最近、東京都内を歩いていると「東京チカラめし」という看板のお店を目にする。
もちろん回数で言えばそりゃマックやドトールのほうが目にするけど、普段見慣れない看板だから目につく。
食べることは好きだし新しいお店を発掘することも好きだし、飲食は仕事も関わりがないわけではないこともあって新しいお店は気になる。
調べてみたところ、このお店ってのは、どうやら24時間営業の牛丼屋らしいんだよね。
そりゃすごい。
何がすごいか。
よく仲間内で「そりゃ今から牛丼屋始めるようなもんだよ」という言い回しをすることがある。どういうことかというと簡単に言うと「勝ち目が無いこと」を表している。
今、牛丼屋といえば吉野家、松屋、すき家が熾烈な三国志を争っている。
どんどん価格が下がって今は290円とかでしょう。ここに新規参入して勝ち目があるわけがない。
もうちょっと詳しく書くと、例えば仮に吉野家より旨い牛丼というのはがんばれば作れるかも知れない。味だから好みの問題も大いにあるけども。
でも、それを290円で出せるかどうか、ということが大きな問題になる。
仮にラッキーが続いてもし290円で出せたとしたら、吉野家はもっと安く出せることになる。
なぜなら同じ食材なら吉野家のほうが仕入れが多くなるわけだから「たくさん仕入れるから負けてよ」と言えるはずだから。
仮に絶対にありえないけど僕がすごいお金持ちでいきなり吉野家と同じ店舗数どんと新店を出して「吉野家と同じだけ仕入れるから」と言ってもやっぱり吉野家ほどには安くしてくれないだろう。なぜなら吉野家は長年続いた信用があって、一方、僕は何の信用も無いわけだから。
たとえば「個人店として1店舗だけできればいい。吉野家とは別の方向性の牛丼を出すんだ」というのであればそれは勝ち目は少しだけあるかも知れない。たとえば上野駅の中央出口を出た真向かいに「牛の力」という牛丼屋がある。そこは牛丼並盛590円。僕も何度か行ったことあるけどファーストフード系とはちょっと違ってしっかりしてて美味しい。
でもこういうのは結構特殊な例で、ランチワンコインがサラリーマンの常識になってしまったこの時代にそういう店がやっていける「立地」がまだ余っているとはあまり思えない。
既婚サラリーマン(お小遣いが無い、の代名詞)を相手にしなくてもよい立地で、ランチタイムにそれなりに人通りがあって、更に吉野家なんかが無いところ、ってなるとかなり限定されてしまう。
ということで「東京チカラめし」。もちろん個人店じゃないだろう、と思って調べてみたら三光マーケティングフーズ、というところがやっているらしい。東方見聞録、金の蔵なんていう居酒屋をやっている会社ね。
はー、攻めてきてるねぇ。
ということでこないだ近所に出来たので帰り道に行ってみましたよ。いまはオープン記念ということで並牛丼が280円。特徴は普通の牛丼が煮込んでいるに対して、こっちは焼き牛丼。注文を受けてからオーブンのようなもので薄切り肉とタマネギを焼き、甘辛いタレに絡めて、ご飯の上に乗せたもの。
味はね、旨いよ。かなりこってりしているのであっさりが好きな人には好まれないと思うけど。
そしてそれより驚いたのがその徹底した効率性。吉野家だって効率を求めていると思うけど、なんとこの店はご飯を丼によそうのすら機械。なんかドリンクマシーンのような機械の下に丼を置き、ボタンをポンと押すとご飯が出てくる。
たぶんね、こういう牛丼屋だと熟練したバイトさんが「200gをプラスマイナス10gの誤差でよそいます」みたいなことがあるけど、ここはその10gすら省いているんだろうね。
「吉野家の牛丼は既に工業製品だ」という言葉がある。もちろんいい意味で言っているだと思う。つまり、厳選された食材(良い、高級な食材、ということではない。安さと旨さのぎりぎりのバランスを取り、しかも安定的に仕入れられる、という意味)、効率化された作り方によりいつでもどの店でも同じ物が出てくる、ということ。つまりこれはもう料理では無く工業製品である、と。
後発の三光マーケティング社としてはそこに勝つために更にもう一歩踏み込んだんだろうね。
ご飯盛り付け機を導入したことで盛り付ける人の技術はいらなくなった。つまり人件費が下げられる。更に標準より多く盛り付けてしまうことも無くなった。(つまり「ロス」が減る) もちろん機械の導入コストは嵩むけどそれも計算の上だろう。
それってつまり「人の技術」を使わないことでコストが下げられて単価が下げられる、ということなんだけど逆に言うと人件費が下がり給与が安くなる、ということでおかげでデフレスパイラルが加速されていくわけだ。
とにかくまぁ、すごいわぁ。
この店が今後、熾烈な牛丼三国志(吉野家、松屋、すき家)の中でどうなるのかははっきり言って分からないけどとにかく興味深い。
こういうの見てるとほんと飲食店をやる、って難しいよなぁ、と思う。
仮に僕が個人で飲食店をやるとして「勝つ」ということはおいておいて(何を勝ちにするかが問題だけど)少なくとも「負けない」ためにはどうするか。
今度、機会があったら書きます。
もちろん回数で言えばそりゃマックやドトールのほうが目にするけど、普段見慣れない看板だから目につく。
食べることは好きだし新しいお店を発掘することも好きだし、飲食は仕事も関わりがないわけではないこともあって新しいお店は気になる。
調べてみたところ、このお店ってのは、どうやら24時間営業の牛丼屋らしいんだよね。
そりゃすごい。
何がすごいか。
よく仲間内で「そりゃ今から牛丼屋始めるようなもんだよ」という言い回しをすることがある。どういうことかというと簡単に言うと「勝ち目が無いこと」を表している。
今、牛丼屋といえば吉野家、松屋、すき家が熾烈な三国志を争っている。
どんどん価格が下がって今は290円とかでしょう。ここに新規参入して勝ち目があるわけがない。
もうちょっと詳しく書くと、例えば仮に吉野家より旨い牛丼というのはがんばれば作れるかも知れない。味だから好みの問題も大いにあるけども。
でも、それを290円で出せるかどうか、ということが大きな問題になる。
仮にラッキーが続いてもし290円で出せたとしたら、吉野家はもっと安く出せることになる。
なぜなら同じ食材なら吉野家のほうが仕入れが多くなるわけだから「たくさん仕入れるから負けてよ」と言えるはずだから。
仮に絶対にありえないけど僕がすごいお金持ちでいきなり吉野家と同じ店舗数どんと新店を出して「吉野家と同じだけ仕入れるから」と言ってもやっぱり吉野家ほどには安くしてくれないだろう。なぜなら吉野家は長年続いた信用があって、一方、僕は何の信用も無いわけだから。
たとえば「個人店として1店舗だけできればいい。吉野家とは別の方向性の牛丼を出すんだ」というのであればそれは勝ち目は少しだけあるかも知れない。たとえば上野駅の中央出口を出た真向かいに「牛の力」という牛丼屋がある。そこは牛丼並盛590円。僕も何度か行ったことあるけどファーストフード系とはちょっと違ってしっかりしてて美味しい。
でもこういうのは結構特殊な例で、ランチワンコインがサラリーマンの常識になってしまったこの時代にそういう店がやっていける「立地」がまだ余っているとはあまり思えない。
既婚サラリーマン(お小遣いが無い、の代名詞)を相手にしなくてもよい立地で、ランチタイムにそれなりに人通りがあって、更に吉野家なんかが無いところ、ってなるとかなり限定されてしまう。
ということで「東京チカラめし」。もちろん個人店じゃないだろう、と思って調べてみたら三光マーケティングフーズ、というところがやっているらしい。東方見聞録、金の蔵なんていう居酒屋をやっている会社ね。
はー、攻めてきてるねぇ。
ということでこないだ近所に出来たので帰り道に行ってみましたよ。いまはオープン記念ということで並牛丼が280円。特徴は普通の牛丼が煮込んでいるに対して、こっちは焼き牛丼。注文を受けてからオーブンのようなもので薄切り肉とタマネギを焼き、甘辛いタレに絡めて、ご飯の上に乗せたもの。
味はね、旨いよ。かなりこってりしているのであっさりが好きな人には好まれないと思うけど。
そしてそれより驚いたのがその徹底した効率性。吉野家だって効率を求めていると思うけど、なんとこの店はご飯を丼によそうのすら機械。なんかドリンクマシーンのような機械の下に丼を置き、ボタンをポンと押すとご飯が出てくる。
たぶんね、こういう牛丼屋だと熟練したバイトさんが「200gをプラスマイナス10gの誤差でよそいます」みたいなことがあるけど、ここはその10gすら省いているんだろうね。
「吉野家の牛丼は既に工業製品だ」という言葉がある。もちろんいい意味で言っているだと思う。つまり、厳選された食材(良い、高級な食材、ということではない。安さと旨さのぎりぎりのバランスを取り、しかも安定的に仕入れられる、という意味)、効率化された作り方によりいつでもどの店でも同じ物が出てくる、ということ。つまりこれはもう料理では無く工業製品である、と。
後発の三光マーケティング社としてはそこに勝つために更にもう一歩踏み込んだんだろうね。
ご飯盛り付け機を導入したことで盛り付ける人の技術はいらなくなった。つまり人件費が下げられる。更に標準より多く盛り付けてしまうことも無くなった。(つまり「ロス」が減る) もちろん機械の導入コストは嵩むけどそれも計算の上だろう。
それってつまり「人の技術」を使わないことでコストが下げられて単価が下げられる、ということなんだけど逆に言うと人件費が下がり給与が安くなる、ということでおかげでデフレスパイラルが加速されていくわけだ。
とにかくまぁ、すごいわぁ。
この店が今後、熾烈な牛丼三国志(吉野家、松屋、すき家)の中でどうなるのかははっきり言って分からないけどとにかく興味深い。
こういうの見てるとほんと飲食店をやる、って難しいよなぁ、と思う。
仮に僕が個人で飲食店をやるとして「勝つ」ということはおいておいて(何を勝ちにするかが問題だけど)少なくとも「負けない」ためにはどうするか。
今度、機会があったら書きます。
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