメンタリティの持ち主なのではないかと思う。

生活感を出すための画面作りへのこだわりが感じられ、
結果、説得力のある絵作りが、大きなスクリーンで見るべき価値を持つ。

テレビ的だと批判する人もいると思うが、
僕は「大佐藤」の日常を描いた小市民映画だと思う。
小津安二郎とか成瀬巳喜男の映画に通じる。
と、書くと褒めすぎかなあ。






コメント
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