柴田典子の終活ブログ「エンディングノート知恵袋」

エンディングデザインコンサルタント柴田典子のブログ。
葬儀に関わらず「賢い老い支度」として終活全般のお話もしています。

事前相談

2008年05月02日 | 事前相談・アフターサポート
葬儀社に前もって葬儀の相談にこられることを「事前相談」と言います。

私が以前いた葬儀社では10年前でも、月に10件は事前相談がありました。

私は事前相談にはすご~く自信がありました。
ご相談にさえ来ていただいたら、ほとんどの方が葬儀依頼をくださるんですね。

事前相談には、3種類あるんです。

① 自分はまだ元気、でも子供達に負担をかけたくない。全て決めておくが、まだ
  いつだか分からない。

② 実は医師から身内が余命宣告を受けた。そう長くはないと分かったので、一応
  葬式のことを知りたい。

③ すでに危篤、いつなくなっても不思議ではない。
  とっさの時に、どうするのか。

一番多いのが②です。
この時点でお葬式を考える方が、一番多い。
しかし
潜在的に「うしろめたさ」はあるが、周囲の非難は余り無い。

もう少し他の言い方をすれば、家族の死を受け入れると言うより、葬式への対処を
考えている・・・と言うことです。
家族の死は、頭では理解しても、中々受けとめられません。

ご家族の心境は「死ぬことが分かっていて看病をしている」
結構辛い状況です。
この事実を周囲に言えない場合も多いですね。

きっと、悩んで、意を決してご相談にこられる。
そんな方に、嫌な思いや、相談に来た後悔はさせたくないんです。

温かく迎えて、不安を取り除いていただきたい・・・それが一番です。

はじめての相談で、この方達が聞きたい事は
大まかな「事の流れ」と大まかな「予算」です。

でも、葬儀社の対応は
  「祭壇は白木ですか?生花祭壇ですか?」
  「親族は何人ですか?」
  「会葬者は何人ですか?」
  「香典のお返しはしますか?」
  「どんな葬式にしたいですか?」

こんなことまで、決めて相談に来る人はめったにいませんよ。
相談の第一段階では
「うちのお父さんが死んだら私は何をすればいいの?」
「お父さんのお葬式には一体いくら必要なの?」
・・・・・コレが一番の問題です。

「だって、それには親族数や、会葬者数が分からないと答えられないでしょ!」
 と、おっしゃる葬儀屋さん。

だから、この時点では、そうじゃないんだってば!!!



私の希望は家族葬。でも息子はなんていうかしら?
お父さんの兄弟はなんていうかしら?
私は費用は抑えたいけど、余り質素でもお父さんに気の毒かしら?
でも油断すると、葬儀屋さんは高いものを売りつけるかもしれないし。

こんな言葉が頭の中をグルングルン廻っているんですよ。

そんな時は、この地域の平均的な葬儀費用を教えてくれればいいのにね!

「親族が20人、会葬者が100人の場合、真ん中くらいの祭壇でしたら
○○○万円くらいですよ。この中には葬式の全ての費用が入ってますよ。
香典のお返しも入ってますよ。お寺さんの費用だけが入ってませんよ」

コレを言ってくれれば、一般的な葬儀の費用が分かりますよね。

そこから、自分の希望が上か下かを想像できるじゃないですか。
目安がわかればいいんですよ。

それを聞いて
「じゃあ、親族20人だけならいくらですか?」と先の質問が出てくるかも
知れませんよね。

事の流れも
病院で亡くなったら、先ず何をするのかが不安なんですよ。



すぐに葬儀社に電話してください。
お迎えに伺って、お宅まで、お送りして安置しますよ。
ご自宅が無理なら、当社でもお預かりしますよ。

それから、打合せをしますが、担当者がその都度、細かくご説明しますから
心配しないでください。

コレを聞いておけば
帰ってから、家族と相談しやすいですよ。
葬儀の規模や、人数も家族で話して検討がつきますよね。

大体の骨組みがわかってくれば、また相談にこられます。

でも最初から
どんな音楽が好きでした?
ご趣味はなんでした?
人数によって予算は変わるんですよ。

なんて、余り突っ込んだことを言われてもね。

それより、先ずは聞きたいことに答えてあげてくださいね。
お寺の費用はどのくらい?とか

あくまで平均でいいんですよ。

私達の口からはいえません。何て言わないで。

この辺の平均を知りたいだけですよ。

「葬儀屋さんがいくらといった」
そういわれちゃ困ると考える葬儀屋さんは
そういわれないような説明をすればいいんですよ。

あら、私いつの間にか、皆さん向けで書いてるのか
葬儀屋さん向けで書いてるのか、
分からなくなっちゃいました。

今日は出張帰りで疲れてます。
コレで、おしまいにします。










 


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5 コメント

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ふむふむ・・・・ (バンビーノ)
2008-05-02 16:17:59
今ちょうど 講習していたのが、事前相談です。

なかなか ご相談者の言葉を引き出すのが難しい・・

質問をしたいことがわからない・・そんな所から始め

なくては。

葬儀の世界は、奥が深い。

柴田さんのプログがとっても役に立ってます。

ありがたいことです。
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オレ。。。。 (しーまくん)
2008-05-02 16:58:40
とても参考になります。
日々、喪家の為、がんばってまいります。
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あとは・・・ (ジキルハイド)
2008-05-05 06:44:25
事前相談に来ていただく人のほとんどは入口が知りたい人ですよね。
実際の葬儀の時とは少し違うと思います。
例えば出棺後の火葬の話などを知りたいとはまあいませんから。
入口部分がわかりやすいように説明する事が大切なのでしょうけど、あとは何が必要かと考えると、
「相談に来た人が誰かに話すときに話をしやすくしてあげること、その人が話しやすい資料を持って帰っていただくこと」ではないかと思います。
自分ひとりでは決める事ができない方がほとんどです。たとえ、内緒で隠れて相談に来た方でも誰かに必ずそのことを言うでしょう。そのときに説明しやすく整理してあげる事が大切だと思います。

返信する
Unknown (柴田)
2008-05-05 22:10:50
ジキルハイドさん

お元気でしたか?
コメント有難うございます。

事前相談の自社スタイルを持っているところは少ないんです。

どこの葬儀社も葬儀を知ってるから、相談にのれると思っているみたいですね。

事前相談の研修をしている処は、どの位あるのでしょうか?

やがて、事前相談ツールと言うものが売り出され
それを使えば、どこの、誰でも事前相談が出来ますよ・・・
そんな商品が出回ってきます。

それとばかりに、飛びつく葬儀社がわんさといることでしょう。

自社の得意分野も自分達で探せない人達が
既製品の事前相談ツールで、表向きの相談をする。

最近、小手先のサービスばかりが目立ちます。
アシスタントの、司会の技法、事前相談、家族葬はこうする

葬儀とはどういうものか?わが社は葬儀をこう考える。
だから、自社スタイルの葬儀をこうする。

こういう、基本がないまま、多くの葬儀社が同じものを売る。

だから、他社との差別化にはならない
物まねばかり。

私、この流れ、とても心配です。
葬儀業界のレベルアップ、目指したいけど・・・

難しいね。

ジキルハイドさんに愚痴っちゃいました。

ゴメンナサイ。

また、コメントお願いします


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Unknown (ジキルハイド)
2008-05-06 09:14:06
ある出版社から事前相談のツールが販売されましたね。
4月1日に早速購入しました。
6月の展示会でも出すらしいです。
現在、スタッフにお願いして自社用にカスタマイズ中です。
しかし、これに飛びつく葬儀社が多いとしても、これを使いこなせる葬儀社はほとんどいないと思います。
使いこなせるくらいの葬儀社はすでに自社用にいろんなものを持っています。

そして、一番大きな問題点は
「事前相談は人をかっていただく」ということがわかっていないところではないでしょうか?

お客様にどれだけ立派な印刷物をお客様にお渡ししてもそれで事前相談ができたとは感じないと思います。

事前相談は話を聞いてあげることが最大のポイントだと思います。




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