スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

王将戦&書簡三十九

2016-02-05 19:51:17 | 将棋
 昨日から大田原市で指された第65期王将戦七番勝負第三局。
 郷田真隆王将の先手で相掛かり。引き飛車にした先手が右の銀を動かす前に▲7六歩と突いたのをみて後手も引き飛車に構えました。全般的にいってこの将棋は先手が攻めあぐねた感がありますので,序盤は先手の失敗だったのではないかと思います。
 終盤で華麗な寄せが決まりました。
                                     
 先手が2八の飛車を引いて下段からの攻めに備えたところ。後手は△2五桂▲4六角△3七桂成▲同角という手順で桂馬を交換して△7四桂と打ちました。先手は▲5五銀と逃げました。
 ここで△8九歩成と成り捨て▲同飛に△8六歩。先手は取らずに▲7五歩と打ったのですがそこで△8五桂とただのところに跳ねました。
 取ると飛車が素通しになって先手玉は寄るようです。なので▲7四歩とこちらを取りましたが△7七桂成▲同金に△8八銀とまたただのところに打つ手が発生。
 これは取れば△7九角で寄りますから▲7六金△8九銀不成の飛車交換は必然。このまま△7八飛と打たれてはいけませんから▲7九銀と受けましたが△8八角とまたただのところに打つ手が決め手になりました。
                                     
 先手は手掛かりがないので攻め合いにいくのが難しく,その機を生かして後手が一気に寄せてしまった将棋といえるでしょう。
 羽生名人が勝って2勝1敗。第四局は16日と17日です。

 イエレスに宛てた書簡のうち,まず書簡三十九に注目します。これはデカルトの光線屈折学が主題となった書簡です。ただし,僕は光学には無知ですから,内容の真偽は不明です。以下に示すのは,そこでスピノザが述べている事柄であり,それが正しいかどうかの僕の判断ではありません。
 イエレスがどういう主旨の質問をしたのか,この書簡からは僕には不分明です。ただ,スピノザが述べていることからすると,スピノザはデカルトが示した理論には不十分なところがあると考えているようです。デカルトは映像が眼底に現れる場合,光線が目から遠いところで交叉するのか近いところで交叉するのかだけで決定されるといっているというのがスピノザの読解です。これに対してスピノザは,光線屈折学を正しく理論化する際には,光線が目の表面で交叉し合う場合に形成する角度を考慮に入れなければならないとしています。そしてこのことが,望遠鏡のレンズを製作する場合に特に重視しなければならない理論なのだけれども,デカルトはそれを黙殺してしまっているとしています。
 要するにスピノザの考えでいえば,デカルトが示した理論は,望遠鏡を製作するという場合には不十分だということになります。他面からいえば,デカルトの理論だけを応用して望遠鏡を製作すると,高性能の望遠鏡を製作することは不可能だということになるのでしょう。
 一方でスピノザは,デカルトが光線が目の表面で交叉し合うときの角度という原因を無視したのは,円形をほかの形に優越させないためだったかもしれないといっています。つまりスピノザの考えだと,望遠鏡のレンズは円形が最も優れているのですが,デカルトはそういう結論を出すことを嫌ったのではないかとスピノザは考えていることになります。
 デカルトの理論だけを応用すると,望遠鏡の長さだけを重視して望遠鏡を製作しなければなりません。このために高性能の望遠鏡を製作するためには,きわめて長い望遠鏡を製作する必要が生じます。しかし目の表面の交叉箇所の角度の理論を応用すると,望遠鏡のレンズの焦点距離を調整するだけで高性能の望遠鏡を製作できるのです。
コメント
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