さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

意外で残念な失速

2012-06-11 14:37:10 | マニー・パッキャオ

またしてもひさびさの更新であります。どうもすみません。
昨日の試合は色々思うところのある試合となりましたので、あれこれと。


まずあの判定について、自分の感想から言えば、解説のジョーさんとほぼ同じです。
あの12ラウンズのうち、7つをブラドリーが取ったようには見えませんでした。

それでも、思いきりブラドリーに甘くつければ、6対6、ドローまではあるか。
それ以上はどうしても、オマケできるラウンドの数がない、というところです。

しかし同時に、割れる、逆もありうる、そういう判定が出る可能性が皆無とは言い切れない、
自分の見解とは違うが、そう見る人、ジャッジがいてもおかしくはないだろう、とも思いました。

議論の余地がないのは10~12の3ラウンズでしょう。
私はこれを全てブラドリーに振りました。
その上で、それまでの9ラウンズが、5対4でパッキャオという、小差の内容ではなかったと思うのですが、
そういうジャッジがありうる内容だった、というのが現実だったわけですね。


試合内容はパッキャオがいつものワンツー、左ストレートを狙う展開。
ブラドリーはファン・マヌエル・マルケスと同じく、その左を外し、威力を削ぐために
左斜め後方への移動をベースに、右ガードを高く掲げてパッキャオを威圧する構え。
そしてパッキャオの出鼻、或いは打ち終わりに、ガードの上でも構わず手数を出す。

全てはパッキャオへの「対応」に基づいた、格下が番狂わせをかすめ取るための闘い方でした。
体格面で、過去のパッキャオの相手のようなアドバンテージがない代わりに、
そういう小回りの効く闘い方を貫いて、パッキャオの、自分の左足が浮くほどにパワーを乗せた
強烈な左ストレートを決定打とさせず、中盤打たれてバランスを崩しても懸命に立て直しました。

パッキャオはこれまでの相手と違って、体格ではそう変わらないが小回りが利く相手に、
左ストレートを好打はしても強打は出来ず、多少いらついた部分はあったのでしょう。
しかし上記の通り9Rまでは、問題なく勝てる流れでした。
あのラスト3つの失速は、さすがに予想できませんでした。

判定についてはさまざまな議論があるでしょうが、そもそもあの終盤の失速がなく、
普通に取ったり取られたりという展開でさえあれば、そんな議論の余地などない、
パッキャオにとり普通の勝利となっていた試合です。
判定云々以前に、この失速こそが、論議を呼ぶべきものではないか、と思っています。


彼の周辺の環境、練習の密度、年齢、歴戦の疲弊など、色んなことが語られるでしょうが、
もう何年もの間、上のクラスの相手との激戦を見事な内容で勝ち続け、
過去にはなかったさまざまなものを背負って生き、闘っているマニー・パッキャオの強さが
永遠に続くわけではないことは、誰もがわかっていることです。
いずれ彼も、誰かに敗れ、或いは時の流れに抗えずに、リングを去る日が来るわけです、が...。

ただ、それにしてもあの終盤は、きつく言えばひどかった。
そこまで疲労していたようにも見えなかったのですが、出鼻を打たれ、打ち終わりを打たれ、
打てば外され、追えばはぐらかされ、無策を絵に描いたような失点を重ねたパッキャオの姿は
ちょっと信じられないものでした。仮に判定が彼を支持していても、これは無いな、と思っていたでしょう。
ムショの中でPPVの生中継が見られるのかどうか知りませんが(見られるワケないですか...)
これを見たらフロイド・メイウェザーはさっそく対戦したがるんではないか、というほどに。


なんか、片務的な再戦契約があるんだそうで、11月にもということだそうですが、
正直言って、別に名勝負という内容でもないし、そもそも勝ったブラドリーが、
パッキャオに取って代わって、ボクシング界の新たな英雄になった、ということでも全然無いこの試合、
やれ因縁の再戦だ、返り討ちか雪辱か、とか煽られても、もうひとつ乗り切れない感じではあります。
ブラドリーは、試合後のコメントを聞いても、良い試合をする責任が自分にあるとは全く考えていない風でした。
おそらく、次もそれは全く変わらないでしょう。もしそこが変わるのなら、彼を待つのは敗北...の、はずです。

いずれにせよ、誰もが待ちわびているはずの、あの試合への道のりが、またしても遠くなってしまいましたね。
どのみち年内は無理なのだから、再戦興行で盛り上がるならそれで良し、などとプロモーター連中は考えていそうですが。


昨日の試合は、色々なことを考えて、そして何を考えても、何か煮え切らない思いばかりが残る、残念な試合内容と結果でした。
マニー・パッキャオの試合を見て、ただただ感服し、感動してばかりいた日々は、残念ながらもう過去なのかもしれません。


コメント (4)
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