桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

真理は歴史を生む

2014-06-01 | Weblog
法制審議会で、警察の求める盗聴自由化を認め、ほんの1部の可視化を実現させたいと考える人たちは、「毒饅頭を食べても前に進むべき」と思うらしい。
毒饅頭?
毒饅頭は死ぬし、死んだらば終わりでしょ?毒饅頭で1部可視化??
その思考が理解出来ない。ある人と話して、なぜ1部可視化で容認するのか、と聞いてみた。盗聴自由化を許せば、社会の自由が死ぬ、毒饅頭をゆるしてはいけない、日弁連は席を立つべき、と。
言ったね、ここで席を立てば法案は流れる。可視化の芽を摘んでしまう。
俺は言った。違う、法案が流れて困るのは警察に検察だ。社会が可視化をしないことを許すはずがない。
「社会は、そんなことには無関心、応えない」
ってから言った。それは真理の力と国民の意識に信頼がないだけではないか。
「国民に闘う力など、あり得ないですよ。そんな運動な力など、どこにあるんですか」
それならば仕方ない。日弁連は毒饅頭を飲んで社会の自由を殺せばいいですね、で、議論は終わった。
街に監視カメラを張り巡らせ、我々を可視化する警察が、更に国民を監視する盗聴自由化なんて、どこから許せることなのか、と怒りを感じたが、「当事者主義」として検察官の証拠独占を疑うことなく許して来たのは、こういう弁護士たちがいてなのだ、と判ったなぁ。
全面可視化と全面証拠開示は、必ず実現する。それが正義であり、正義を実現する司法こそ、国民の望みであって法理だからだ。
日弁連が警察と検察に妥協し、毒饅頭を飲めば、それは弁護士も含めて権力に異を唱える人は監視され、冤罪も増える。でもさ、その抑圧が反撃の力を生むことも必然だ。何時かは、私生活を監視し、プライバシーを破壊する盗聴自由化は破棄され、人権に関わる警察や検察の行為こそが監視して可視化されるべきとなって実現する。ただ、その日が2年後になるか、50年後になるか、その違いだけだ。
どっちにしても社会は進歩する。江戸時代、明治、大正、昭和、平成、進んで来た。問題はあっても個人の権利や命が大切にされる時代になっている。その進歩を生む人間の意思と行動に信頼をおけるか、おけないか、それの違いだ。
さて、お立ち会い、あなたは、どっち?

クレーム

2014-06-01 | Weblog
村木さんに冤罪を仕掛けた前田さんのことをブログに書いたらば、人として大好きな方から「冤罪で人を苦しめたことを、前田は万全していない。それを認識せずにブログに取り上げた中身も納得出来ない」と、強烈なクレームが来た。
確かに、「市川さんは、まず冤罪者として苦しめた相手に会いに行って詫びた。前田は、マスコミの前に出る前に、村木さんや上村さんに詫びろ」と怒る言葉は判った。
ただねえ、俺も冤罪者だけど、こそ泥をした犯罪者。前田さんを責められないし、「申し訳けなかった」と詫びる言葉を信じたし、懇親会や二次会での、前田さんの言葉も信じた。
そこが俺の問題かも。簡単に人を信じる。
確か、昨夜も言っている人がいた「信じて大丈夫ですかね」と。「寝返るならば、それでもいいじゃないですか。それは前田さんの人間性が問い重ねられるだけ。検察を変えたいと語る言葉を信じればいい」と。
「上村さんは、村木さんに会ったとき、土下座した。前田は、マスコミに出る前に、まず村木たちに詫びろ。それをしない、冤罪作りを反省しない検察官だった人間を、安易に取り上げるとは、何事だ」
クレームを語る方の言葉は厳しかった。
そうだよね、前田さんは、マスコミに出る前に村木さんや上村さんに、冤罪を作り上げて人生を狂わせて申し訳ない!、と詫びるべきだな。
それがなされない限りは、俺が簡単に後輩と認めてはいけないかも。
反省だなぁ。
村木さんや関係者が不愉快だったらばお詫びします。

全面証拠開示と全面可視化

2014-06-01 | Weblog


昨日は、「証拠は誰のものか」と題して、京都弁護士会と日弁連の主催する集会だった。
メインは、村木厚子さんを犯人にでっち上げる証拠改ざんを行った前田恒彦元検事の出演だった。
初めて公に登場したせいか、KBSホールは400名に近い参加者で多勢のマスコミも来ていた。
前田さんが逮捕されたとき、俺はブログに「起訴したらば無罪につながる証拠を隠す検察ならば、有罪にするために証拠を改ざんしたりねつ造する検事も生まれる。無実の証拠を隠すことも有罪の証拠を作ることも不正行為としては同質だ」と書いたことがあったが、前田さんが実直だった公務員の父親を見て育ち、正義の検察官になった話を聞いて、改めて人間の正義を歪める検察という組織の罪を思った。もちろん、前田さんの行った行為は許されないが、真っ直ぐに正義が守られない検察庁を改革しなければ日本の司法に真実は取り戻せないとも思った。犯罪者になり、調べられる立場などを体験した前田さんは、全面可視化と全面証拠開示を求める立場だそうだ。
1年6ヶ月の刑務所を体験した前田さんは、俺を「先輩!!」と呼び、懇親会、二次会と過ごして意気投合。互いに力を合わせて正義の検察官にするために頑張ろう!と、固い握手をして別れた。
楽しく満ち足りた京都だった。