さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

未熟なれど果敢、老練の元王者を逆転 清瀬天太、オーレドンをTKO

2018-07-22 09:18:12 | 関西ボクシング



ということで、昨日は猛暑の中、果敢にも姫路にて観戦してきました。
会場は姫路のウィンク体育館。以前は「姫路市立中央体育館」といっていた会場です。
前に一度、江口啓二vs氏家福太郎戦の逆転KOをここで見たことがあります。
もう11年前ですが、会場周辺の様子はあまり変わっていませんでした。

運動公園の中の施設で、野球場やら武道館やらがあれこれと並んでいるんですが、
会場の真向かいが野球場で、場内の声援やら応援歌やらが漏れ聞こえてきました。
考えたらこの炎天下、というより灼熱のさなか、全国津々浦々で高校野球やってんですよねえ。
もうすぐ始まる高校総体なんかじゃ、サッカーとか陸上とかも。
大丈夫かいな、という感じです。ボクシングが屋内で出来る競技で良かった...。
ボクサーの皆さん、練習や調整、ホントに大変だろうなあと。頭が下がる思いであります。

会場には午後2時半くらいに辿り着きました。冷房が効いてて涼しく、ほっとひと息。
しかし、メインイベントの頃になると、当然観客も増え、場内の熱気も少し感じるくらいに。


そんなことでメインイベントですが、WBCユースSバンタム級王者、清瀬天太が、
元WBCミニマム級王者で、今はWBAバンタム級9位、井岡一翔戦以外は無敗のサウスポー、
オーレドン・シッサマーチャイに挑むチャレンジマッチ、でした。

井岡に負けたあとの映像は、YouTubeでちらほらと見た程度ですが、
Sフライでも身体負けはせず、よく動いて、当てて動いて、という、変わらぬ感じでした。
ただ、今回はバンタム級の試合、しかも長身、大柄な部類の清瀬相手。
実際見てどうかと思っていましたが、リングに上がると、清瀬との対比で、やっぱり小柄。

初回、清瀬が仕掛け、右を飛ばす。連打の最後に左のレバーブロー。正確にヒット。
対するオーレドンは、足を使わず、やや前傾し、圧力をかけて出る。ちょっと意外。
そして、清瀬が来ると、振りの小さい左のクロス、右フックを、力込めて狙う。
パワーのオーレドン、速い連打の清瀬、という構図。

清瀬はスピードにまさり、距離も遠くから打てるはずが、右ストレートは目で外される。
左ボディは時折入るが、上に返すと、ほぼ全部芯を外されている。
そして、左へ回るステップがなく、打った後身体を左へ逃せず、正面から打っていくので、
左ジャブだけで止まれば良いが、右ストレートを打つと、身体が前に残ってしまう。
序盤、そこをオーレドンに打たれる繰り返し。

3回、左クロスから、返しの右フックで、清瀬ぐらつく。
待てば踏み込まれて打たれ、攻めれば「合わせ」を食う繰り返し。
序盤は、元王者の老練が、未熟な若手を圧倒、という展開でした。


しかし、劣勢の序盤、悪い回りの中でも、清瀬は果敢に動き、手を出し、
上へのヒットは少ないが、左右のボディブローを見せ、連打する場面もあり。
4回、サイドへの動きこそないものの、距離の取り方に慎重さが見える。
そこから右のボディストレート、連打でオーレドンをロープに下がらせる。

ここはオーレドンが「休憩」したのかと見えましたが、5回もさらに清瀬が出る。
オーレドン、攻め返そうとするがかなわず、また後退。試合の流れがはっきり変わる。
6回、清瀬は遠目から右ストレート。ボディのみならず、上にもヒット。

7回、清瀬が右ヒットして、ロープ際で追撃。
正面から来る清瀬に、オーレドンも左を合わせるが単発、清瀬強引に連打。
上への連打は、オーレドンが巧さを見せて、芯は食わないが、ボディにはヒットする。
清瀬も反撃を受けつつ、果敢に攻め続ける。
オーレドンは中立コーナーに詰められ、動けず、反撃も僅か、攻められっぱなし。
もはや決壊寸前か、と見えたところでゴング。
インターバル中、オーレドンが棄権し、TKOとなりました。


序盤は小柄ながら、目で外し、じりじり攻め込んで来るオーレドンの巧さとパワーに
若い清瀬が圧倒されているように見えましたが、けっして弱気にならず、
4回から距離の取り方をより遠目に変え、当たるボディブローを軸に、
じりじりと攻め返して、逆転につなげた清瀬の闘いぶりには、大いに感心させられました。

目に鮮やかな才能、抜きん出た強打というような、派手なものはそんなにはないが、
地に足の着いた果敢さとでもいうか、ありがちな表現ですが「地力」がある。
階級を上げてきた相手とはいえ、70戦して68勝の元王者を下した、
それも、やる気ゼロの張りぼてではなく、技巧と強打が生きていた相手ですから、
貴重な経験を積み、ステップアップした、と見て良いでしょう。


ただ、対サウスポーの闘い方としては、よく言えば果敢、頑張りで勝った、となりますが、
悪く言えば、色々と無理を感じたのも確かです。

序盤のみならず、4回以降の反転攻勢においても、オーレドンをロープに詰め、連打する際に、
身体半分、軸を左にずらして打てば、より深いところに足を置いて打てるし、
お返しの左も外せるのに、正面に位置を取って打つので、右が遠く、当たらず、お返しが来る。
非常に効率の悪い闘い方に見えました。体力差で、その部分を埋めた勝ち、でもありました。
相手の左右にかかわらず、この辺りは今後の課題かと思います。


しかし、地元の期待に応え、元王者を押し切った闘いぶりは立派なものでした。
日本上位とのマッチメイクは、色々難しいところもあったらしいですが、
今後はさらに期待したいものですね。


==========================================


姫路木下ジムの興行では恒例の、キッズスパーリング大会なども含め、
前座もけっこう見所がありました。結果など簡単に。
もし間違っていたら、ご指摘くださいませm(_ _)m

Sフェザー級4回戦
●戸川叡二(姫路木下) 2回TKO ○片山奎志(結花)
2回、片山の右スイング?で戸川ダウン。追撃でストップ。
迫力ある強打の応酬でした。

ウェルター級4回戦
○樫村公治(姫路木下) 判定2-0 ●新山十士(広島三栄)
ややラフな展開。新山は頭が前に出る癖あり。
4回に樫村がダウンを奪う。

女子ミニマム級4回戦
○成田佑美(姫路木下) 判定3-0 ●下岡由美子(厚木ワタナベ)
シャープな攻防で見応えあり。成田のヒットがまさるも、下岡も健闘。

ライト級6回戦
○竹中関汰(姫路木下) 判定3-0 ●中村洸介(結花)
初回、竹中の右で中村前にのめる。ダウンの裁定も、グローブがフロアについたか、視認できず。
微妙な印象。
サウスポー中村、右フック決めるも、3回、竹中の左レバーパンチを食う。
両者果敢に攻めるも、果敢すぎて距離が潰れ、クリンチの数も多い。
最終回中村がホールドで減点される。どっちがどう、とも思えなかったが。



キッズスパー大会では、5番目の高原剛政(姫路木下)と宮下惊至(竜一屋)という
16歳同士の対戦が目を引きました。
共にレベルが高く、ちょっとしたプロの好カードぽい、好打の応酬が見られ、
見終えて「どっちも勝ち」な印象。「判定」も三者揃ってドロー。
ええもん見たな、名前覚えとこ、という感じでした(^^)



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする