ハリックの診断即治療&虹彩と、Kenさんの経済学&スケッチ

虹彩には、体質や、現在、過去、未来、のデータが秘められています。虹彩学による虹彩分析を針灸、巨針、食事療法の指針に!

ルノワール展;国立国際美術館(スケッチ&コメント)

2010-06-23 14:02:58 | スケッチ


ルノワール展;国立国際美術館

江嵜企画代表・Ken



ルノワール展が大阪市内にある国立国際美術館で開かれている。会期も27日までと迫ってきたので、家族と出かけた。阪神電車「福島駅」下車、会場には、早足だと10分強で着ける。お昼をどこでいただこうかと考えながら歩き始めた。たまたま赤い暖簾にお食事処とあり、「つばめ」という名の店に入った。
 
気場が実にいい。女将さんともなにかと座が弾んだ。親子丼とそば定食をそれぞれ注文した.これが実にうまい。ご夫婦で切り盛りしている。三代目だそうだ。大阪大空襲の際も、この界隈は爆撃を逃れた。今も昔をそのまま残していると女将が話してくれた。機会があれば是非もう一度訪れたい店である。店内風景をスケッチして女将さんに渡して店を出た。

国立国際美術館に入って驚いた。人、人、人で溢れていた。絵の前は二重、三重に固まりになっていた。平日だから空いているとの思惑は見事はずれた。ご婦人がほとんどだった。ルノワ―ル大好き人間がいかに多いかを改めて実感した。会場内ではスケッチは禁止である。出口近くにビデオブースが用意されていたのを幸いに席の後ろからスケッチした。

ビデオブースでは、たまたま「水のなかの裸婦」のX線と赤外線調査結果を時間をかけて解説していた。今回のような大掛りな光学調査は始めてだそうだ。赤外線で調べた結果、もともとは全身がもっとスリムだった。水の色の緑は、エメラルドグリーンとより深みのあるヴィリシャーの2色を巧みに使い分けていたことも分かった。

ルノワールは緑を巧みに使っている。先の裸婦では2色だったが、晩年はヴィリシャ―1色で描き上げている。「勝利のヴィーナス」は描き直し無しで一気に描いている。出来上がりでは短髪だが、元の絵は髪の毛が肩まで垂れていた絵もある。ルノアール自身、後世、自分の絵が丸裸にされて、どう思っておられるのであろうかとふと思った。

ルノワールは、下絵に鉛白を使う。下絵の白の上に赤や青を細かく柔らかい筆で薄く塗ることによって、透明感のあるなめらかな肌が表現されていることも光学分析で分かった。この描法は、グラッシ(グレーズ)と呼ばれる油彩画の伝統的手法と解説していた。

日本画では胡粉を下絵に使う。胡粉は濃すぎても薄すぎてもうまくいかない。日本画は絵具の接着剤に膠(にかわ)を使う。膠も薄過ぎても濃すぎてもいい絵は出来ない。日本画を習い始めて8年経った。それでも、かすかにわかり始めた程度である。色使いも大事である。構図も大事である。しかし、下絵の胡粉を使いこなせないといい絵は描けないとも聞いた。

ルノワ―ルは40代はじめからリュウマチに悩まされた。「イチゴのある静物」という最晩年の小品が出口近くにあった。イチゴの赤が見事だった。リュウマチが悪化して、震える不自由な手一本で車いすに座って描いたという。ルノワールは、絵画の伝統を守りながら、近代主義の革新の間で絶えず模索していたと解説にあった。

今回の展覧会には、初公開作品含め77点が展示されている。見ごたえがあった。時間が許される方は、是非、ルノワール展にお運びいただきたい。(了)

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