スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

中日新聞杯かきつばた記念&遠隔作用論と近接作用論

2024-03-01 18:56:33 | 地方競馬
 昨晩の第26回かきつばた記念
 発馬後に先頭に立ったのはラプタス。ただ最初のコーナーでかなり外を回ったので,枠はラプタスよりも外だったのですが,発馬後の加速でラプタスに劣ったサンライズホークがラプタスの内に入り,コーナーワークで前に出て向正面の入口からはサンライズホークの逃げに。ラプタスが2番手で3番手にヘリオス。シャマル,スマイルウィ,ペリエール,ファルコンウィング,ヒロシゲウェーブの順でここまだはさほど差がなく追走。2馬身ほど開いてロードランヴェルセ。以下はメルト,セイヴァリアント,ハディアという隊列。ミドルペースでした。
 3コーナーからラプタスとヘリオスがサンライズホークに並び掛けていきましたが,ラプタスはすぐに後退。サンライズホークとヘリオスは雁行となり,内からペリエール,外からシャマルが進出。直線はサンライズホークとヘリオスの優勝争いとなり,ヘリオスが迫ればまたサンライズホークが突き放すという形でサンライズホークの優勝。ヘリオスが1馬身半差で2着。内を回ったペリエールが直線では外に出そうとしてやや狭くなりましたが,ペリエールとシャマルの間を割ったスマイルウィが1馬身差で3着。外のシャマルが4分の3馬身差の4着で内のペリエールが4分の3馬身差で5着。
 優勝したサンライズホークはここが兵庫ゴールドトロフィー以来のレース。間隔を開けつつ重賞3連勝となりました。このレースは各馬のコース取りが尋常ではなかったのですが,終わってみれば近況の能力で上位と思われた5頭で上位を独占というきわめて順当な結果。条件クラスは1200mで突破してきた馬ですが,現状はこのくらいの距離の方がよいのでしょう。圧倒的な能力があるというほどではないと思いますが,間違いなく今後も重賞を勝っていく馬ではあるでしょう。父はリオンディーズ
                                        
 騎乗したミルコ・デムーロ騎手は第18回以来となる8年ぶりのかきつばた記念2勝目。管理している牧浦充徳調教師はかきつばた記念初勝利。

 國分によれば,デカルトRené Descartesやスピノザが否定した真空vacuumすなわち空虚vacuumという考えを重視したのが,同時代の物理学でした。その代表とされているのがニュートンIsaac Newtonの力学です。ニュートンの力学はよく知られているように,万有引力の法則を中心としたものです。この万有引力説のような力学は,遠隔作用論といわれます。ニュートンは空虚があり得るという想定をしていますから,互いに引き合う物体corpusと物体との間に空虚があるとすれば,万有引力は引き合う各々の物体の力potentiaによってのみ説明されなければならないからです。この場合,万有引力は念力のような力と想定されています。
 デカルトが空虚を否定したのは,このような念力に類する力を否定するnegareためという一面があったようです。実際にデカルトは自身でも力学を主張しています。これは渦動説といわれるもので,『世界論Le Monde』で展開されています。渦動説は万有引力が遠隔作用論といわれるのに対していえば,近接作用論といわれるものです。宇宙の運動motusを引き起こす原理は渦巻き状の流体であるとみなし,引力による運動,たとえば物体の落下は,その渦が物体に働きかけることによって生じているというのが渦動説です。このためには空虚が存在していてはいけません。渦がすべての空間にあるのでなければ,この説は成立しなくなるからです。
 デカルトが渦動説を主張するために空虚を否定したのかどうかは僕には分かりません。むしろ哲学的な帰結であったのではないかと思います。そしてスピノザがそれに同調したのも,やはり哲学的な帰結であったと僕は思います。とくにスピノザの場合は力学について自説を主張しようとしていたわけではありませんから,純粋に自身の哲学的思考として,空虚を否定したのだと僕は思います。そもそも渦動説は確かに空虚を否定しなければ成立しない説ではありますが,万有引力節が空虚を肯定しなければ成立しないような説であるとは僕には思えません。それを遠隔作用論というのであれば,この種の遠隔作用は,空虚があろうとなかろうと成立するように思えるからです。ただこれは僕が現代に生きているからであって,その時代にはそうでなかったのかもしれません。
コメント
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