ということで、昨日は猛暑の中、果敢にも姫路にて観戦してきました。
会場は姫路のウィンク体育館。以前は「姫路市立中央体育館」といっていた会場です。
前に一度、江口啓二vs氏家福太郎戦の逆転KOをここで見たことがあります。
もう11年前ですが、会場周辺の様子はあまり変わっていませんでした。
運動公園の中の施設で、野球場やら武道館やらがあれこれと並んでいるんですが、
会場の真向かいが野球場で、場内の声援やら応援歌やらが漏れ聞こえてきました。
考えたらこの炎天下、というより灼熱のさなか、全国津々浦々で高校野球やってんですよねえ。
もうすぐ始まる高校総体なんかじゃ、サッカーとか陸上とかも。
大丈夫かいな、という感じです。ボクシングが屋内で出来る競技で良かった...。
ボクサーの皆さん、練習や調整、ホントに大変だろうなあと。頭が下がる思いであります。
会場には午後2時半くらいに辿り着きました。冷房が効いてて涼しく、ほっとひと息。
しかし、メインイベントの頃になると、当然観客も増え、場内の熱気も少し感じるくらいに。
そんなことでメインイベントですが、WBCユースSバンタム級王者、清瀬天太が、
元WBCミニマム級王者で、今はWBAバンタム級9位、井岡一翔戦以外は無敗のサウスポー、
オーレドン・シッサマーチャイに挑むチャレンジマッチ、でした。
井岡に負けたあとの映像は、YouTubeでちらほらと見た程度ですが、
Sフライでも身体負けはせず、よく動いて、当てて動いて、という、変わらぬ感じでした。
ただ、今回はバンタム級の試合、しかも長身、大柄な部類の清瀬相手。
実際見てどうかと思っていましたが、リングに上がると、清瀬との対比で、やっぱり小柄。
初回、清瀬が仕掛け、右を飛ばす。連打の最後に左のレバーブロー。正確にヒット。
対するオーレドンは、足を使わず、やや前傾し、圧力をかけて出る。ちょっと意外。
そして、清瀬が来ると、振りの小さい左のクロス、右フックを、力込めて狙う。
パワーのオーレドン、速い連打の清瀬、という構図。
清瀬はスピードにまさり、距離も遠くから打てるはずが、右ストレートは目で外される。
左ボディは時折入るが、上に返すと、ほぼ全部芯を外されている。
そして、左へ回るステップがなく、打った後身体を左へ逃せず、正面から打っていくので、
左ジャブだけで止まれば良いが、右ストレートを打つと、身体が前に残ってしまう。
序盤、そこをオーレドンに打たれる繰り返し。
3回、左クロスから、返しの右フックで、清瀬ぐらつく。
待てば踏み込まれて打たれ、攻めれば「合わせ」を食う繰り返し。
序盤は、元王者の老練が、未熟な若手を圧倒、という展開でした。
しかし、劣勢の序盤、悪い回りの中でも、清瀬は果敢に動き、手を出し、
上へのヒットは少ないが、左右のボディブローを見せ、連打する場面もあり。
4回、サイドへの動きこそないものの、距離の取り方に慎重さが見える。
そこから右のボディストレート、連打でオーレドンをロープに下がらせる。
ここはオーレドンが「休憩」したのかと見えましたが、5回もさらに清瀬が出る。
オーレドン、攻め返そうとするがかなわず、また後退。試合の流れがはっきり変わる。
6回、清瀬は遠目から右ストレート。ボディのみならず、上にもヒット。
7回、清瀬が右ヒットして、ロープ際で追撃。
正面から来る清瀬に、オーレドンも左を合わせるが単発、清瀬強引に連打。
上への連打は、オーレドンが巧さを見せて、芯は食わないが、ボディにはヒットする。
清瀬も反撃を受けつつ、果敢に攻め続ける。
オーレドンは中立コーナーに詰められ、動けず、反撃も僅か、攻められっぱなし。
もはや決壊寸前か、と見えたところでゴング。
インターバル中、オーレドンが棄権し、TKOとなりました。
序盤は小柄ながら、目で外し、じりじり攻め込んで来るオーレドンの巧さとパワーに
若い清瀬が圧倒されているように見えましたが、けっして弱気にならず、
4回から距離の取り方をより遠目に変え、当たるボディブローを軸に、
じりじりと攻め返して、逆転につなげた清瀬の闘いぶりには、大いに感心させられました。
目に鮮やかな才能、抜きん出た強打というような、派手なものはそんなにはないが、
地に足の着いた果敢さとでもいうか、ありがちな表現ですが「地力」がある。
階級を上げてきた相手とはいえ、70戦して68勝の元王者を下した、
それも、やる気ゼロの張りぼてではなく、技巧と強打が生きていた相手ですから、
貴重な経験を積み、ステップアップした、と見て良いでしょう。
ただ、対サウスポーの闘い方としては、よく言えば果敢、頑張りで勝った、となりますが、
悪く言えば、色々と無理を感じたのも確かです。
序盤のみならず、4回以降の反転攻勢においても、オーレドンをロープに詰め、連打する際に、
身体半分、軸を左にずらして打てば、より深いところに足を置いて打てるし、
お返しの左も外せるのに、正面に位置を取って打つので、右が遠く、当たらず、お返しが来る。
非常に効率の悪い闘い方に見えました。体力差で、その部分を埋めた勝ち、でもありました。
相手の左右にかかわらず、この辺りは今後の課題かと思います。
しかし、地元の期待に応え、元王者を押し切った闘いぶりは立派なものでした。
日本上位とのマッチメイクは、色々難しいところもあったらしいですが、
今後はさらに期待したいものですね。
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姫路木下ジムの興行では恒例の、キッズスパーリング大会なども含め、
前座もけっこう見所がありました。結果など簡単に。
もし間違っていたら、ご指摘くださいませm(_ _)m
Sフェザー級4回戦
●戸川叡二(姫路木下) 2回TKO ○片山奎志(結花)
2回、片山の右スイング?で戸川ダウン。追撃でストップ。
迫力ある強打の応酬でした。
ウェルター級4回戦
○樫村公治(姫路木下) 判定2-0 ●新山十士(広島三栄)
ややラフな展開。新山は頭が前に出る癖あり。
4回に樫村がダウンを奪う。
女子ミニマム級4回戦
○成田佑美(姫路木下) 判定3-0 ●下岡由美子(厚木ワタナベ)
シャープな攻防で見応えあり。成田のヒットがまさるも、下岡も健闘。
ライト級6回戦
○竹中関汰(姫路木下) 判定3-0 ●中村洸介(結花)
初回、竹中の右で中村前にのめる。ダウンの裁定も、グローブがフロアについたか、視認できず。
微妙な印象。
サウスポー中村、右フック決めるも、3回、竹中の左レバーパンチを食う。
両者果敢に攻めるも、果敢すぎて距離が潰れ、クリンチの数も多い。
最終回中村がホールドで減点される。どっちがどう、とも思えなかったが。
キッズスパー大会では、5番目の高原剛政(姫路木下)と宮下惊至(竜一屋)という
16歳同士の対戦が目を引きました。
共にレベルが高く、ちょっとしたプロの好カードぽい、好打の応酬が見られ、
見終えて「どっちも勝ち」な印象。「判定」も三者揃ってドロー。
ええもん見たな、名前覚えとこ、という感じでした(^^)