スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

マイナビ女子オープン&因果論的迂回

2012-02-02 18:53:33 | 将棋
 長くトップ女流棋士として活躍し続けてきた清水市代女流六段が,まだプロになって4ヶ月の長谷川優貴女流初段に胸を貸す第5期マイナビ女子オープン挑戦者決定戦。もちろん公式戦初対局。
 振駒で長谷川初段の先手となり中飛車。先手が銀冠,流れから後手は雁木のような構えで持久戦に。中盤は後手が受けに駒を投資するような展開となり,後手から望んだような攻め合いだったと思うのですが,先手が優位になったのではないかと思います。ただ,後手の屈強な受けに先手も攻めあぐね,後手の反撃が届くかどうかというような展開となりました。
                         
 後手の1筋を見ればどれだけ頑強に受けてきたかが分かるかと思います。局面は先手が9三の馬を入って活用したところ。たぶんここからの応酬が勝敗の分かれ目になったのではないかと思います。指し手は△4七歩成。これは▲同金ですがそこで△4六歩。しかしこれは▲同飛と取られ,△同馬▲同馬で先手の上部が手厚くなりました。△4九飛と反撃し,▲3八銀に△5九飛成としたのもどうだったか。▲7七角と打たれ△6九龍では1手パスしてしまったような格好となりました。
                         
 第2図以下は▲3四桂から攻めていった先手が押し切り,勝っています。
 長谷川初段が挑戦権を獲得して女流二段に昇段。研修会を卒業したというのは,奨励会入会の権利を得たということに等しいというのが僕の理解。なぜこんなに勝てるのか,正直いって不思議な気がしています。タイトル戦は年度明けで,第一局は4月8日。

 もしも僕が示したように,第二部定理九系平行論的証明のみで証明することが可能であるとすると,スピノザによる第二部定理九系証明は,明らかに迂回の手続きを踏んでいるということになります。もちろんこの迂回というのは,第二の訴訟過程のことを指しています。そしてこの過程は,第二部定理九と直接的に関係しています。第二部定理九というのは,個物の観念が結果として発生するための原因,とくに原因としての神が,どのような仕方で考えられる神であるのかということを示しています。すなわちこれは因果論に関係する事柄を示しているのです。したがってここでは,この迂回と思えるスピノザによる手続きを,因果論的迂回と名指すことにします。
 たとえそれが迂回であるにすぎないのだとしても,スピノザがわざわざそうした因果論的迂回という過程を通して第二部定理九系を証明しようとしたことには,何らかの理由があると考えられます。そこでまず,現在の考察の最大の課題となっている,この因果関係というものが,十全な原因がもたらすような結果として示されているのか,それとも部分的原因がもたらすような結果としても示されているのかということを考えてみます。
 単純に第二部定理九系の証明だけから判断する限り,これは不明であるとしか僕にはいいようがないと思います。不明であるということのうちには,この因果関係には,十全な原因も含まれているし,同時に部分的原因も含まれていると考えることが可能であるという意味がないということはないのですが,それよりも僕の受け止め方としてそれを忠実に表現するなら,この証明のうちには,それが十全な原因であるのか部分的原因であるのかということは,あまり考慮に入れられていないというように思うのです。いい換えれば,スピノザがわざわざ因果論的迂回と思えるような手順を踏んだ理由のうちには,この因果論が十全な原因であるのか部分的原因であるのかということを示そうとしたという意図があったのではなく,むしろもっと別の理由があったからだと考える方が妥当なのではないかと考えます。しかしその意図がどういうものであったかを探求する前に,僕がそう判断する理由を説明しておきます。
コメント
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