スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

叡王戦&恐竜の本性

2023-04-14 19:04:49 | 将棋
 11日に神田明神で指された第8期叡王戦五番勝負第一局。対戦成績は藤井聡太叡王が5勝,菅井竜也八段が3勝。このほかに二局の千日手があります。
 不二家の社長による振駒で藤井叡王の先手。菅井八段の角道オープン三間飛車から先手が9筋の位を取り,相銀冠の持久戦になりました。この将棋は先手の指し回しの素晴らしさに感嘆する一局でした。
                                        
 第1図で☗7九銀と引きました。これは角の引き場所を作ると同時に,後手の端攻めに対して,場合によっては☗8九王~☗8八銀という形で受けることを含みに持たせた手です。
 後手も☖6二銀と固めたのに対し☗2四歩と垂らし☖3四歩に☗6八角。そこで後手が☖5三角と上がったのに対して2五の歩を狙うのではなく☗3八飛と寄りました。
                                        
 こうして3筋を狙うのがこの局面ではベストのようです。後手はこのまま突破をされてはいけないので反撃に出たのですが,その反撃を受け止めて先手が勝ちました。第2図はまだ難しい局面なのですが,この手順で後手が無理にでも攻めていかなければならないと思えるような局面にもっていったのが,先手の勝因となったように思います。
 藤井叡王が先勝。第二局は23日に指される予定です。

 僕は人間の精神mens humanaが恐竜の共通概念notiones communesを有することについては否定しません。ただそれが恐竜に共通の本性essentiaであるかといわれれば,そうではない,少なくともほとんどの場合でそうではないといいます。現実的に存在する人間は恐竜と関係を有するたびにその人間と関係した恐竜とに共通かつ特有である共通概念を反復的に形成するのであって,かつこの人間は恐竜以外の何らかの物体corpusとも関係を有し,そして関係をもつそのたびごとに,その物体とその人間に共通かつ特有であることの共通概念を反復的に形成します。よってそのような反復の結果として,各々の共通概念の差異を知ることができますから,恐竜の共通概念が恐竜に共通の本性と一致するという可能性は否定できません。ですから僕は現実的に存在する人間の精神が,恐竜に共通の本性を十全に認識するcognoscereことが絶対に不可能であるとはいいません。しかし現実的に存在する人間は有限finitumであるがゆえに,反復的に共通概念を形成することもまた有限であることを考慮するなら,現実的にはそのようなことは生じないと断定しても間違いではないと僕は考えます。いい換えれば,僕たちは恐竜に共通の本性というものについては,部分的には確実に知っているとしても,全体としてはそれを知っていないとしておく方が安全であろうと思います。
 ただし,だからといって,僕たちが知っている恐竜に共通の本性というものが,明瞭判然さを欠いているといえるのかといえば,僕は必ずしもそうとはいえないだろうとも思うのです。これは僕が仮説として示したことに依拠します。僕の仮説では,人間に共通の本性と恐竜に共通の本性とでは,同じように共通の本性であるとしても,ある人間の現実的本性actualis essentiaと人間に共通の本性との間にある一般性のレベルの差は,ある恐竜の現実的本性と恐竜に一般の本性との間にある一般性のレベルの差よりも大きくなるのです。よって,人間に共通の本性の一般性は恐竜に一般の本性よりもより一般性が高いといわれなければなりません。ということはどちらも十全に認識されると仮定するなら,人間に共通の本性は恐竜に共通の本性よりも一般性が高いので,明瞭判然の度合は低くなるのです。
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